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#58 好きなスーパー|カゴの中はその人を映す

わたしは大学生の頃、スーパーでアルバイトをしていたことがある。べつにスーパーが好きで始めたわけではないけど、超コミュ障だったので「スーパーのレジ打ちくらいならできるかも」と思って始めた。思ったより難しかったけど。

レジ打ちをしていたころに、研修でおばちゃん先輩に言われた一言を今でも覚えている。

「かごに几帳面に入れている人は、丁寧に移しかえてね。ごちゃごちゃに入れている人はそこまで気にしなくていいから。」

つまりスーパーのカゴへの商品の入れ方で、レジ打ちの人はお客さんを見ているわけだ

ちなみにレジを打つときは無心なので、カゴに入っているもので今日の晩御飯を予測する。するつもりはなくても、単純作業が続くのでついつい考えてしまうのだ。

「この人、見た目は丁寧な暮らしをしてそうなのにやたらポテチ買うやん」とか、「この人こんなにたくさん別寅を買ってるけど、旦那さんの好物なのかしらん」とか余計なことが頭をかすめる。

年代によって買う食材に偏りがあるのもおもしろい。その人が買うものは、その人が食べてきたもので、その人の歴史でもある。


昔は思ったことなかったけど、いまは「暮らしが人を強くする」と信じている。暮らしに不可欠なのは、やはり食材であり、現代を生きるわたしたちにとって、食材を求めたときに行く場所は畑でも海でもなくスーパーだ。

今はどうしてか関東に暮らしているけれど、人生の大半を大阪で過ごした。

3回ほど大阪の中で住居を転々としたが、住むとこ住むとこ、近くになぜかいつもスーパー玉出があった。

スーパー玉出はご存じだろうか。

いつもネオンがギラギラしており、その派手な外観と「玉が出る」という店名から、パチンコ屋を思わせる。東日本大地震で「節電、節電」と全国各地のあらゆる商店が仄暗かったあの時代も、スーパー玉出だけはネオンをギラつかせて営業をしていた。もやしがよく1円で売られていて、あれはきっと大きな組織が絡んでいるのだろうと友達が言っていた。

ここまで玉出の話をしておいてなんだけど、わたしの推しスーパーは玉出ではない。スーパーライフだ。

クローバーのマークが目印でいつも活気に溢れている。関西が母体だが、最近では関東にも進出しているらしい。ただ品揃えが違うらしいので、ぜひ関西のライフにぜひ行ってみてほしい。

清潔感があり、陳列も余白があって分かりやすい。

イオンよりやや小さいくらいの規模感で、かゆいところに手が届く品ぞろえ。高級すぎず、庶民すぎない絶妙ライン。

至るところに工夫が見られ、お惣菜やパンも多種多様で美味しい。ポイントカードはモバイル式で、ドラッグストアが併設されている店舗もあったりして、行けばたくさん買ってしまう。関東で言うと「いなげや」って感じ。

ちなみにパンコーナーでは塩バターロールを好んで食べていた。娘は赤ちゃんのときからそこのしょっぱいバターロールが好きだった。味のわかる赤ちゃんだったのだが(偏食で)そこのパンはよく食べた。単にしょっぱくておいしかったのかもしれないが。パン屋激戦区エリアの中にたたずむスーパーのパン、というわりにとてもよく売れていた。

お惣菜では味噌だれがかかった串カツがお気に入りだった。豚バラとたまねぎが交互に刺さっていて一口サイズ。気に入って食べていたっけ。

アボカドも、ほかのスーパーで買うよりおいしいものがそろっていた。ちょっと高いのだけど、何度買ってもライフのアボカドは当たるのだ。これには感動した。

細かいところまで非常に手の行き届いたスーパーライフ。どのコーナーも隅々まで配慮という名の愛情を行きわたらせ、レジのサービスもよく、緊急事態には率先して取り組みをするライフ。主婦の味方のライフ。焼くだけの漬けチキンが美味しいライフ。チーズコーナーにやたらこだわりのあるライフ。

わたしの推しライフは大阪市西区のライフである。ぜひ一度足を運んでいただきたい。

#好きなスーパー


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