コロナ関連支援策一覧(4/8時点版)

コロナ関連の支援策が緊急事態宣言の発令と同時に色々とアップデートされました。個人的には上手く纏めてあってイチ押しの経済産業省のパンフレットも「令和2年4月8日10:00時点版」が出ましたので、これに基づき支援策を整理します。

まず初めに

何はなくとも、経済産業省のHPでパンフレットを読みましょう。
「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」

今回の注目点は目次ページで下線が引いてある項目です。これらは、「令和2年度の補正予算の成立を前提としている事業」が含まれている項目となります。ですので、今後変更等がありますので情報のキャッチアップに気を付けましょう。

主な支援策一覧

(独断と偏見に基づく)主な支援策は下記の項目かなと思います。
※他の項目もすべて重要ですが、多くの方にとって共通して使えそうなものを選んでいます。

1.融資関連
(1)セーフティネット保証4号・5号・危機関連保証の実質無利子化
(2)無利子・無担保融資
(3)日本政策金融公庫等の既往債務の借換
(4)新型コロナ特例リスケジュール
2.雇用調整助成金関連等
(1)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置(1)
(2)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置(2)
(3)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
3.税・社会保険料等の支払い猶予関連
(1)国税の納付の猶予制度
(2)納税の猶予の特例
(3)厚生年金保険料等の猶予制度
4.その他
(1)持続化給付金

1.融資関連

(1)セーフティネット保証4号・5号・危機関連保証の実質無利子化
セーフティネット保証とは、「経営の安定に支障が生じている中小企業者を、一般保証(最大2.8億円)とは別枠の保証の対象とする資金繰り支援制度」です。また、危機関連保証とは、「売上高が前年同月比▲15%以上減少する中小企業・小規模事業者に対して更なる別枠(2.8億円)設ける措置」です。これらにより、最大5.6憶円の信用保証の別枠が確保されます。
※経産省パンフのP9を参照してください。
今回、令和2年度補正予算の成立が前提となりますが、これらの信用保証付き融資にも保証料・利子減免制度が設けられ、実質無利子・無担保融資が可能となる見込みです。
条件としては売上高が前年同月比▲15%以上減少保証料及び金利がゼロとなる見込みです。(利子補給は3年間のみ)

(2)無利子・無担保融資
こちらは主な変更点は無し。日本政策金融公庫等の新型コロナウイルス感染症特別貸付や商工組合中央金庫の危機対応融資となります。
令和2年度補正予算の成立が前提となりますが、売上高が前年同月比▲20%以上減少で3000万円まで無利子(3年間のみ)・無担保となる見込みです。

(3)日本政策金融公庫等の既往債務の借換
こちらは新しいお話、かつ、かなり助かりそうな項目です。
令和2年度補正予算の成立が前提となりますが、公庫や危機対応融資の既往債務の借換も可能とし、実質無利子化の対象にできるというものです。
無利子化の対象限度額としては、国民事業で3000万円
また、借換限度額は新規融資と既往債務借換の合計額で国民事業で6000万円となります。

(4)新型コロナ特例リスケジュール
こちらも新しいお話で、新たに新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者に対して、中小企業再生支援協議会が窓口相談や金融機関との調整を含めた新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール計画策定支援を行うものです。

こちらを利用すると、複数の借入先に対して一括して既存債務の元金返済猶予要請を代わりに行ってくれます。一般的にリスケをする場合、全借入先に対して同一条件で交渉しますが、各金融機関の足並みをそろえる調整にかなり苦労することとなります。複数の金融機関から融資を受けている方にとって事業へ投資する時間を確保する意味でも役立つ制度かと思います。

なお、中小企業再生支援協議会とは、中小企業の事業再生に向けた取り組みを支援する「国の公的機関」として47都道府県に設置されているものです。個人的にはしっかり対応してくれるイメージですので、相談してみることをお勧めします。

2.雇用調整助成金関連等

(1)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置(1)
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者に対して一時的に休業・教育訓練又は出向を行い労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当・賃金等の一部を助成するものです。
一般的な雇用調整助成金では助成率が中小企業2/3、支給限度日数100日/年です。
特例措置(1)ではいくつかの変更が加わりました。
主な変更点は
①休業等計画届の事後提出が令和2年5月31日まで可能
②雇用保険被保険者として継続雇用期間6か月未満の労働者も対象
等です。なお、②について、あくまでも「雇用保険者として・・・」ですので雇用保険対象外の従業員については助成対象に含まれません。

(2)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置(2)
上記(1)の特例措置にさらに上乗せする形で、特例措置(2)が拡充されました。(※対象期間は令和2年4月1日~6月30日)主な変更点は、
助成率の拡大、中小企業は2/3⇒4/5へ
 ※解雇等を行わない場合、中小企業は2/3⇒4/5⇒9/10
②休業等計画届の事後提出が令和2年6月30日まで可能
雇用保険被保険者以外の労働者等に対する休業手当も対象
④雇用保険被保険者として継続雇用期間6か月未満の労働者も対象
⑤4月1日~6月30日は1年間の支給限度日数100日とは別に利用可能
等です。
上記特例措置(1)と比較して、「助成率の拡大」「対象者の拡大」「支給限度日数の拡大」がキモかなと感じています。

(3)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別途有給の休暇を取得させた企業に対する助成金が創設されました。創設されたということで、上記の雇用調整助成金とは別物です。
こちらは、
①支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10
 ※ただし、日額8330円が上限
②適用日:令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇
 ※令和2年4月1日~6月30日の間についても対象となる予定
なお、春休み・土日・祝日に取得した休暇は臨時休業等をした小学校等に通う子どもの場合には、
●学校:元々の休日以外の日が対象
⇒春休みや日曜日など元々休みの日は対象外
●放課後児童クラブ等:本来施設が利用可能な日が対象
となりますのでご注意ください。

3.税・社会保険料等の支払い猶予関連

(1)国税の納付の猶予制度
これはもともと「納付の猶予制度」というものはあり、今回のコロナの影響で納付が困難になった場合も対象ですよ!というアナウンスです。
ただし、コロナ関連で特別な点は国税庁がFAQにて「新型コロナウイルス感染症の影響により一時に納付できない事情のある方に対しては、その置かれた状況に配慮して、迅速かつ柔軟に対応することとし、猶予の申請や審査についても極力簡素化しておりますので、お早めに所轄の税務署の徴収担当にお電話にてご相談ください。」と回答し、また、担保の提供についても「担保の提供が明らかに可能な場合を除いて、担保は不要となります。」と回答している点です。

(2)納税の猶予の特例
こちらは新たな特例です。上記(1)の猶予制度に上乗せする形で特例が出されました。主な内容は、
①2020年2月以降、売上が減少(前年同月比▲20%以上)した場合、1年間納税を猶予。
②無担保
延滞税は免除
通常の猶予の場合は、納付計画とともに猶予の申請手続きが必要となるのですが、特例により条件を満たせば(前年同月比▲20%以上の売上減少)自動的に1年間の納税猶予が得られることとなります。しかも、延滞税は免除。

ただし、対象となる税金は2020年2⽉1⽇~2021年1⽉31⽇までに納期限が到来するものです。 2020年1月31日までに納期限を迎えている税金についてはこの特例の対象外となると思われます。その場合は、上記(1)の猶予制度の手続きを行ってください。(こちらも現場レベルではかなり手続きが簡素化されている模様、かつ延滞税の軽減ありです。)

(3)厚生年金保険料等の猶予制度
こちらは税金と違い特例の発表はなされておりません。現状は上記(1)と同様の猶予制度のみです。ただし、社会保険料についても税金と同様に特例を創設するとの話も出ていますので、今後の情報に注目しておきたいですね。

4.その他

(1)持続化給付金
そして、最後に最も注目を集めているかもしれない、中小企業200万円、個人事業主100万円といわれている持続化給付金です。こちらは、先日の緊急事態宣言の際に初めてでてきたもので、感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対し、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金とされています。

あくまでも令和2年度補正予算の成立が前提となりますが、主な内容は、
≪対象者≫
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者
≪給付額≫
前年の総売上(事業収入)— (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
※上限額
法人は200万円以内、個人事業者等は100万円以内
となっています。

かなり多くの企業・個人事業主が対象となると思われますが、
●「新型コロナウイルス感染症の影響」による売上減少をどう示すか?
●創業1年未満の場合はどうするのか?
●売上が早期に回復した場合の返金等はないのか?
などなど、わからない点もありますので、今後の情報に注意したいですね。
いずれにせよ、月次の売上集計だけはしっかりとやっておきましょう。

最後に

会社にとって現金は血とよく例えられます。体に異変があったら(事業が毀損したら)、先ずは血を止める(出費を押させる)、次に輸血をする(借入を行う)、そのあとで出血の原因を除去する(経営改善・再建を行う)といった流れかと思います。

ヒト・モノ・カネの3要素をより良い方向へ大きくしていくことが経営することという考えかたもあります。
どんなに儲かっていても、どんなに素晴らしいサービスでも資金がショートしたら倒産します。逆に、儲かったいなくても、いまいちなサービスでも資金がショートしない限り倒産はしません。(廃業を検討した方が良い場合はあります。)
しかし、より良いサービスを創る(モノ)、よりより労働環境を創る(ヒト)ことで融資や投資(カネ)が集まりやすくなります。

まずは血を止め、輸血をして、将来に向けて取り組める環境を早期に実現することが大切かと思います。何かわからないことがあればお気軽にご連絡ください。

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