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Feedforwardシステムから見る体幹部の安定性

最近よく聞くFeedforwardシステム…
実際はどのような仕組みなのでしょうか?
Feedforwardは動作をする前の準備的なシステム
おそらくそんな感じでしょうか?

今回はそんなFeedforwardシステムについて詳しく解説していきたいと思います。

Feedforwardシステムとは?
Feedforwardシステムとは、
皮質橋網様体脊髄路システムのことを指します。
人の中枢神経系は外的要因によってバランスを乱された時には2つの制御機能によってバランスを取り戻すシステムが備わっています。
1つがFeedforwardシステムです。もう1つがFeedbackシステムです。
Feedforwardシステムは主に内的外乱に対応し、予想される身体外乱に先行するシステムであり、
Feedbackシステムは主に外的な外乱に対応し、予測できない身体外乱に先行するシステムです。

人の随意運動の指令を出すのは運動野(ブロードマン6野)であり、その前方にある運動前野と補足運動野(ブロードマン4野)が運動野までの出力(動作の誘導・連合・形成)を担っています。
この随意運動を調整する補足運動野がFeedforwardシステムに大きく関わっています。
そして、この制御機構は予測的姿勢制御機構(Antcipatory postural adjustment: APA)と呼ばれています。
下の図は内側運動制御系を超簡略化した図になります。
この内側運動制御系が姿勢制御の役割があり、四肢の動作を行うまでの準備をしてくれることになります。

スクリーンショット 2022-02-09 17.06.53

どんな時に使われるのか?
Feedforwardシステムが使われる例を挙げてみましょう。
下の図は立位で腕を上げた姿勢です。
人は前に腕を上げようとすると重心が前に移動し、何もしなければ前に倒れてしまいます。
しかし、実際にはそんなことはないですよね。
実は、腕をあげるときには腕をあげる前にFeedforwardシステムが働き、少し体幹部を後ろにしてくれています。これをAPA(予測的姿勢制御機構)と呼び、安定して四肢を動かすことを可能にしてくれています。
Hodgeらの研究では腕を動かすときに、腹横筋が先行して収縮し、体幹部を安定させることで四肢を動かすことができると述べています。1
また、Andersonらは随意運動を行っている反対側の腹斜筋や腹横筋が先行的に収縮しているとも述べています。2

スクリーンショット 2022-02-11 16.03.11

つまり、四肢を効率よく動かすためには、先行して体幹部の筋群が収縮してくれる必要があるということです。
逆に言うと、Feedforwardシステムが正しく機能していないと、四肢を効率よく動かすことができないと言うことです。

ではこのFeedforwardシステムが上手く使えない時とはどのような場合なんでしょうか?
原因はいくつか考えられますが、
1. 腹筋群が収縮できないポジションにある
2. 運動パターンとして、動作の前に腹筋群が収縮するパターンがない
の2つが個人的に大きな要因になってくるのではないかと考えています。

1. 腹筋群が収縮できないポジションにある
腹筋群(腹横筋・内外腹斜筋)は体幹部の安定性に必要不可欠な筋群であり、
正しく収縮しなければ体幹の安定性は失われてしまいます。
ではどのポジションで体幹の安定性は失われてしまうのでしょうか?
基本ですが、筋は適切な長さにないと正しく収縮することができません。(力-長さ関係)
そして、個人的に多いと思うポジションが骨盤前傾・腰椎伸展+肋骨外旋姿勢です。
このポジションでは腹斜筋群や腹横筋が伸長されている状態になっています。
この状態では、もちろん正しく収縮はできませんよね。
これを改善するためには、正しいポジションでこれらの筋群が収縮できるようにしていくことがFeedforwardシステムを正しく行っていくための第一歩になります。

2. 運動パターンとして、動作の前に腹筋群が収縮するパターンがない
そして、筋が適切なポジションで収縮できるようになれば、そのポジションをさまざまな姿勢で行えるように訓練していき、運動パターンとして獲得するようにしていきます。

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どのようにFeedforwardシステムを見につけていくのか?
まずは、腹筋群が収縮しやすいポジションを作ることが大切です。
ポジションで言うと骨盤後傾+肋骨内旋が基本になります。
基本的なエクササイズでいうと、3 month position keepや90-90 hip liftなどになりますね。
ここで注意が必要なのは、いかに緊張が入らない状態で行うかが大切になります。
広背筋や腹直筋が緊張してしまうと腹横筋や腹斜筋への収縮が上手くできなくなってしまうので、緊張がでないように注意は必要です。

エクササイズで過度な緊張がなく、出来るようであればデッドバグ→四つん這い→座位→立位とProgressionしていくことがいいでしょう。
そして、最終的には日常生活やパフォーマンス中にも体幹を安定させることによって四肢の動きを良くしていくことが良いと考えられます。

もし、少しでも興味を持って頂けたら、
個人ブログではもう少しわかりやすく書いておりますので、
来ていただけるだけでもありがたいです。
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I.C. Exercise 
http://yuto-atc.com

参考文献
Anderson EA, et al: Diverging intramuscular activity patterns in back and abdominal muscles during trunk rotation. Spine (Phila Pa1976)27: E152-E160, 2002

Hodges.PW,et al: Feedforward contraction of transversus abdominis is not influenced by the direction of arm movement. Exp Brain Res 114: 362-370, 1997

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