自分らしく就活しても受かるよ
この記事を読んでいる人が多いようなので、もう少し言葉を洗練し直しておく。元は2021年に書かれたものだが、2022年にこれを読む人たちへ、健闘を祈る。
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そろそろ就職活動の準備をはじめる人が増えているのではないだろうか。いや、もしかするともっと前から増えているかもしれない。
就活は基本的にただのオーディションだから、相手に気に入ってもらうことを追及せず、自分がどんな仕事をしたいかという軸をしっかり持っておいたほうがいい。
もっと言うなら、仕事とはもともとは「やるべきこと」という意味だから、就活というゲームのルールに合わせて髪を切ったりダサい革靴を履いたりするのも立派な仕事だ。お金を稼ぐことは「経済」だから、必ずしも仕事が経済であるとは限らない。
カテゴライズされない学歴
私は専門学校を卒業し、1年留学してあっちの留学生向けの学位を得てから帰国した。「study abroad program修了」という訳のわからないフレーズを履歴書に書いた。
当時はまだ二次新卒という言葉すらなく、私は未経験のまま中途採用の枠から応募するという特殊なかたちで就活をはじめたわけだ。
なので、新卒の子たちがどういうセオリーを共有しているのかまったく知らなかった。今も知らない。専門学校では、いちおう就活向けのビジネスマナーがちゃんと科目として存在し、私はそこで好成績を取った。だが現実の就活は、授業で教わったものとは全く違った。
学校は学校だ。面白いところだったが、あそこはお金を使って頭を鍛える場所であって、頭を使ってお金を稼ぐ場所ではなかったのだろう。
もっと自由に話していい
私自身もまた、アルバイトや社員の面接を行なったことがある。
そういった経験から思うことは、もっと自由に自分らしく表現しても大丈夫ですよ、ということだ。
ビジネスマナーの世界では、たとえばお茶を出されてもそれを飲んではいけないとか、話すときは相手のネクタイあたりに視線を持っていく=相手の目を見つめすぎないとか、そういう嘘みたいなテクニックが共有されている。
でも私なんかそういったマナーをほぼ無視した。無視したというか、自分が採用する側になるまで知らなかったのだ。
私が今の会社に入ったときなんかは、面接時に茶色の三つボタンスーツで、クラッチバッグで、文具はボールペン1つしか持っていかなかった(当時なんとなくKINKSにハマっていたのだ)。友人がくれたホワイトとゴールドの腕時計をつけていたしね。
髪型はぐうぜん短かった。「モッズ」は髪を短くするのがクールなのだ。
本当の志望動機を言って受かった
そこで会社の偉い人3人ぐらいに面接してもらった。
志望動機については「前職で大きなけがをしたので、体の負担が少ない室内のパソコン仕事をしたい」と言った。本当にそんな理由だった。業界や会社に対する興味などは、とくに語らなかった。興味なんてなかったからだ。今もない。
ただ私の場合は、すでにパソコンを使ってあるていどのものを作ったり、それでお金をもらったりしてきたので、その経験は話した。必要以上にカッコつけることもないが、実際よりスキルが無いふりをするのもまた無意味だ。
入社した後になって、私を面接した人が当時のことを教えてくれた。「あのときの増田くんはなんだかとても切羽つまっていて、この世の絶望を全部背負っているような顔だったよ」とのことだった。
リリカルな表現だな、と思った。今はもっと大きなものを背負っている。
かっこつけなくても受かる
これからも私は転職する気だが、やっぱりそこでも本音を語ろうと思う。
というか、思ってもないことを言ったところで説得力がないのだ。自分で採用担当をやってみたらわかると思う。
もちろん、コピーロボットを求める会社からは落とされる。本音を言えば言うほど、他人と似なくなるからだ。でも嘘をついてどこかの会社に無理矢理入れてもらっても、君のことを本当に心配してくれる上司なんてそこには居ないぜ。