私たちは確率を理解できない

 「業病」という言葉を聞いたことがありますか。元東京都知事の石原慎太郎さんが、ALSのことをこう表現していたことで炎上しました。業病とは、前世の悪業にやっておこる、治らなく病気とあります。ハンセン病も業病と言われていたことをご存知の方もいると思います。

 ALSに関しては原因がそもそもまだよくわかっていませんし、ハンセン病に関しては細菌による感染症なのですが、細菌を持っていても症状の出ない人が非常に多い病気です。また、発症のしやすさに関しては公衆衛生や栄養によることが多く、個人の努力でどうにかならない問題も多いのです。

 にもかかわらず、まるでそういう病気に関して「お前の前世が悪い」というレッテルを貼ってしまう人がいました。近頃も、新型コロナウィルス感染症の感染者に対して「お前の対策が悪かった」と言ってみたり、複数の感染者を出してしまった施設に対して誹謗中傷を浴びせたりする人がいます。

 ここで私がお伝えしたいのは、私たちは確率というものを直感的に理解するのが苦手であるということです。子供の学歴は親の年収の強く関係するというのは有名な話で、こればかりは子供の努力だけではどうにもならない問題ですが高学歴の人の多くは自分の努力の価値を過大評価します。他にも、ほとんど予測できない株価を予測しようと多額のお金をかけてみたりする人もいます。シングルマザーのお母さんに対して「お前の見る目がなかった」などと罵声を浴びせるのも、そもそも人間が他人の将来性を判断するのが難しいという前提に立ってないためです。

 神はサイコロを振らないと言われますが、私としてはものすごい量のサイコロがふられてると考えてしまうくらい、世の中には確率的な事象で溢れています。この事実を自覚することの大切さを伝えたくて記事を書かせていただきました。

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