記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画「レリック 遺物」を観た

レリック 遺物 を観て未来を思う
【予告】
https://youtu.be/87Na9RTwWQw

この映画は認知症患者にどの程度触れたことがあるか、身内に認知症患者がいたかどうかで理解度、没入感がだいぶ変わってくる映画だと思います。

※以下ネタバレ


アルツハイマー、認知症にこれでもかというほどフォーカスを当てた作品。
認知症による記憶の混濁、記憶の喪失を極限まで可視化し、それに巻き込まれる家族の困惑や不安感をホラー要素を織り込みながら丁寧に描いているなという印象でした。

○壁の中の迷路
閉塞感や先の見えない不安、孤独感を煽りに煽るあのシーン、まさに認知症進行中の患者の感覚そのものなのではないでしょうか。見知った場所のはずなのに全く知らない世界で、心細い中少しでも記憶をこぼさないように付箋を至る所に貼るエドナを思うと悲しくなります。


○黒いシミ
黒いシミは「失われた記憶」の可視化なのかな。「忘れてしまった」という痕跡だけが残るけれど、何を忘れてしまったのかは一生思い出せない。その不安感が広がっていく様を表しているように感じました。
体にできてしまったしみを抉りとっても記憶が戻るわけでもない。それが自分の娘、孫の記憶だとしても。

全ての記憶が剥がれ落ち、全身が真っ黒に覆われてしまったエドナ、まるで仏様のようだと感じました。
監督が日本にルーツがあるようなのでそこも関係しているのかもしれません。
認知症の症状が進行すると、それまでの凶暴性が落ち着き、穏やかになったりしますよね。最後のエドナの姿はまさにそれでした。
序盤のエドナが白を基調とした姿だったので全くの別人になってしまったのが対比として分かりやすかったです。

余談ですけどあの黒いエドナ、アニマトロニクスらしいですね。技術すげーや。

随所に黒い人影が見えるけど、忘れてしまった記憶の残滓だと考えるとやるせない気持ちになりますね。
曽祖父の家が黒いものに飲み込まれていく夢をケイが観ますが、あれも、まさにケイが記憶を失っていく瞬間だったのかも。

最後の最後で理解する遺物の正体。ケイはきっとどこかでわかってたんでしょうね。だから最後家に残る決断を出来たのかも。そしてサムも、遺物が受け継がれてしまったことをあの瞬間に理解したし、自分のもとにも遠くない将来やってくることに気づいたと思います。


必ず訪れる「老い」という恐怖。普段ホラー映像作品をエンタメとして楽しんでいる私のような人間にとって、この映画ほど恐ろしいものは無いのかもしれないと思いました。

最後に監督のインタビュー貼っておきます。
https://horror2.jp/48690

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,330件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?