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なくなる仕事、なくなった仕事

こんにちは。MSA齋藤です。今回もお読みいただきありがとうございます。

「10年後・20年後になくなる仕事」のようなトピックが話題になることがあります。「コンピュータやAIにとって代わられる」と言われると、そういうものかなぁと思うのですが、なんとなくピンときません。

駅の改札に人が立っていて、一枚一枚切符にチョキチョキ切り込みを入れていたなどといっても、自動改札が当たり前の中高生には信じてもらえませんが、ふと、自分が若い頃にお世話になった「アルバイト」は今の時代に仕事として成立しているのだろうかと考えてみました。学生の頃は、「バイトで稼いで海外渡航費用にする」を生活の中心にしていましたので、いろいろなアルバイトを経験しました。

(1)Jリーグ・ビールの売り子バイト

ちょうどJリーグが開幕する年に出会ったバイトです。年齢がバレますが、それはさておき、当時は500mlの缶ビールを2ダースほど抱えて、紙コップ片手に客席の合間をウロウロして「ビールいかがっすかぁ〜」と販売していました。基本給+出来高だったはずです。「先輩」の出来高の額に驚愕した覚えがあります。サッカーの試合は、一旦始まると目が話せません。その意味で、ビールが売れるのは試合開始前とハーフタイムがほとんどです。その限られた時間に、効率よく売りさばくためには、抱えている缶ビールが足りなくなったらすぐに補給しに行くなど、時間との戦い、本当に体力勝負です。人手が足りずに、野球場でのビール販売を手伝いに行ったことがありましたが、野球は長い時間、じわじわとビールが売れるので、驚きました。

サッカーでは試合中に客席をウロウロしていようものなら、「見えねぇだろっ!」と言われてしまうこともあります。現在は、コロナ禍で試合そのものが制約されていますし、アルコールの販売に関する制約もあるのですが、こうした仕事自体はまだ存在しています。いまは缶ビールを売り歩くというよりは、背中にしょった生ビールタンクからカップに注ぎ入れるようです。売り子は「きれいな女性」がメインのようで、私のような学生であれば、現在は仕事がないとも言えます。

(2)結婚披露パーティーのビデオ撮影・編集バイト

結婚式や披露宴会場に設置された遠隔操作可能なビデオカメラを、2〜3台操作し、収録と同時に編集をしながら、一部始終を録画して納品するバイトです。もちろん、ある程度の技術が必要ですので、研修からスタートし、経験や技術によって少しずつランクアップしていくシステムでした。スマホはおろか、個人でビデオカメラを持っている人もまだ少なく、ましてや自宅で「編集作業」をする人は極めて少なかった時代ですから、「晴れの舞台を記録に残したい」という需要はとても高く、ほとんどの方がビデオ撮影をオプションとして注文していました。

この仕事は私がやったようなスタイルではもう存在していない仕事のようです。ただ、存在していないと言っても、同じようには存在していないだけで、個人では作りにくかったり、時間がかかるような、まるで映画のような撮影や編集をしたり、思いもかけない人にインタビューをしてビデオでサプライズしたり、様々な工夫をしながら別の形で存続している仕事とも言えます。

(3)電話帳を町内に配るバイト

NTTの電話帳は2020年に発行終了となったとのことですが、終了に至るまでに、発行部数も激減していたはずです。「電話帳を配るバイト」というのは、文字通り電話帳を各家庭に配るバイトです。下請けの下請けのような会社が募集していたアルバイトでした。驚くことに、まず配布すべきノルマの電話帳が部屋にド〜ンと届きます。電話帳は1冊でもすごい厚みですから、数百冊届いたときには、ひっくり返りそうになりました。

これを数冊ずつ、自転車のかごや荷台にくくりつけて、一冊一冊配布してまわる仕事です。ご不在の方も多く、本当に重労働でした。これは完全に消滅した仕事、ということになります。

(4)蕎麦屋の調理補助バイト

そば好きです。そば好きだから始めたというより、バイトをしているうちにそば好きになったのかもしれません。注文に合わせて、そば職人の横で盛りつけをしたり、具材の下処理をしたり、洗い物をするバイトです。接客はしません。本格派蕎麦店でしたので、バイトが麺を打つのはもちろん、茹でることも一切できません。天ぷらも揚げることはできないのですが、これは経験を積むとほんの少しやらせてもらえることがあり、ちょっとした誇りでした。

調理の補助ではありますが、お客さんがおかわりをしたり、「おいしかったよ〜」と言ってくれると、心の底から嬉しいと感じました。こうしたバイトが機械(ロボット?)に取って代わられるのでしょうか。盛り付けのような作業は単純に見えて、実は細かな判断が多いのではないでしょうか。あるいは、これまで通り人間にやらせておくほうが、機械の設計・開発のコストを考えると「効率が良い」という考えもあるのかも知れませんが...。

もう少しありますが、このあたりで。

こう考えますと、ある日突然、ある仕事がこの世からなくなるわけではないことがよくわかります。当たり前です。ただ、少しずつ、じわじわと、そして確実に、違う仕事に移行して行きます。それはやはり、スマホの普及によって電話帳が不要になり、結婚式のビデを撮影も特別なものではなくなったように、テクノロジーの進展が大きく関わっています。

「変化に対応しなければ生き残れない」などと言いますが、そう簡単ではないことは間違いありません。そうは言っても、テクノロジーの変化にはついていかなければ、気がついたときには、仕事がなくなっている可能性も大いにあります。

食わず嫌いをせず、新しいものに対しては常にオープンでいることが大切なのかも知れないと思いました。

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