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キラキラの鳴る方へ

アイドルを英和辞書で調べると、以下のような翻訳があてられている。

アイドル
-Idol 偶像、聖像、偶像視される人、崇拝物。

アイドルとは本来であれば存在し得ない偶像であり、幻のようなものである。しかしこの世にはアイドルという職業が存在し、夢を見せること、届けることを生業とする人間もいる。
私はこの夢に魅せられ続けて、早15年近く経つ。
ジャンルや国は違えどアイドルという存在は私の人生には欠かせないものとなっている。

私はこの夏、大好きなアイドル2人を拝んだ (正確に言えば1人はアイドルではく、アイドル性を持つロックスターだ)。今回はその2人の話をつらつらと。

2022.08.20 SUMMER SONIC TOKYO DAY1

今年のサマーソニックは3年ぶりの開催、DAY1のヘッドライナー・The 1975を見るために雨に打たれながらマリンスタジアムで群衆の中にいた。
初出演の'13年は、期待の若手バンドが配置される傾向にあるお昼間のソニックステージ、そこから翌年マリンステージへ、'16年にはソニックステージのトリ、コロナ前ラストとなった'19年には準ヘッドライナー、そして今年ついにヘッドライナーとして彼らはサマソニに舞い戻ってきた。
ここまで順当にひとつのフェスの中で格が上がっていく例はなかなか見ないだろう。

'13年出演当時の映像がネットの海には残っている。なんだか若くて緊張もしていそうな雰囲気がビンビンに伝わってくるステージ、そこから、9年の年月を経た今年のヘッドライナーとしてのステージでのあまりの余裕と穏やかさは、バンドが名実ともに大きくなったことを証明するようだった。

私が初めて1975を見たのは、'19年のサマソニ、'18年リリースの『A brief inquiry into online relationships』のリードトラックだった「Give yourself a try」を聞いたことをきっかけに、それまでほぼ聞いていなかった1975の音楽にどっぷり浸かることとなり、髪の毛をgive yourself a tryのMVでのマシューヒーリー(Gt.&vo.)と同じオレンジ色に染めて意気揚々と見に行った。

そもそも何で聞いていなかったのかといえば、シンプルに当時の自分にとっては音がお洒落すぎたからだ。'16年の来日の時にはその時のヘッドライナーだったRadioheadをどうしても見たく、1975は眼中にもなかった。マッティ(マシューの愛称)ギャルなる熱狂的な女性ファンも多く、なんとなく毛嫌いしていたし、今は多少考え方も変わっているが、当時の自分はバンドマンがアイドル視されるのをあまり好まなかった。このように、人から見れば本当にどうでもいい要因が重なり、聞くことを避けていたのである。

'18年頃の私の音楽趣味は、我武者羅なガレージロックが好きで、ポストパンクにも傾倒し始めていた頃、その時に聞いた「Give yourself a try」に一瞬にして惚れ込み、どハマりし、アルバムを聞いて、これは絶対にライブを見ないといけないと思い、サマソニで拝むに至った。
前述したオレンジ色の髪に染めてライブに向かった自分は昔毛嫌いしていたマッティギャルそのものだった。沼に落ちるとは本当に怖い。(こうは言っているもののイチ推しはギターのAdamである)

'19のライブは、大吟醸の一升瓶をおともに、見た者に大なり小なりの衝撃を与えていた気がする。少なくとも見終えた自分には多幸感を超えて希死感すらもあった。後にも先にもあれを超えるライブに出会うのは難しいのでは?と今でも思うくらい、美しさと混沌と衝動とが綺麗なバランスで存在していた。「SEX」のラストでマシューなだれ込みながら、バックスクリーンに映った"ROCK & ROLL IS DEAD GOD BLESS THE 1975" の文字を忘れることは無いのだろう。

そんな張り詰めた緊張もあったライブから3年、黒スーツに身を包み、颯爽と登場し、90分間、今彼らが送る最高レベルのセトリを披露し、圧巻のライブをして軽やかに去っていった。マシューをはじめとするメンバーたちはずっと笑顔で、日本でのライブを楽しんでくれているような気がして、雨の中でもとてもしあわせな空間だった。
今回のマシューヒーリーはというと、また一升瓶かと思いきや、魔法びんに酒を入れて、お猪口も持参して、カンパイ!と言ってちびちびと飲み、タバコを燻らせながら、調子が良さそうにライブを進めていった。

前回の来日時には聞けなかった「Love me」のイントロのギターが2曲目に聞こえてきた時には、思わず声が出てしまった。2番のサビ前にHAHAHAHAHAA〜!!😆とご機嫌そうに笑った後、サビ終わりにはWE'RE BACK!!!!!!と言うものだから、年々涙腺が脆くなっている私は、目頭を熱くしていた。マシューがLove me!と歌えば、こちらは大好きだ!愛してる!めいっぱい愛されろ!幸せになれよ!と返すしか言葉がないわけである。
これは僕のお気に入り曲と言って「Paris」や「A Change of Heart」をやってくれたのも嬉しかったし、8/20時点で未リリースだった新曲「I'm In Love with you」も "昨日まではやらないって決めてたんだけど… 聞いたことないでしょ?もし新曲が好きじゃ無くても、ただ笑って楽しいフリをしてね" なんて言って演奏をはじめるものだから、なんだかいじらしさを感じて、こういうところに愛嬌があるというか、ロックスターではあるけれど、表情も豊かにパフォーマンスするところも見ているとアイドルっぽさもあって、目が離せなくなる。
ライブ全編ハイライトだが、今年も「The Sound」でファッ◯ンジャンプをキメられたのと、ラストの「Give Yourself A Try」でもう涙腺大崩壊祭、我がアンセム、こういう状況下でなければ咽び泣いて歌っている不審者だったと思う。

ステージ上のバンドはカラーで生身なのに、バックスクリーンでは常にモノクロなのもあって、一本の映画を見ているような、その映画の中にいるようなそんな感じもあって、とても満足度が高いライブだった。公式発表はまだないものの、マシューのMCにて、来春には単独来日があるとサマソニ大阪の方で言ったらしく、全通したいところだが、まずは来月のアルバムのリリースを楽しみにしたいと思う。


2022.08.29. SMTOWN LIVE 2022 : SMCU EXPRESS@TOKYO

こちらも3年ぶりの日本での開催。韓国の大手芸能事務所SMエンタテインメント所属アーティストが一同に会するフェスのようなコンサート。元々は8/27と8/28の2日間公演だったが、盛況につき追加日程が決まり、私はその日に行ってきた。SMTOWNは、日本での開催は10回目だが、私はコロナ禍でKPOPにハマったこともあり、初参加。私の目当てはもちろんNCT、その中でも一推しのジェミンを初めて生で拝める機会ということもあり、正直29日の仕事はほとんど身が入らなかった、ソワッソワっソワッソワっしてしまい、会社には「すみません!SMTOWNのため帰ります!」と叫んで早退した。

(私の、ジェミンへのやや重たい感情は過去のnoteをご参照ください。人により胃もたれするかもしれません汗)

アイドルは正直、画面上で拝むのがちょうどいい存在ではあるのだが、生で見られる機会があるならば、それは拝みたい。
来日直前のジェミンのビジュアルを見て、プラチナカラーヘアのとんでもなく人智を超えたそれに、スマホを10m先くらいに投げてしまい、だんだん生で見るのが怖くなり、生で見たら生きて帰れるかわからないという謎の心配をしつつも、私は会場の東京ドームに乗り込んだ。

アイドルの現場ではとりあえずよく踊るゴリラになる私、開演前に入った時にはDJタイムで、もうそこから楽しくなってしまい、入場即ゴリラ。本命はジェミンが所属するNCT DREAMと NCT全体ステージだが、そんなことも忘れて即ゴリラ。音楽オタクはチョロい。

本編がスタートし、aespa、WayVを経て、ついにNCT DREAMの出番、手にはうちわ、オペラグラス、ジェミンをしっかり拝むためにゴリラダンスモードは省エネ、さあ来いジェミン、拝む準備は整った、対戦よろしくお願いします。

対戦結果
キラキラしすぎていて記憶がほとんど飛んだ。

想像の813億倍、ジェミンはキラキラしていた。まごうことなき本物のアイドルであった。こんなに輝いている人間が存在するのか疑わしいくらいに煌めいていた。カメラで抜かれるたびにどよめく会場、もはやMCの時間で喋っているのが嘘なんじゃないか……??と思ってしまうくらいには幻を見ている気分だった。
たまにジェミンが出ているコンテンツを見ていて、どうしてこの人はアイドルを職業にしているんだろうと思うことがあったが、そんなことはどうでもよくなるくらい、彼のステージ上での姿は夢の権化のような、アイドルになるべくしてなったのだろうと思わざるを得ない煌びやかさがあった。

ジェミンが今どれくらいアイドルを楽しんでいるかはわからないが、楽しそうにファンサしているところや、バチバチにパフォーマンスするところを実際に拝んでみると、けっこう調子が良さそうである(誰)
アイドルは順調に見えても、いつ消えるかわからないのが怖いところだが、ジェミンはとりあえず大丈夫そうかな…? と信じたいところ。

キラキラ具合もさることながら、エグい体幹が伺えるどっしりとしたダンスも生で拝むことができた。NCTはダンスが上手い人間が多くいるが、その中でもジェミンは個人的に好きなダンススタイルをしているメンバーのひとりだ。
NCTの中でダンスで注目されるメンバーはバッキバキに踊るスタイルか、身体の柔軟性を存分に活かした指先まで繊細な表現をするスタイルかがメインなような気がするが、ジェミンの場合は、バキバキといえばバキバキだか、それよりも重くどっしりと存在感を示すダンススタイルが特徴的だ。この存在感でこのお顔である、目で追わないわけがない (完)。

ラストの全体曲の時には、出演者全員がTシャツにデニムやスカートのような形だったので、はじめこそオペラグラスで探すことに苦労したが、見つけてからはずっとジェミンしか見ていなかった。センターステージにとどまってはいたが、ファンサをしていたり、他のメンバーたちと肩を組んだりと、楽しそうにしているところを見て、この人が推しで良かったなあ、今日拝むことができて良かったなあと思い耽った。おかげで他のメンバーのことはほとんど見ていないが、ジェミンを拝むという目的を果たせたので良し。
どこかでまた来日する機会があるかわからないが、NCT DREAMの単独コンサートはめちゃくちゃ行きたいので、公式からのお知らせが待ち遠しいところ… 。

今週末9/8と9/9には韓国にて単独コンサートが予定されている。本当は7月末に予定されていたが、メンバーのコロナウイルス陽性診断によりリスケジュール。韓国の中でもトップクラスのキャパシティを持つオリンピックスタジアムでの2days公演、ライブストリーミング配信もあるので、当日は一刻も早く仕事を燃やして画面越しにコンサートに参戦しようと思う。


長々と二つのトピックについて書いてしまったが、コロナ禍で無くなっていた現場が、徐々に元の形で開催されつつある中で、こうして我がアイドルたちを拝めたのは本当に幸せな記憶になったし、やっぱり現場は最高だと身に染みて感じることができた。
現場大好き芸人だった私が、この2年現場が無くもやもやしていた日々から、ようやく解放されるのかと思うと、すでに多幸感でいっぱいだが、まだ少し油断はできない状況ではあるので、コロナとうまく付き合いつつ、現場を増やして行きたい。


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