フィルム機っぽいデジカメレビュー(Leica M8 M9 M10 & EPSON R-D1s)
自分が使ったフィルムカメラっぽいデジカメのレビュー記事です。
長いので目次から興味ある部分に飛んで読んで下さい。
はじめに
私がこれらのカメラを買うことになったきっかけは、
単純にフィルムカメラにハマったからです。
初めて手にしたカメラが既にデジタルカメラだった自分には、
フィルムカメラは価値観がひっくり返るほど衝撃的で楽しいものでした。
その後色々なカメラを使いましたが、フィルム代や現像費の高騰やフィルムカメラの不便な部分が気になりだして
もう少し手軽に使えてフィルムカメラぐらい楽しいデジカメはないのか?
と思っているときにR-D1sの事を知りました。
EPSON R-D1s
2004年に登場したR-D1の後継機で、VoigtlanderのフィルムカメラのBESSAシリーズをそのままデジカメ化したようなカメラ。
デジカメ部分はEPSONが設計し、Voigtlanderから発売する予定が大人の事情でEPSONから発売することになった機種。
EPSON R-D1s の spec
センサ:23.7mm×15.6mm APS-CサイズCCD 610万画素(3008×2000px)
ファインダー倍率:1.0倍
距離計連動範囲:0.7m~無限遠
視野枠:28 / 35 / 50mm 手動切替
シャッター速度:1/2000~1秒、バルブ
ISO感度:200 / 400 / 800 / 1600
LCD:2.0型TFTカラー液晶(23.5万画素)
撮影可能枚数:約360枚
サイズ:142 x 88.5 x 39.5mm(突起は除く)
質量:約560g(バッテリーなど含まず)
R-D1との違いは、RAW&JPG同時記録やプレビュー画像の拡大に対応したという程度でほぼ同じもの。さらに後継機のRD-1xは採用していたLCDが廃盤になった為に固定式になっただけ。
レビュー
液晶を閉じればどこから見てもフィルムカメラな見た目、
シャッターチャージレバーによるフィルムカメラと同じ操作リズム。
CCDセンサの独特の写りなど、
唯一無二の存在でとても気に入っていました。
ただ悪い部分も多かったです。
まずは、水平に撮れない問題。
ファインダーの作りが簡素なのとファインダー倍率が等倍なのも相まって水平取りが思い通りいきません。
デジタルなので成功するまで撮り直せばいいと思っても、光学ファインダーから目を離して写真を確認してまた撮るというのを繰り返すのは大変です。
あとは、測光とホワイトバランスが大暴れすることも問題でした。
測光は、画面左下あたりを重点的に測る方式のみで他の方法が選べないため、画角の左下が日陰なのか日向なのかで露出が1EV以上変わるし、縦に構えた際に右手を下にすると空を測光してしまい被写体は真っ暗に写ります。
これは、
つばのある帽子を被っていると縦構図で撮れないことを意味します。
ホワイトバランスは、夕焼けが紫になったりと逆光や変わった光源下では大暴れします。
あとはISOオートが無いので暗い場所ではISOダイヤルが見えずに苦労しました。
そんな不満点もありますが、
シャッターチャージレバーに、回る背面液晶、デジタルなので撮り放題と、
デジタルとフィルムの良いとこ取りみたいなカメラで好きでした。
Leica M8
Leica初のデジタルカメラ。2006年発売。
まだフルサイズセンサーではなくAPS-Hサイズのセンサを搭載。
1/8000のシャター速度が使えるがシャッター音が大きい。
また、シャッターのチャージ音も結構な音がする。
Leica M8 の spec
発売年:2006年12月
センサ: APS-HサイズCCD 1030万画素(3916×2630px)
ファインダー倍率:0.68倍
距離計連動範囲: 0.7m~無限遠
視野枠: 24/35 , 28/90 , 50/75mm 自動切替
シャッター速度: 1/8000~32秒、バルブ
ISO感度: 160~2500
LCD: 2.5型 LCDモニター
撮影可能枚数: 約500枚
サイズ: 139 x 80 x 37mm(突起は除く)
質量: 約545g
レビュー
ある日、THE MAP TIMESで記事を読んでいたら記事の最後の広告で
15万円で売られているのを見てライカって手が届く価格帯なのだと知った。そして気がついたら手元にはM8がありました。
R-D1sから比べると作りの良さは明らかで、
特にファインダーの良さは流石だなと思いました。
R-D1sではあれだけ苦労していた水平に撮るということは
M8では何も気にしなくても可能でした。
背面液晶もR-D1sよりは綺麗だし、
センサーサイズも解像度も上がって文句なしでした。
不満点は、
ISOオートだとISO80から使えないので明るいレンズが昼間開放で使えないことと、シャッター音が「バチーン!」と煩く撮影場所が限られることでした。
赤外線フィルターが無いので、黒い服が紫色に写る問題は特に気になるほどではなかったので高いIR&UVカットレンズフィルターは買わなきゃよかったなと思ってます。
あとはまぁ仕方が無いことですが、センサーサイズがAPS-Hなのでレンズの焦点距離が1.33倍換算になることがレンズを買い足しだすと不満に思えてきます。
とはいえ、そんなに気にしてませんでしたが
visoflexを使うようになるとそれが気になり始めます。
Leica M9 (M-E typ220)
2009年発売。ついにフルサイズセンサーを搭載。
シャッターチャージ音は相変わらず煩いが、シャッター音は静音化された。
Leica M9 の spec
発売年:2009年9月
センサ: フルサイズCCD 1800万画素(5212×3472px)
ファインダー倍率:0.68倍
距離計連動範囲: 0.7m~無限遠
視野枠: 35/135 , 28/90 , 50/75mm 自動切替
シャッター速度: 1/4000~32秒、バルブ
ISO感度: 80~2500
LCD: 2.5型 TFTモニター
撮影可能枚数: 約400枚
サイズ: 139 x 80 x 37mm(突起は除く)
質量: 約585g
レビュー
※私の所有しているのはM-E(typ220)なのでM9ではないですが、
フレームセレクターとUSBコネクタの有無が違うだけなのでM9として書いています。
M9になりシャッタースピードの最高速度が
1/8000から1/4000になる代わりにシャッター音が静かになりました。
飲食店内で使うにはまだ少し煩いですが、
野外でならそんなに目立たないです。
シャッタースピードが落ちる代わりに最低ISOが160から80なるから良いかと思ってましたが、ISOオートではISO160~なのでレンズの絞り開放が使いやすくなるという事は有りませんでした。
シャッター音も静かになり、フルサイズセンサーになり、
カメラとしては完成した感じがあります。
細かい不満を言うと、
・バッテリーが持たないし、充電が遅い。
200枚撮れれば良い方で、バッテリーが弱ってくると30枚ほどしか
撮れないし、連写を使うと一瞬で残量0になる。(比喩ではない)
充電には4~5時間かかるので一晩で2本充電するのは大変。
・測光が中央重点のみ
画面中央に光源(光る看板など)があると真っ暗に写ります。
これは面倒ですが少し画角をずらしてAEロックをかけてから
撮影すれば解決します。
・高感度耐性が低い
ISO800を超えるとノイズや偽色が増え、我慢してもISO1200が限界です。
ISO1600は偽色だらけで使い物になりません。
SS1/15とかでも手ブレさせない撮り方が出来れば夜の街でも撮れますが、
イルミネーション撮影なんかにこのカメラを持ち出すのは厳しいです。
あとはセンサーのカバーガラスのコーティング剥離や
接着剤によるセンサー侵食問題があるので、
購入の際には気にしないといけない点が多いのも問題です。
でも、電池が高いことと夜のイベントが撮れないこと以外は大した不満ではなくとても良いカメラだと思います。
Leica M10
2018年発売。2013年発売のLeica M(typ240)からCMOSセンサが採用され、ボディの大型化とライブビュー撮影と動画撮影機能の追加が行われたが、M10ではスリムなボディになり動画撮影機能は削除された。初のwi-fi搭載機。
(M10-Pではシャッターの静音化、タッチパネルと水準器の搭載がされた)
Leica M10 の spec
発売年 2018年1月
センサ フルサイズCMOS 2400万画素(5976×3992px)
ファインダー倍率 0.72倍
距離計連動範囲 0.7m~無限遠
視野枠 35/135 , 28/90 , 50/75mm 自動切替
シャッター速度 1/4000~125秒、バルブ
ISO感度 100~50000
LCD 3型 TFTモニター
撮影可能枚数 約400枚
サイズ 139 x 80 x 38.5mm(突起は除く)
質量 約660g
レビュー
写りはM9系に寄せたと言われていますが、
半分はその通りで半分は普通の現代のデジカメの写りって感じでした。
M9の独特の写りが好きでフィルムカメラの代わりとしてライカを使っている人には満足できないかもしれません。
でも高感度耐性の高さや、液晶画面の綺麗さには驚かされます。
M9なんて写真を表示しても4秒ぐらいはモザイクがかかったような表示だし、ちゃんと表示された後も拡大しないとピントも分からない状態だけど、
M10はスマホの画面で見るぐらい綺麗に見えます。
ISOも6400でも原寸で見ないなら十分綺麗です。
あとライブビューは、便利だけど拡大表示させると画角が分からないし、拡大させないとピント面が見えないしで操作に慣れるまでは微妙ですね。
ピーキング表示もレベルが固定なので強調表示されたりされなかったりです。
拡大表示がワイプみたいに出て、ピーキング表示のレベルが3段階ぐらいから選べると便利なのに・・・
でも、LVにしておくと測光方法が変えられるのでそういった意味では
レンジファインダーで撮影する場合にも便利だと思いました。
LV時のシャッターラグも基本的には気になるほどでは無いです。
バッテリーの持ちもM9よりは良いですね。
ライブビューを結構使ってても300枚ぐらいは撮れそうです。
連写は・・・使わないのでどうでも良いです。
シャッター音は、静かな場所では多少響きますがそんなに困ることは無いです。
個人的には-Pの静音化とタッチパネルは要らないかなと思いました。
背面ダイヤル(サムホイール)は凄く使いやすいです。
でもフロントのフォーカスボタンは押しにくいのでちょっと困ります。
本体の薄さは、フィルムライカと併用していないので正直M9と同じでもいいかなと思いました。
重さがM9に比べて約100g重くなったのはさほど気にならないですが、重いレンズを付けたときや長時間手に持って操作してると流石に疲れます。
でも背面に出来た出っ張りはとても良く、かなり持ちやすくなりました。
wi-fiは、
QRコードが出るまでに30~40秒ぐらい待たされるので繋がるのは遅いですが、繋がってしまえば特に不安定さは無いです。通信距離も問題なし。
解像度そのままのRAWやJPGの転送も出来ます。(縮小して転送も可能)
説明書にbluetoothがどうこう書いてあるのですぐ繋げる方法があるのかもしれませんが説明不足でよくわかりません。
インターバル撮影が追加されたのは、いいですね。
集合写真を撮るときとか便利そう。
三脚穴が底蓋から本体側へ移動したのは、三脚使用中に底蓋が外せなくなって困りますが、底蓋検知が磁石になったので磁石付きのカメラケースや社外品の底蓋を置き換えればなんとかなりそうです。
個人的にはアルカスイス互換形状で電池部分に蓋のある社外底蓋が気になってます。これが純正の三脚穴も使える固定方式なら完璧なんですけどね。
→結局 YUWOOD GRIP(M10用 アルミ製) にしました。
ファインダー倍率が変わった件は、何も感じませんでした。
採光窓が無くなった件は、デザイン的には残念だけど
電源の入れ忘れに気付けるのでそこは悪くないですかね。
以上。
M10を買えばM9以前は要らなくなるかなと思ったけど
そうでもなさそうです。
不便だから楽しい。
これが全てであり、ジレンマでもありますね。
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