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ポライト・ソサエティ

※ネタバレあります※ 『モンキーマン』と同じく、こちらも「好き」が詰まったニダ・マンズール監督版キル・ビル。この点については、つくづくタランティーノは偉大っすな。 (敢えて性別に触れますが)本作は女性監督であり、女性がアクション満載のヒーロー映画を撮る(しかも初監督作で)というのがまず感慨深い。女性だってブルース・リーやジャッキー・チェン、千葉ちゃんが好きなんである。(メイン・ヴィランたる富豪一家の女ボス・ラヒーラを演じるニムラ・ブチャさんが貫禄たっぷりで、後から「実は自

    • ラストマイル

      TBSドラマ『アンナチュラル』『MIU404』との世界を共有する「シェアード・ユニバース・ムービー」とのことらしいが、ドラマ鑑賞の習慣のない私は『アンナチュラル』も『MIU404』も知らず、よってドラマ周りのネタには気づいておらず、登場人物について「あ、あの作品の〇〇が」といったメタ・ネタについては無知、という前提。 で、とっても楽しめた。色々なエピソードが「〇〇のため」の設定になっておらず、それぞれ有機的に紡がれており、途中ミスリードもありつつ、最後までハラハラドキドキし

      • モンキーマン

        デヴ・パテル版キル・ビル。 とにかく主人公を務めるデヴ・パテル(監督も兼任)が身体を張っていて素晴らしい。そして、「好き」が詰まっている。また、「宗教的熱狂を利用した(実は)独裁者」という、あらゆる国家に現実見られル支配者層に対する強い怒りも感じる。(これってやっぱりモディがモデルなのかな?)ただ、その分ストーリーがない(笑) 主人公キッドの復讐の元が徐々に明かされるんだけどイマイチわかりづらい(インド史に詳しいとピンと来るのかもしれない)のと、キッドが修行を積むシーンの

        • スオミの話をしよう

          私には合わなかった。感想も捻りだせないくらい、つまらなかったし、長澤まさみを始めとする豪華出演陣の無駄遣い感半端なかった。※特に彌十郎丈、『鎌倉殿の13人』ですっかり映像作品でも売れっ子になったけど、こんな下らない作品には出ないで欲しい…

        ポライト・ソサエティ

          ソウルの春

          暗黙の定石で、「何だかんだで反乱軍が鎮圧され政府側が勝つんだろうなあ」と最後の最後まで思ってたので、胸糞展開のままエンディングを迎えたのでとてもびっくりした。確かにこんな展開、史実ベースじゃないと作れないよなあ… で、ポリコレなんて糞食らえとばかり、むさ苦しい男性達(それも人間のクズ寄りが多め)ばかりが次から次へと現れ、その中でも口から出任せばかりなんだけど凄いカリスマ性で強引に場を支配していくファン・ジョンミンが圧巻。その分イケメンで正義の味方たるチョン・ウソンが割りを食

          ソウルの春

          秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

          妹背山婦女庭訓 太宰館花渡し 吉野川 『吉野川』は実は去年の国立劇場の時蔵(現・萬壽)松緑コンビで鑑賞してたんだけど、すっかり忘れてた。で、歌舞伎座に到着しダブル花道を観てようやく思い出すという…(記憶力が乏しすぎて情けないっす)。たしか国立劇場バージョンでは『吉野川』だけだったと思うんだけど、本公演ではプレエピソードとなる蘇我入鹿の件からの演目なのでよりわかりやすかった。今回は、玉三郎松緑コンビ。「玉三郎」といえば「仁左衛門」なんだけど、今回は恋愛ものでないし、何より松

          秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

          フォールガイ

          デビット・リーチ監督作はスーパーコンボ以外は映画館で鑑賞。(ワイスピのスピンオフ、評判良かったのに何故か観てない…) この方、監督ってより、ジョン・ウィックのスタントコーディネーターとして有名っすな(『アトミック・ブロンド』のアクションは素晴らしかった…)アクション・シーンが迫力があるんだけど、泥臭くて痛みを伴っているんだけど、カッコ良いんだよね。また、設定は荒唐無稽っちゃあそうなんだけど、リアルというか、何処かにあるのかもと思わせる何かがある(表現下手くそですいません)

          フォールガイ

          ツイスターズ

          前作『ツイスター』は未見。 B級パニック映画かな〜と思ってたけど、どちらかというとデイジー・エドガー・ジョーンズ演じるケイトの成長譚といった体裁。ま、予測できる展開ではあるし、グレン・パウエルが「一見チャラくて中身の空っぽなイケメンだけど、実はまとも」をすっかり持ちキャラにして徐々にケイトと理解し合っていくんだけど、安易に恋愛関係に陥らない点が現代的だしリアル。そして、竜巻の迫力ときたら!竜巻が安易なヴィランとしての役割ではなく、自然の脅威というものが気難しさによる不思議さ

          ツイスターズ

          箱男

          ※ネタバレあります※ 原作は未読。私にはつまらなかった。箱男の箱は、現代だとスマホとかSNSの類の比喩なんだろうな、で「箱男は貴方だ」的なこと言いたいんだろうな、と思ってたらまんま臆面もなくそのものズバリの演出があり、とってもとっても微妙な気持ちになった。また、ほぼ唯一の女性の登場人物と言って良い女優さんが、主要な男性の登場人物達のフェティシズムの相手の役割を一気に担っており、「体当たりの演技」っちゃあそうなんだけど…あまり必然性を感じず、それこそ監督のフェチを感じとても居

          ビートルジュース

          えーんえーん、せっかくのDolbyシネマでのリバイバル上映だったのに、途中ウトウトしてしまい、マイケル・キートン登場後から記憶がなく…気づいたらウィノナ・ライダーが宙に舞っていた…(多分ほぼ全編見逃した…) ので、全体の感想は書けないんだけど、どうでも良い思いつきを一応記録しとく。 アレック・ボールドウィンが細くてかっこいい。 ジーナ・デイビスもウィノナ・ライダーも変わらんなあ。特にウィノナが可愛い。 地獄巡りシーンがやっぱり今観ちゃうと安っぽく感じてしまう。一方ティム

          ビートルジュース

          密輸 1970

          面白かったー!!! リュスンワン監督は前作『モガディシュ 脱出までの14日間』を鑑賞。こちらは徹頭徹尾シリアスでスピーディでハラハラドキドキ展開だったけど、本作はどちらかというとコメディ寄り。 キム・ヘス(韓国の大女優とのことだけど、失礼ながら私は本作で知りました)演じる主人公のチュンジャが、最初調子よくて胡散臭いんだけど本当は人情味溢れてて…みたいな江戸っ子(?)とヨム・ジョンア(この方も韓国では有名らしいんだけど、不勉強ながら本作で知りました)演じる真面目で人望はあるけ

          密輸 1970

          フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

          プロジェクトX的ドキュメンタリー風味の「アポロ計画は成功するのか!?」的成功譚にラブコメとフェイクニュースへの皮肉もトッピングされていて、そんなにてんこ盛りで大丈夫?って思ったけど、テンポが良くてとっても面白かった。 チャニング・テイタムが「真面目だけど頑固で融通の効かないオタク?」と思ったけど、あの筋肉粒々の身体を持て余してる感じが本作のキャラに合ってた気がする。イケメンなんだけど、若干ダサくてモサい感じが、却って朴訥で素直さを醸し出している(褒めてます)。スカーレット・

          フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

          マッドマックス

          『マッドマックス 怒りのデスロード』サイコー!を色んな機会に表明しているものの、そのオリジンたる本作を映画館で鑑賞してなかったのが心残りだったんだけれども、「午前十時の映画祭」で上映してたのでいそいそと観に行った。 いやあ、本シリーズはつくづくネーミングセンスが最高よね。「トーカッター」「ナイトライダー」「V8」「ヒューマンガス」「ジャイロキャプテン」「イモータンジョー」「ウォーボーイズ」などなど…キャッチーだし特徴捉えてる感あるし聞いただけでイメージ湧くわー マックスが

          マッドマックス

          リッチランド

          街全体が原爆を作るために人工的に造られた街であり、住人は長崎に投下した原爆「ファットマン」の原材料となったプルトニウムを作成したことに誇りを持っており、きのこ雲が街のシンボルになっていたりして、原爆を投下された日本に住む私からするとちょっとギョッとする感覚ではある。そして、その事実は当時の住人には知らされておらず、当然放射線の被害者と思われる住人や二世三世の証言も出てくるのだが、これを観ていると、何処までが罪なのかという線引きが曖昧になり、クラクラしてくる感覚があった。原爆投

          リッチランド

          インサイド・ヘッド2

          実は1は未見。評判良いのは知ってたのでなんで観てなかったんだろう… とってもおもしろかった。頭の中の感情を擬人化してて…というのは一時流行った脳内メーカーなんかでお馴染みよね、可視化したら面白いし興味深い、正しいかはさておいて。 で、脳内はあんな綺麗ごとばかりじゃなくて、邪悪なことや色恋沙汰やエロいことなど、とてもじゃないけど表現できないこともあると思うんだけど、そのあたりは漂白されていて、若干綺麗事かな〜っていう気もしなくもなかった。が、小学生なんかも対象のアニメであると

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          團菊祭五月大歌舞伎 夜の部

          伽羅先代萩 御殿・床下 子役は頑張ってたけど、菊之助がなあ…やっぱ女役は合わないんじゃないかなあ。(酷だけど「お玉様で観たい!」と思ってしまったよ)あ、いや頑張ってるのは分かるんだけど「頑張ってる」ってことが伝わってくるので、身になり役柄の所作まで昇華されてないのでは、と思ってしまった。心意気は買うがやっぱボンクラな二枚目が似合うと思うで、菊之助丈! 四千両小判梅葉 松緑さんが一枚看板で出ずっぱり。前の演目とは対照的な、(歌舞伎の中では)モダンでリアリティのある演出。松緑丈

          團菊祭五月大歌舞伎 夜の部