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私が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を選んだ理由

映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』の公開。
コンピューターゲーム『バルダーズ・ゲート3』のゲーム賞総なめ。
『Dead by Daylight』、『Destiny 2』と相次ぐコンピューターゲームとのコラボ。

ここ二年程で、TRPGシステム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の名前が目に入る事が増えていることでしょう。

しかし、公式が「世界で一番遊ばれている」とか言ってたり、50年の歴史があるとか、なんか凄いんだなーみたいな事はわかっても、結局どういうシステムなのかよくわからないかもしれません。散々記事で文化的な影響や細かい事を説明してきたのに、明確に説明できなかった私も同罪でした。

しかし、それがどういいのかは人それぞれだと思います。
別に「TRPGがやりたい」、「ファンタジーがやりたい」なら、『クトゥルフ神話TRPG』とか『ソード・ワールド』でも十分役割は果たせると思います。

なので、ここでは私自身がD&Dを遊び始めた経緯から、なぜ私は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を選んだのかを紹介しようと思います。

歴史的重要性

私が初めてTRPGを遊ぶ2年前、大学の卒業論文として、私は日本国内での西洋風ファンタジー観の流入拡大について書いていました。
その内容は下の記事に任せるとして、卒論は私自身の今まで続く「RPG史の探究」の始まりとなりました。

卒論を書く中で、やはり『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の名前は真っ先に思い浮かびました。すべての「ロールプレイングゲーム」と名のつく物の元祖。その名前はTRPGにあまり明るくなかった当時の私でも知っていました。

そして、のちに友人からD&Dのセッションに誘われた時、「これだけRPGの歴史的に重要なものなら遊んでおいた方がいいだろう」という判断に至ったのです。

そして、これ以降、私は『ファイナルファンタジー』など国内の80-90年代のファンタジーRPGとの関連性や、TRPG側でのファンタジー観の成長など、歴史的な理解も深めていくことになります。

「ファンタジー」に真摯

ソード・ワールドでの体験談

時は2020年の3月。ベテランGMの知り合いが軽くTRPGを遊ばないかと誘ってきました。

そのシステムは『ソード・ワールド2.5』。
そして、結論から言ってしまえば、自分からすればそれは散々なものでした。

キャラクターとしてただ「冒険者ギルドに所属している」という情報だけでギルドの酒場でパーティを組む流れになり、「野山にドラゴンらしき影を追う」というシナリオも、いつの間にかただ淡々とデータを管理するだけになりました。

そして、重要なのはここからです。
魔法といえば変身といった憧れを持っていた自分でしたが、最初のルールブックだけで遊んでいた自分には、それらしき魔法を使えるデータも見つけられないまま、最終的に有用性だけでただダメージを与えるだけの呪文を選ぶことになりました。
というか、レベル1ではそれか回復ぐらいしか選択肢がなかったのです。「人形を動かし偵察させる」といった能力もありましたが、要求レベルが高すぎました。

しかし、ターゲットのドラゴンもどきを追う中で、変身能力を持つという敵が立ちはだかったのです。
その能力はシナリオに関わる事はありませんでしたが、GMが知識の判定に成功したために開示されたものでした。

やっぱり変身はあるんじゃないか!と魔法使いのPCであった私は「その力を学ぶ事はできるか?」とロールプレイしました。しかし、GMは「穢れ」と呼ばれる魔の力によるものであって、プレイヤーの種族は使う事は出来ないと切り捨てたのです。

D&Dがくれた感動

時は流れ、私が初めてD&Dのルールに触れたときの事。
一通りルールを確認していた私の前に現れたのは、動物という縛りこそありましたが、私が求めていた変身の呪文でした。
変身の呪文は比較的高レベルでしたが、低レベルにも遠隔で物を操る魔法の手の呪文、食べ物の味を変える呪文など、

その時読んでいたのは内容の限られた無料版のルールでしたが、それだけでも私を感動させるには十分でした。

「ロールプレイングゲーム」の元祖として、D&Dは「ファンタジーRPG」である事に媚びへつらっていないと感じます。
その大元のイメージソースは西洋の伝承や古典、ファンタジー小説の数々であり、魔法で家事を済ませる魔法使い、吟遊詩人の巧みな話術、狩人の追跡の技術など、日本では『ドラゴンクエスト』などといった現在のコンピューターRPGに至るまでに削ぎ落されてしまった部分も、確かに生き続けています。「魔法のある世界に生きる」事に真摯であるように感じます。

確かに、選択肢の多さなど、データ上の重さは犠牲にはなっていますが、基本のキャラクター作成ルールだけでもファンタジーの典型的な要素の数々をカバーできているのです。

『マジック:ザ・ギャザリング』

先に同じく2020年、夏にはTCG『マジック:ザ・ギャザリング』(以下MtG)の翌年の製品ロードマップが公開され、そこには『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の姿がありました。

その後同年の12月、友人のMtGの世界観で遊べるサプリがあるから遊ばないかと誘われたのです。

以前から英語でD&D側にMtGとのコラボサプリメントが発売されていた事は耳にしていましたが、MtGでもその逆が行われるということで、先んじて知っておくことでより楽しめるだろうなと思ったのです。

2018年から2022年にかけて発売された、『マジック:ザ・ギャザリング』の世界観で遊べる公式のコラボサプリメント。日本展開が独自ラインナップになると発表された今、国内でのMtGの人気を鑑みて発売してほしいところだが…。

「自作」

私は2018年から、ファンタジー世界観創作『Project Nilarth』(プロジェクト・二ラース)の企画を動かしていました。
これは、5つの主要な大陸と文化を持つ世界を描くもので、根幹としては(そして現在も半分)『マジック:ザ・ギャザリング』の二次創作として始まったものです。

簡単なロゴも作った。

当初は雑多な設定と、仲間内で公開していた何枚かのMtGのオリジナルカードだけでした。しかし、他にも何らかの形で残せないかと考えていたのですが、文章や絵などは、自分のモチベーションを維持しながら作り続けるにはハードルが高すぎました。

そんな事を思っている間に、友人から初めてD&Dに誘われたのですが、当時の自分は海外の大型掲示板Redditに入り浸っており、その中でD&Dが時折「Homebrew」―すなわち「自作」という単語と関連付けて使われている事を思い出しました。

つまり、「ルールを覚えれば、二ラースの世界観でD&Dできるんじゃないの?」という事です。

TRPGなら、自分で細かいところを一から十まで用意しなくても世界観を伝え、表現できる。モチベーションを維持しながら続けられると考えました。

これぐらい、別にどんなシステムでも、やろうと思えばできることではあるでしょう。
しかし、D&Dは根本に多元宇宙マルチバースを持つ事からもわかるように、多様なファンタジーの世界観で遊ばれる事を前提とした作りになっています。
そして、二ラースがMtGを根本とする世界観だったため、公式にMtGの世界観で遊べるコラボサプリがある事も、私の考えを正当化してくれる軽い助けになってくれました。

まとめ

以上が私がD&Dを選んだ理由です。元々自分自身の英語力や英語圏文化への理解もあったため、皆さんには当てはまらない所は多々あるかと思いますが、あくまでこの記事は一例であり、他の皆さんの体験談もあって初めて成立するものだと思っています。

そこで、既にD&Dを遊ばれているという皆さんが読まれているのであれば、X.comなどSNSに #私がDnDを遊ぶ理由 のハッシュタグをつけたり、この記事のコメント欄に投稿することで、皆さんの体験談を募集したいのです。そうすることで、D&Dの他にない特徴を浮き彫りにし、D&Dに興味のある皆さんの参考になるのではないかと思うのです。
投稿されたら喜んで見に行きます。

そして、これからD&Dを遊ばれる皆さんは、『クトゥルフ神話TRPG』でもなく、『ソード・ワールド』でもなく、何を思ってD&Dを選ぶのでしょうか?

この記事、そして様々な体験談があなたがD&Dを選ぶ一助になる事を願っています。


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