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脳が中空を舞うことがある

なんとはなしに林檎を齧る

慣れ親しんだ食感に

脳は別のことに勤しむ

何かを埋めようとして

発せられた言葉は

往々にして宙を舞い

思ってもない明後日の方向に着地する

明後日の方向は概ね具合が悪い

デザートを食べ終わって

少し残してしまったときに

上手く褒められない

そんな状況が人生には時折ある


言葉が通じない

いや、何も通じない

酸素は足りなくなり

呼吸は浅くなる

本当に必要なのは

黙して時間と揺蕩うことなのだけれど

どうしても

何かが足りないと思ったとき

言葉で埋めようとしてしまう

美しさとは真逆のそんな滑稽な時間も

いつか思い返したとき

まだ青臭かったと笑えるだろうか

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