2022カタールW杯試合分析 大会11日目

グループD オーストラリアvsデンマーク


オーストラリア


デンマーク

オーストラリアは基本フォーメーションは4-4-2のBU時は⑬ムーイが1枚アンカータイプになり、⑭マッグリーがIHになる可変式の4-3-3。

対するデンマークも基本フォーメーションは4-2-3-1としながらもBU時は4-3-3のようなアンカーを配置し(ここは流動的に)前進を図る。

どちらのチームの狙いもサイドからの侵入→クロスであるが、これまたどちらのチームもCBは空中戦や対人に強いタイプなのでなかなかこじ開けることができない。

CBの目線を変えるようなポケットに侵入→マイナスクロスであったり、相手守備ラインが整う前の1タッチアーリークロスであったりと、狙いに+αの作業が必要になると感じた。

どちらのチームも前線3枚がDF4枚をピン留めし、中盤にスペースを創り出している。そこで違いを見せつけることが出来たのはデンマークの司令塔エリクセンである。

中盤の3選手に相手の中盤がマークについてきたらBUで一列飛ばして前へ。そのボールをキープし、より高い位置で前向きにプレーすることができた。

ただ後半になると上記の闘い方にオーストラリアも対応。インターセプトからカウンターを発動し先制に成功した。

そこからローブロックから逃げ切りを図り、勝ち点3を収めた。

MVPはオーストラリアのソウター。守備の要でありまさにゴールの番人。彼がいるからサイドからの侵入をせざるを得ない状況。そこから中央に向かってこられてもしっかりと相手攻撃をはじき返した。後半42分のPA内でのスライディングは正に気迫。点差、時間帯を考えると危険な対応だったが、結果論ではあるが、見事な対応であった。

グループD チュニジアvsフランス


チュニジア


フランス

フランスは決勝T進出が決まっているのでターンオーバーにて出場機会の少なかった選手をスタメンで起用。大会期間中にサブの選手の出場機会を確保できることはモチベーションにも関わるのでチームとして非常に大きい。

対してチュニジアは何とか前回王者から勝ち点を奪いたいところ。5-4-1のブロックである程度のボール保持は許しながら、非保持でゲームをコントロール。相手のミスを誘いカウンターや、セットプレーにて好機を創り出したい。

それはスタッツにも現れていた。
前半CKはチュニジア6:2フランス。オフサイドもチュニジア3:0フランスとチュニジアはボールを奪ってから前に速く攻撃を展開しており、たとえゴールに対してやりきれなくてもCKを得るということがしっかりとできていた。

フランスはボールを保持することはできていたが、目的と手段のズレを感じた。BU時に不用意な縦パスから失点。チュニジアの奪ってから速い守→攻のトランジションに後手を踏んでいた。

3人目を使い前進を試みてはいるフランスであるが、何のために前向きの選手を使っているのかという意図が見えてこず、ただボールを保持している(保持させられている)だけのようであった。

虎の子の1点を守り抜いたチュニジアはゲームプラン通りの闘いだろう。
MVPは⑭ライドゥニ。目的と手段をはき違えずプレーができている印象がある。

実はこの選手はGL1戦目のvsオーストラリアで前半のBUに変化を付けていた選手であった。常に相手を観ながらサッカーができておりIQの高さを予選全体で感じた。

「着眼大局、着手小局」

まさにこの言葉が似あう選手、ゲームであった。

グループC ポーランドvsアルゼンチン



ポーランド


アルゼンチン

引き分け以上でGL突破のポーランド。
アルゼンチンは1戦目に世紀の番狂わせを起こされていたのでこの試合には勝利しか残されていなかった。

そんな中でポーランドは4-4-2のミドルブロックで中央(メッシ)を外させながら、サイドに誘導するという守備の狙いがはっきりあった。
PKを止めたこともありチーム全体の士気も高まり、非常に良い闘い方であった。

対するアルゼンチンは、メッシを偽9番に据えながら、中盤でのズレを生み出していた。BUはアンカーポジションの選手が2CB間に降りてくることもあり、SBの選手が高い位置でプレーができていた。
そのため相手SHを押し下げる事ができ、IHの選手が相手2FWの脇でボールを引き出し、サイドの選手が駆け上がる時間も生み出していた。

相手の守備の狙いにのりながらも、サイドで数的優位をつくりだしていたが、そこからの展開スピードが遅く、相手の守備陣に準備する時間を与えてしまっていた。

後半に入り、サしていたイドからクロスで得点をあげ、その時間帯も良かったので、徐々にアルゼンチンペースに。BUに変化を持たせ、ボール保持の時間もコントロールしながら、ゴール前ではスピーディーに人とボールが動く非常にレベルの高い闘い方であった。

その主軸を担ったフェルナンデスが今試合のMVP。


グループC サウジアラビアvsメキシコ



サウジアラビア


メキシコ

試合前予想フォーメーションとは両チームとも裏腹にサウジアラビアは4-4-2のミドルブロックでカウンターを狙い、メキシコは4-3-3のポゼッションでゲームを支配しにかかる。

メキシコはアンカーとIHの中盤がSB-CB間でボールを受けに行き、SBを高い位置に押し上げる。ローテーションから相手のマークのズレを生み、3人目のサポートで徐々にラインを突破し、サイドからクロスでゴール前に攻め入る。

サウジアラビアもノーチャンスではなく、ミドルブロックで中央を閉ざしサイドへ誘導。そこでボールを奪いきり、素早く展開→クロスとシンプルではあるが力強く試合を進める。

両チームとも原理原則に則り、サイドでチャンスが生まれる。ただ、中央にパスルートが空いていたりすると見逃さずそこを突くので、それもまた互いに気を抜けないところ。

試合はCK・FKのセットプレー2発でメキシコが勝利。サッカーのゴールの4割がセットプレーから生まれるといわれている所以でもあるようなゲームであった。

MVPはロサーノ。チャンスに多く絡み、推進力で相手のDF陣を困惑させた。また、この試合はサイドにチャンスが生まれていたので、そこでもクロスなどでチャンスメイクしていた。




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