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汝、星のごとく

昨年の本屋大賞を受賞した
凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読み終えた。

私は単純な人間なので
失恋すると読書をする。
自分の心の救いになるものを求めて。

学生時代は日常的に読んでいたけれど
社会人になってからはそれが習慣になった。



印象的だった箇所が2つ。
どちらも今の私の荒れ立つ心に染みた。

「ぼくたちはそういう悩み深い生き物だからこそ、
悩みのすべてを切り捨てられる最後の砦としての
正論が必要なんです」

「わたしにとって、愛は優しい形をしていない。
どうか元気でいて、幸せでいて
わたし以外を愛さないで、わたしを忘れないで。
愛と呪いと祈りは似ている。」


私の数ヶ月に渡る表に出せない思いは
切り捨てるために正論が必要だった。
既婚者なのに好きな人が出来るなんて
とんでもないことだ。

奇跡的に相手も好意を持ってくれていたといえど
相手にも向き合うべき人がいた。

お互いが全てを捨てて一緒になるのって
どう考えても困難だし
そう簡単に切り捨てられるものではないよね
…紛うことなき正論。

そうして始まるまでもなく終わった恋だった。
これで良かった。当たり前のこと。
とはいえ綺麗さっぱり感情が消えるわけでもなく
なんでこんな感情を持ってしまったんだと
ぶつけどころのない罪悪感と好意が
今もまだ自分の中で混ざり合っている。



幸せになってほしいとは思うけれど
自分のことを忘れて欲しくない。
ふとした時に思い浮かぶのが
自分であったらいいのにと思う。

ワガママな話。祈りと呪い。


小説内の主人公は
最後の最後で全てを捨てて
最後の砦の正論も捨てて自分の気持ちを優先した。

逆にいうと私は
感情を最優先に動けるだけの熱意が
なかったとも言える。


まだ相手のことを知って間もないし
知らない面も沢山ある。
元々一度誰かを好きになると年単位になる人間で
自覚してからまだ数ヶ月しか経っていない
自分の気持ちだけを指針にするのは難しかった。

私の相手に対する好きという気持ちは確かだけど
今までの恋愛に比べればまだまだ軽い。
だから重くなってしまわないように
自分の中できちんと線を引かないといけない。

空気にのまれて
本当はまだ好きだなんて
うっかり言うことのないように
言ってしまいたくなっても耐えられるように。


同じコミュニティに属す知人A
…は流石に遠すぎるけれど
適切な距離感で接していけたらいいなと思う。

そしてあの人があの場から出て行った後も
ふと思い出すと暖かい気持ちになれるような
そんな存在になれたら嬉しいなと思う。 

だからきちんと自分の気持ちには鍵をかけて
別の形で、向き合っていけたら。


恐らく私は7月からあの人のいる環境に戻る。
ずっと悩んでいたけれど
長くても後きっと2年弱くらいしか
お互いがあの環境にいることはないから。

それならその期間を大事にしようと思った。
せっかくの気持ちを大切にしようと思った。
表には出せなくとも。





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