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4500円で自作する単体露出計


前回からの続き


M5Stick-Cというマイコンを使い露出計を自作することになりました。
(その後上位互換のM5Stick-C plusというマイコンで作り変えました)


露出計とは、写真や動画を撮影する際に使う
明るさを測りカメラの適切な設定を導き出す携帯型の装置です。

最近のカメラには内蔵されているので、露出計を単体で見ることは普通ありませんが、古いカメラを使う場合や厳密に露出を測りたい撮影現場では普通に使われている物です。


露出計には、明るさの単位であるルクス(Lux)
カメラの世界で使うLV(EV)に変換する機能とその際の
ISO感度,シャッタースピード,絞りの組み合わせを表示する機能が必要です。



ルクスとLVの対応表は調べればすぐ出てきます。

日の出            EV16   164.0 kLux
快晴               EV15   82.0 kLux
晴れ               EV14   41.0 kLux
明るい曇り    EV13   20.5 kLux
曇り、日陰    EV12   10.2 kLux
雨曇り           EV11   5.12 kLux
コンビニ       EV10   2.56 kLux
明るい部屋    EV9   1.28 kLux
エレベータ    EV8   640 Lux
体育館           EV7   320 Lux
廊下              EV6   160 Lux
休憩室          EV5   80 Lux
暗い室内      EV4   40 Lux
観客席         EV3   20 Lux
映画館         EV2   10 Lux
日没後         EV1   5 Lux
薄明り         EV0   2.5 Lux
深夜屋内     EV-1   1.25 Lux
月夜            EV-2   0.63 Lux
おぼろ月夜 EV-3   0.31 Lux
星空            EV-4   0.16 Lux

大体こんな感じです。
EV0が2.5Luxで1段ごとに2倍(1/2倍)になります。

だいたい2~4万Lux(可能なら8万Lux)測れれば良さそうです。




まずは光センサを選定します。


探したところ
TSL2561を搭載していてGROVEシステムで簡単に接続できるこれを見つけました。

M5Stick-C にはGROVEコネクタが搭載されていますし、ライブラリやサンプルコードも用意されているのですぐ試すことが出来そうです。


0.1~40,000LUXのダイナミックレンジなので
-1~14LV(EV)まで測れそうです。
明るさで言うと日没後の薄明かりから眩しくない程度の晴れの日までです。
影が濃い快晴の日が15LV、快晴のビーチや雪原や朝日が16LVと覚えておけばそれらは露出計無しでも分かりますので全てカバー出来たと言っても過言ではないはずです。



早速買って繋いで、サンプルコードを書いてみます。
無事照度のルクス値が表示されました。

写真なし



このままだと線で繋がっていて邪魔なのでハット側に繋ぎ変えます。
ソフトもポート番号を変えてテスト。
無事動きました。

画像1

(なんとなくスライドスイッチも追加してますが気にしないで下さい)


さっそくLV値への変換コードを書いて単体露出計に仕上げます。

画像11

出来ました。

画面が小さいので"x分の1"の表記は省略してますが、
ISO100のポジもしくはISO400のネガフィルムだと
EV8のとき、SS1/30でf4.0と分かります。
何パターンか組み合わせを表示したいところですが、画面が狭いので2パターンのみ表示しています。
B:100%というのは電池残量です。



テストは出来たのでセンサ部分を小型化し、センサの向きを変えます。

200525 露出計1

基板を設計して作って・・

         (このくらいユニバーサル基板で組めよ)○。(´ω`)

200525 露出計2

組んで

200525 露出計3

完成です!



基板化費用は11枚でコミコミ2100円でした。
センサは単体だと380円(送料別)ですが、さっきのモジュール基板から外して使って基板もユニバーサル基板で組めばコミコミ4500円で部品は揃いそうです。
1台しか作らないとしてもかなり安いんじゃないでしょうか。


少し割高ですが amazon でも買えます。
M5 Stick-C plus
・光センサー A 、 B


※追記
 センサ素子のTSL2561が2021年で生産終了すると連絡がありました。
 すぐには無くならないでしょうし、すぐに代用品が現れると思いますが
 入手予定の人は気をつけて下さい。

   2022/01/24追記
 新しいセンサがラインナップされていました。
 測光範囲もほぼ同じでM5Stick-C用ライブラリも用意されているので
 小変更で簡単に使えそうです。 → BH1750FV
 *有料記事部分のソースなどはTSL2561用のままなので注意して下さい。
 



画像6

色が派手なので黒く塗装しました。

そして

画像7
画像8

3Dプリンターでシューアダプターを作って元々あったM2のネジ穴に固定します。


200606 露出計1
200606 露出計2

完成です。


機能としては、
下側のボタンで電源ON 、 6秒間長押しで電源OFF
上側のボタンでフィルム設定の切り替え
M5と書かれたボタンで逆光時プラス露出補正(+2EV)表示に切り替えです。


画面表示は
時計とバッテリー残量、フィルム設定、EV値、SS&f値で、
現在時刻とフィルム設定は内部に保存されているので電池が切れても消えません。
時計は秒まで表示しているのでバルブ撮影の目安にもなります。
フィルム設定はISO100ポジ、100ネガ、200ネガ、400ネガ、800ネガ、1600ネガに対応しています。


充電はUSB typeCで、充電しながらの使用も可能です。

充電時間は20~30分で、動作可能時間は5~6時間です。

マイコンのスリープが使えればもっと動作時間は延ばせるのですが、一定時間のスリープは出来ても、ボタンで起きるスリープは出来ないみたいです。
なので一定時間操作しないと画面更新を止めてバックライトを暗くする処理を入れてます。

時計の設定は別のソースを書き込んで、wifi経由でwebから現在時刻を取得する方法になります。



201105 露出計

その後
上位互換のM5 Stick-C plusが発売されたのでそちらに作り変えました。

画面が大きくなり、ブザーが内蔵されて、電池容量が大きくなったそうです。

視認性はすごく良くなりましたが、バッテリーの持ち時間は変わりませんでした。




ここからは開発環境(Arduino IDE)の作り方と、最新ソースになります。

見たい人だけみて下さい。


ちなみに開発ソフトはすべて無料です。
PCとUSBケーブルとマイコンと接続済みのセンサがあれば開発出来ます。



ArduinoIDEで開発する場合

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