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【超音波#5】たまねぎ戦士

こんにちは。msk3104です。

この記事にたどり着いていただきありがとうございます。

前回は、豆腐やゼリー、プリンを使った画像で音響インピーダンス硬さの差高輝度低輝度について書かせていただきました。

健常と異常を判断する上でとても大切なポイントです。


スライス幅

今回は、こちらの画像を使いスライス幅またはビーム幅について書きます。

聞き慣れない言葉ですが、わかれば簡単です。

まずは、画像をご覧ください。

手のPIP関節部の中節骨裂離骨折の画像です。長軸、短軸の画像があります。

一見、骨折時の通常の画像です。

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しかし、とても大切な情報が詰まっています。

説明するとめちゃくちゃ長くなるので結論から言います。

超音波の画像には奥行きがあります。

焼肉のたまねぎ

いきなり話が変わりますが、みなさん焼肉を食べに行くとたまねぎも食べますよね?

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このたまねぎがポイントです。

頭の中で上のたまねぎイラストの中に、場所の異なる点が2つあると想像してくだださい。

その2つの点を、たまねぎの正面、上、どちらも点は見えますが、見え方に違いがあります。

そこで大切なのがたまねぎの幅です。

正面からみると、点の高さの違いがわかります。

上から見ると、点の前後の違いがわかります。

これは、たまねぎの幅がないとわからないですよね。

まとめると下の図になります。

画像4


超音波のプローブから出るビームに幅がある。

先程のたまねぎは幅があることで、見る方向により高さや奥行きの違いを判断することができます。

超音波のプローブにも同じように幅があります、これをビーム幅、(スライス幅)と言います。

超音波のビームは分解能を高めるため集束しています。これは次回詳しく書きます。

画像3

この幅にある情報を1枚の画像として描出します。

1枚の画像に騙されない。

下の図の水色の部分がビーム幅だと思ってください。

左が長軸で描出している画像です。左は水色のビーム幅で短軸で描出した画像です。

①は黒の線にしかビームが当たっていませんので、短軸も黒の線が描出されます。

②は黒と赤の線の両方にビーム当たっていますので、2つとも描出されます。短軸では重なって描出されますが、実際には重なってはいません。

実際の骨折時にこういった画像がみられます。

③は赤の線にしかビームが当たっていませんので、短軸も赤の線が描出されます。

画像5

1つなのか、2つなのか。

それでは、最初の画像をみてみましょう。

画像6

中節骨の裂離骨折です。

長軸像で見ると骨片は一つの塊のように見えます。

しかし、長軸で2箇所場所を変えて描出してみると、骨片が上と下にわかれているのがわかります。上下に2つある可能性が出てきますね。

次は、骨片の部位でプローブを90°回転させ、短軸で描出した画像です。

短軸で描出すると、骨片が横に並んでいます。

この画像では骨の長軸、短軸に正確に当てていますので、短軸では骨片の重なりを描出することはできなかったのですが、短軸でやや入射角を変えると骨片の重なりが描出されると思います。

大切なのは、長軸、短軸を両方描出して比較することです。

情報は多い方が良い

一枚の画像だけではわからないこともあります。長軸で判断できること、短軸で判断できることを把握し、解剖図を立体的にイメージすることがとても大切です。

超音波画像を描出する前に、色々と問診、触診、検査などを行い、ある程度損傷部位を特定し、どのように描出されるかを想像します。そうしなければ異常は見つかりません。ただ闇雲に画像を描出しても意味がありません。

超音波の前に、柔道整復師としての判断が大切ですよね。

最後に超音波画像で答え合わせをして、説明することで説得力が信頼される柔道整復師になっていきます。

今回はやや長く複雑でした。

頭の中で立体的にイメージして、想像する訓練をしてイメージを鍛えましょう!

次回は、フォーカスについて書きます。

お楽しみに。

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