2018年7月27日 / メモの取り方:世界に一冊しかない広辞苑

先日こういう note を書いた:

それで、思い出したことがあった。これも、どこかに書いた話ではあるけど。

井上ひさしの「本の枕草子」に、「世界に一冊しかない本」というエッセイがある。井上は、10年間の間、広辞苑にメモを書き続け、その結果、その広辞苑が世界に一冊しかないものになったということである。たとえば、広辞苑の「きず」という項に、井上ひさしは以下のように書き込んでいるという:

たとえば、(注: 広辞苑の) 531ページの「きず」という項目を見てみよう。世の中に氾濫する広辞苑には、
 きず 〔傷・疵・瑕〕 1.切ったり売ったりして膚や肉の損ずること。またその箇所。けが。2.(以下略)
としか記載がないが、わたし(注: 井上ひさし)のは違う、さらに次の如き説明が付記されているのだ。
 瑕 (宝石の場合にこの字を用いる)
 疵 (物の表面にあって)(以下略)
             「世界に一冊しかない本」(井上ひさし)

上の  note にも書いたように、私は本にメモ書きすることはないが、井上ひさし直筆のメモが書いてある広辞苑は見てみたい。それは確かに「世界に一冊しかない本」に違いないから。

しかし、こういう話もあったように:

今後は本に書き込むという文化(?)もなくなっていくのだろうなあ。


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