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2019年地域CL3日目レポートと提言

今年の地域CLが終わり、いわきFCと高知ユナイテッドSCが昇格権を得ました。
いわきは東北ですが常磐線で1本なので行きやすい。
高知は遠いなー。お遍路さんした時以来だ。
せっかくだし原付で行くか。文久三年とか言いながら。

常磐線でいわきへ向かう。

そんなわけで3日目の試合を観戦しましたのでレポートです。

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それにしても、JヴィレッジはほとんどいわきFCのホームでした。地元開催ということでファンが多いのは理解できるけれども、駅から幟がたってるし、全然中立地って感じがなかった。スタジアムのスポンサー広告が、太平電業・日立・古河電工・関電工って並んでて、さすが発電所のお膝元だなーと思ったり。あとJヴィレッジの駅からスタジアムは20分弱くらい歩くので注意。
あと、駅の高橋陽一先生の絵が遠近法で頭身がおかしくなってた。もともとか。

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 今回は都合で仙台方向から向かったのですが、浪江ー富岡は代行バス。代行バスの車窓には蔦が這って人気の無い集落、看板もそのままに廃墟化したホームセンター、防護服を着た警備員、そして黒いビニール袋。来年3月には常磐線も復旧しますが、内陸側に移設された線路を走るひたち号からはこの風景は見られないのでしょう。これが日本の現実なのだなと思いました。

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前評判通りの強さを見せたいわきと力を出し切れなかった福井。

 1試合目はJFL昇格が確定しているいわきFCと、敗退が決定した福井ユナイテッドの試合。雨が降りしきるコンディションでの一戦となりました。

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試合は全体的にいわきペース。身体の強さ、スピードなどの面で福井を圧倒します。

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しかし、先制したのは福井。セットプレーのこぼれ球を中筋誠が押し込みます。

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 いわきは前線の赤星魁麻が負傷で吉田知樹に交代。そのまま前半を折り返します。後半もいわきペースで進むと、元HondaFCの日高大がサイドを抉りグラウンダーのクロスをゴール前に入れるとバスケスバイロンが決めて同点。

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その後もいわきが猛攻を仕掛けますが、福井のGK千葉奏汰がファインセーブを連発しゴールを割らせません。

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追いつかれた福井も攻撃に転じ、中筋誠に替えて金村賢志郎、御宿貴之に替えて山城純也を起用しますが、決定機のシュートがゴールポストに当たるなど勝ち越しを奪えずそのまま試合終了。最後はシュートで終わることができず、中途半端なところで終わった印象でした。失点覚悟で3枠残していた交代枠で攻撃的なカードを切っても良かったのではないかなと思いました。

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 試合全体としてはいわきの前評判通りの身体の強さを感じました。バスケスバイロンのスピードは凄い。他にも、日高大前田尚輝も印象に残る動きだったと思います。決勝ラウンドで唯一いわきに負けなかった福井の粘り強い守備も非常に良かったと思います。一方で、福井は予選で見せた攻撃面が見られなかったのが残念。前線の選手の豊富さなら本大会屈指だったでしょう。また、雨の影響でパスが弱くなったり逆に球足が速くなったりとコンディション的にはやりにくい面があったことも、両チームに影響を与えたかもしれません。大会関係者のほか、両チームの選手、スタッフ、サポーター、冷たい雨の中お疲れ様でした。

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一つ前の記事にも書きましたが、福井ユナイテッドには期待しています。来年こそは。

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勝つしかない高知、外人選手に賭けたおこしやす京都。

 2戦目は勝った方がJFLへの切符を手にする大一番。得失点差の関係で引分の場合はおこしやす京都(以下、お京都)が昇格というアドバンテージを持った状況。
元代表選手を含むガーナ人選手を5選手にキルギスU-23代表までも擁する国際派お京都ですが、この日は先発全員を入れ替えて日本人で固め、外人3選手はベンチスタート。元町田の勝又慶典や元岡山の澤口雅彦あたりは有名ですね。一方の高知は大幅な選手入れ替えはせず、2戦目の福井戦から村上→泉のみ入れ替え。ディフェンス陣は3戦同じ陣容です。

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 試合は開始早々高知が優勢。勝つしかない高知が猛攻を加えると、セットプレーから西村勇太が決めて先制に成功。その後も高知ペースで試合が進みますが、お京都も前線の勝又が身体を張ったプレーでチャンスを創出します。なお、スタッツで見ると、高知は前半シュート2本だけなんですね。かなり攻めていた感じですが。

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 このまま行くと敗退という状況で、お京都は61分に大勝負に出ます。外人選手3選手を3枚同時投入し、攻勢をかける作戦に。イブラヒム、サバン、エリック

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 交代を告げられた勝又はフラストレーションの溜まる展開からか、かなり感情を露わにしていましたが、チームとしてはここで攻勢をかけて同点、勝ち越しを狙おうと賭けに出たのでしょう。しかしその狙いとは裏腹に次の得点も高知。64分に自陣にボールを運ぶと、交代したばかりの前原大樹がPA外からミドルシュートを決めて2点目。これはナイスゴール。

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 2点差となり窮地に追い込まれたお京都は外人選手の個人技を絡めて猛攻。エリックからイブラヒムへの縦パスのダッシュではどよめきが起こりましたが、いかんせんゴールが遠い。両チームともにファールで倒れる場面が多く、75分ごろにはお京都がサイドからの崩しでゴールを揺らしますがこれはファールとの判定でノーゴール。78分には交代で入ったイブラヒムを早々に諦めてDFの森崎広樹に交代するなど采配の面に少し疑問の残る部分もありました。

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 お京都が猛攻も点が取れない状況が続いた87分、ゴール前での相手DFのパスミスを見逃さずにゴールに結びつけた高知が決定的な3点目。それでも最後まで諦めないお京都はゴール前でフリーキックを得ると、その後のコーナーキックを澤口雅彦がヘッドで決めて1点を返し尚も猛攻。

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 しかし同点にするほどの時間は残っておらず高知が勝利。。高知はトラスターFCアイゴッソの合併を経て、初めてのJFLとなります。高知から来たのでしょうサポーターも声が出ていました。(一部いわきFCからの加勢もあったようですが)

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 高知は序盤に先制して主導権を得ると美しいミドルと相手のミスで追加点。最後は猛攻でバタつきましたが勝利を掴み取りました。最終ラインから果敢に上がる山下宏輝の豊富な上下運動が特に印象的。一方のおこしやす京都は、外人3人同時交代が結果的には身を結ばず。攻勢には出ることができましたが、反面チームのバランスが崩れた感じもしました。お京都にチーム名変更後は初めての試合観戦でしたが、試合前には自分たちを鼓舞するかのように大きな声でハイタッチ。試合中はどれだけビハインドでもポジティブな声がかかり、非常に好印象でした。土師コーチの声が特に響いていましたね。このチームも代表は若く、東大卒の元Jリーガー添田隆司。どういったコネクションなのか不明ですが、珍しい多国籍なチームでもあり、頑張ってほしいなと思いました。

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大会を過酷なまま放置しているのは誰だ。

 結果的に、福井とお京都は今年も昇格を阻まれる結果となりました。福井はサウルコス時代含め決勝ステージ3回目の敗退。お京都はアミティエSC時代含め決勝ステージ2回目の敗退。今日の試合を見る限り、決勝の4チームはどのチームがJFLへ昇格してもそれなりの成績を残せるでしょう。本当に少しのミス、選手やピッチのコンディション、采配のさじ加減が左右したとした言いようがありません。逆にいえば、どうしてそんなレベルのチームが昇格することができないでしょうか?

 はっきりといえば、地域リーグからJFLへの昇降格が、あまりにも狭き門になっているからです。そしてその現状は問題だと思います。ここのところ地域CLを”過酷な戦い”と煽る記事を見かけますが、それに対して個人的には違和感を感じ得ないのです。確かに、昇降格の残酷さは見るものにとっては非常に面白いものです。しかし、選手に過酷な戦いを強いているのであれば、それは是正されるべきではないでしょうか。以前のような3日連続試合というどうかしている日程が改善されたように、ピラミッド自体の改革を進めても良いのではないでしょうか。

 現状のレギュレーションでは、全国9地域リーグの優勝チーム+3チームからわずか2チームしか昇格出来ません。例えばJ1とJ2との間は最大3チームの昇降格があります。すなわちJ1の18チームのうち3チームが最大で入れ替わることになります。一方で、地域リーグは各地域の1部リーグが10チームずつとして90チーム程度がひしめいていることになります。その中で、昇格の椅子はわずかに2。あまりにも少なすぎでないでしょうか。9地域のうち7地域は、今年の優勝チームが来年も居座ることになります。下位のチームからしたらたまったもんじゃないですよね。昇格を果たしたいわきFCは今年リーグ戦負けなしで得失点差が+100、高知ユナイテッドもFC今治が昇格した後の3年間でリーグ戦わずか1敗。今年は14戦全勝優勝で得失点差は+88。柏もびっくりです。敗退した福井やお京都も、地域リーグではほぼ負けなしの状態。地域リーグにいてもほとんど敵なしです。それでも、地域CLで勝ち上がれなければ来年も地域リーグ。
 一方で、JFLからの降格もダメージが非常に大きい。JFLから降格して再度昇格したチームは、ホンダロックしかありません。しかも、再昇格じは決勝ラウンド3位までが昇格でした。(2010年降格の流経大と、2015年昇格の流経大ドラゴンズも実質的には同じ母体ですが)JFLから降格した栃木ウーヴァ(現栃木シティ)浦安女川も、新興チームに阻まれ今年は地域CLにすら駒を進められていません。

 また、地域リーグから全国リーグにいきなり上がるのはチームへの負担が非常に大きい。高知ユナイテッドも、今年までは一番遠くて徳島辺りだったのが来年は青森とか仙台とかに行かないといけません。しかも、場合によっては連続してアウェイなんてことも。選手の身体的負担はもとより、チームの移動費も跳ね上がります。いわきFCくらい選手もチームも体力がありそうなチームでも、全国リーグは未知数。チームの体力がないと試合をこなすだけでも大変ですし、チームの体力はすぐにはつきません。段階を踏んでスポンサーも増えていくものです。そういう面からも、地域リーグと全国リーグを埋める存在を作るべきなのではないかと個人的は考えます。

JFLと地域リーグの間に分割リーグを作るのはどうか。

 ここからは個人的な提言ですが、JFLと地域リーグの間に、JFL2部東、中、西地区でもいいので分割リーグを作るのはどうかと思います。地域リーグ、JFLからの昇降格の緩和と、地域リーグと全国リーグとの橋渡しとしての位置付けが目的です。ちなみに、「Jで東西リーグは作らないと」チェアマンが以前断言していた気が。
 昇格面では、地域リーグが9リーグなので3分割で各地区2チームずつ昇降格にすれば単純に地域リーグからの昇格枠は6に増えます。JFLへの昇降格は各地区上位2チームでプレーオフが妥当でしょうか。この辺は、Bリーグのレギュレーションが参考になりそう。
 移動面でも、東はざっくり北海道・東北・関東、中は東海・北信越・関西、西は関西・四国・九州とすれば平均的にアウェイの移動距離も短くなります。また、近場のアウェイなので、相互に観客数的にもメリットがあるはず。

 ちなみに、各リーグ12チームとした場合、J1から数えてだいたい110チームがこのリーグまでに収まることになります。Jリーグの100年構想って全国に100チームがどうたらみたいなのなかったっけ。

もちろん、上記は机上の空論です。ただ、Jを目指すチームが、どんどん増えているのも事実です。県単位のチームがほぼ全県に誕生した今、次は地方都市単位のチームが増えています。代表例は今治やいわき、最近だと福山なんかもそうでしょう。求心力のあるオーナーや、スポーツビジネス面に明るい経営者を擁するチームが乱立する中、いつまでも古いピラミッドのままでいることが日本のサッカーにとって障壁となっていないか、真剣に議論すべきタイミングに来ているのではないでしょうか。また、JFL自体の価値向上という意味でも、価値ある議論ではないでしょうか。

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