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インフィニティ・プール

ブランドン・クローネンバーグ作品は初見。 ミア・ゴス!ミア・ゴス!ミア・ゴス! ということで、本作の感想はミア・ゴス様を讃えて終わりにしたい。(感想になってない…) アイデンティティがテーマとなっていて、「罪を償うために金で解決=自分のクローンを作って代わりに刑を受けてもらう」んだけど、クローンがガチ(どうやって作ってるんだろう?というのはさておき)で、フィジカル的なものだけでなく記憶もそのままコピー人間が作られるので、「もしや今生き残っている自分は実はクローンでは?」と

    • ミステリー・トレイン

      「ジム・ジャームッシュ監督特集上映」より。初鑑賞。オムニバスなんだけど、実は…というカラクリがあって、だけど強烈なストーリー性があるわけでない緩いフォーマットは、なるほどタランティーノっぽい(本作の方が先行しているけれども) ジャームッシュを表現するのによく「オフビート」と言われるけど、そこはピンと来なかった。何故ならオフビートの定義がよくわからないから(苦笑)(「定石を外す」とか「起承転結が曖昧」といった意味合いで良いのかなあ) 最近『プリシラ』を観たせいかメイフィスや

      • 異人たち

        大林宣彦版は未見。原作である山田太一の小説も未読。そして、ドラマを観る習慣がなく山田太一が脚本のドラマはいずれも未鑑賞。 最後まで見てようやく「『異人』ってそういうことかあ」と思った私は多分本作を語る資格はないかもしれん。主人公がゲイであることが「孤独」の象徴になっており、古い世代の親から偏見に満ち溢れた対応をされて「もう時代は違うんだ」という主人公の言葉が虚しく響く。何故なら孤独は何処にでも転がっているから。 アンドリュー・スコットもポール・メスカルも良かったけど、ジェイ

        • 劇場版 再会長江

          監督である竹内亮さんは、本作を観るまで知らなくて、中国では割と有名なYouTuberというかインフルエンサーらしい。どうりで作品内で竹内亮さんが頻繁に登場し、タレントやMCのような役割を担っている。従って、ドキュメンタリーというよりはロード・ムービーというか、俺シリーズって感じかも。で、内容は「長江を下流から追い、そのなかで出会った人々を深掘りしていく」といった、「NHKスペシャル」+「家、ついて行ってイイですか?」風。この竹内さんは好奇心旺盛で人の懐に入るのが上手く中国語も

        インフィニティ・プール

          マンティコア 怪物

          ※ネタバレあります てっきり冒頭主人公達が作ってる架空のクリーチャー達が実物になって襲ってくるんだと思ってたけど、違った。タイトルからそんなB級アクションを想像してたので、淡い恋愛描写や妙にシリアスで不穏なんだけど淡々とした描写に妙な違和感があったのも事実で、違和感というか困惑かもしれない、これ何の話?っていう。 怪物の正体は多分2つある。1つは主人公フリアン。実は小児性愛の嗜好があり、クリーチャーで偶然出会った少年クリスチャンへの偏愛を表現してしまう。プライベートで創造し

          マンティコア 怪物

          ナイト・オン・ザ・プラネット

          初ジム・ジャームッシュ監督作品の鑑賞。『ちょっと思い出しただけ』の印象が強くて、観終わった後「あれ、クリープハイプの曲流れないんだ…」と思った(←色々混同し過ぎ) 「タクシードライバーと乗客の物語」というフォーマットのみ共通の5つの都市での別々の出来事が語られる。で、「ちょっと笑える」けど「何も起きない」。勝手なイメージでもっとスカしたおしゃれ映画を思い浮かべてたけど、ちゃんとした(?)ストーリーもあって内容も興味深いものではあった(しつこいけどおしゃれが先行し洒落た映像だ

          ナイト・オン・ザ・プラネット

          マリウポリの20日間

          NHKで放送済みとのことだけど私は見逃していて今回の劇場公開が初見。 打ちのめされた。凡百の言葉を紡いで感想を言うより本作は万人が観るべきと思う。映像は生々しく、死体等も容赦なく映るので観るのにはとても勇気がいるし、今現在も進行中だという無力感。そして、本作を観たからといって戦争が終わるわけではないという絶望。そして、過去も未来も現在進行中のものも、戦争には本作では映されていたが、語られていない物語が人の数だけあるということを認識しこの衝撃と敗北感を忘れないようにしようと思

          マリウポリの20日間

          メメント

          ※ネタバレあります※ こちらの作品も『フォロウィング』と同様、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』の日本公開を記念したリバイバル上映。大分昔にレンタルビデオで観たけど映画館では初鑑賞。 本作は、時間軸は切り刻まれているけれどもシャッフルはされておらず、2時間のドラマを10分単位で分割し逆から繋げていく、といったスタイル。主人公や登場人物の言動が、次のシークエンス(時間軸で言うと10分前からの行動を描写)で「実は…」という背景や裏がわかる、という仕掛けで

          メメント

          プリシラ

          ソフィア・コッポラ監督作は、『マリー・アントワネット』は観てるはずなんだけどあまり記憶にない。 「ガーリー」「おしゃれ」のイメージで綿菓子みたいな勝手な印象があったんだけど、本作は見た目の洗練さやスタイリッシュなイメージと比べ、全然スイートではなかった。 「エルビス・プレスリー」と言う稀代の大スターが出ていながら、あくまでもプリシラからの目線でのみ描写されているという点は徹底されており、それこそ『オッペンハイマー』のように「プリシラが見ていないものは描写しない」(一部例外あ

          プリシラ

          陰陽師0

          つ、つまらなかった… 夢枕獏の『陰陽師』シリーズが好きで、滝田洋二郎版の『陰陽師』が面白かったので、(主演が山﨑賢人という不安材料はあったものの)観に行った…けど、開始5分で後悔した。 冗長的かつ説明的な台詞でまず興味を削がれた。また、山崎賢人演じる安倍晴明は、まだ学生なのに他とは桁違いの呪術を操っていてチート過ぎるし、陰陽師や博士が操れる能力がいまいち明確じゃないし、呪術かと思いきや『グリーン・デスティニー』のパチもんのようなアクションが始まるし、何より心情を全て台詞で

          陰陽師0

          フォロウィング 25周年/HD レストア版

          ノーランの長編デビュー作。今回初見。 時間軸をバラバラに切り刻みシャッフルして映像として繋げるというか特徴はデビュー作から健在。だけど、本作は取り扱っている時間軸は1つだけなので、割と観やすかった(時間も69分と良心的)。『オッペンハイマー』公開を機にノーラン監督作(特に初期のもの)がリバイバル上映されており、それらの作品を連続して観ると、時間軸ごちゃまぜの結果、それ自体がサスペンスとなっていて観ている最中は興味が持続出来るんだけど、終わった後は何も残らない。で、本作は「あ

          フォロウィング 25周年/HD レストア版

          ピアノ・レッスン 4Kデジタルマスター

          本作は今回のリバイバル上映が初見。 映像と音楽が素晴らしい。そして、ホリー・ハンターがとにかく綺麗。 言葉を失ったエイダ(演ホリー・ハンター)の唯一の感情表現の手段は唯一ピアノ…のはずなんだけど、途中怒りの表現は物に当たり散らしたりするし、紙に書いて要求通すし、自己主張の強いヒロイン像には大変共感した。結婚相手を親に勝手に決められる等自由が効かない中、自分のコントロール出来る範囲だけでも主張を通す様は好感を持ったんだけど、(これもこんなことばっか言ってて恐縮だけど)自分ごと

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          霧の淵

          ときどき挿入される、舞台となった川上村の風景が美しく見事。本業の役者が出演しておりフィクションではあるものの川上村に寄り添い、まるでノンフィクションであるかのような味わいは、クロエ・ジャオを想起した。 ストーリーは一応あるんだけどほぼないに等しく演出も最低限に抑えられており淡々と話は進むので、「リアル」っちゃリアルなんだけど、そんな中でふっと虚構的な表現が挟み込まれ現実との境界が曖昧になる不思議な映画だった。失踪したおじいさんの過去の記憶に、主人公イコカが一瞬紛れ込み追体験し

          霧の淵

          四月大歌舞伎 夜の部

          於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)  土手のお六  鬼門の喜兵衛 もう仁左衛門と玉三郎の黄金コンビを拝めるというだけで幸せなので、特にそれ以上の感想はない。仁左衛門は80歳を迎え玉三郎も70代中盤に差しかかり、体力的には主役も難しくなってくるので、「これが最後かも」と思いながらいつも観てる。で、毎回毎回「ありがたや〜」となって帰るんだけど今回もそんな感じで、もう、拝めるだけで有難いので文句ありません(感想になってない…)。仁左衛門は相変わらず若々しいけど憎たら

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          戦場のメリークリスマス 4K 修復版

          (毎回こんな出だしばっかで、低レベルで恐縮だが事実だからしょうがない)正直、途中ウトウトしてしまった。でもって、直前に『オッペンハイマー』を観ていたので、「…アインシュタインが若返ってる…」なんてマヌケな感想を持ちながら観てた。私が物心ついた頃は、大島渚は「映画監督」というより「朝生で激論してるおじさん」の印象が強く、監督作も多分『愛のコリーダ』と『御法度』しか観ていない(『御法度』は面白かったけど、最後が締まらなかったなあという印象)。 で、ビートたけし×アインシュタイン

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          貴公子

          貴公子と呼ばれる殺し屋が主人公と思いきや…彼は主役じゃなくて、どちらかというと狂言回しに近いかなあと思った(話には絡んで来るけど)。貴公子は結局良い奴だったのか悪い奴だったのか、マルコの味方なのか敵なのかが最後までイマイチよく分からなかった(頭悪すぎ…) マルコ(演カン・テジュ)が主役だと思うんけど、終始何かに巻き込まれ、わけわからんまま追いかけられるし、何故か韓国に連れ戻されるし、その肉体的な説得力とともに話がずんずん進んでいくドライブ感は良いと思ったし暴力描写も容赦なく、

          貴公子