離れる覚悟を持つこと

恋愛において相手に傷つけられたとき
もしくは不満がある時
その感情をきちんと本人に
伝えることができるというのは
一種の強さだと思う。

言ってしまうことで関係が終わるのでは
嫌われてしまうのでは
面倒だと思われるのではと
私はとにかく相手が離れていくことが怖くて
そういった感情を
表に出すことができない人間だった。

初めて付き合った人が非常にモテる人で
残念ながら私は浮気を繰り返されていた。
初彼でそんな恋愛をしてしまったものだから
「辛くても私が耐えればいい」
「許して文句を言わなければ一緒にいられる」
そういった恋愛観が染みついてしまった。
我ながら可哀想な話。

結果、私はその後付き合った歴代彼氏達にも
浮気をされるようなことが続いた。
あるいは都合の良い関係にされることもあった。
相手からしたら
非常に扱いやすかったのだと思う。

何をしても怒らないし文句を言ってこない
何をしても許してくれる
そりゃあ雑に扱われるに決まっている。

自分のことを大切にするために
嫌われる勇気や終わらせる勇気が必要だと
過去の恋愛で痛いほど知った。
結果的にその勇気を持っている人の方が
相手からも大切にされると知った。

好きな相手が離れていくこと
もう一緒にはいられないことって
当然すごく辛いし苦しいけれど
傷ついてまで一緒にいるべき人なんて
きっといないんだと思う。

それに、離れたときの辛さは
時間が少しずつ癒してくれるけれど
一緒にいる中での辛さや苦しさは
長く尾を引く。

数々の地獄恋愛を終えて
アラサーにしてようやく手にした
安定して穏やかな日々。
もう私は自分で自分のことを
傷つけるような恋愛はしない。
そう思っていたのに。
残念ながら、私はまた道を踏み外しかけている。

2か月程前に
関係を進めないという選択をして
お互い目の前の人を今後も大切にしていこう
という決断をした例の相手。
この、Noteという場所に記録をつけようと
思い立つきっかけになった相手。

その相手から今、私は
最低最悪な提案を受けている。

相手に大切にされないことで
自分の価値が下がっていき
じわじわと自尊心が削られていくあの感覚。
それでも依存と執着で手放すことができなくて
自己嫌悪に陥っていくあの感覚。
もうあんな感覚を私は味わいたくない。

その一方で好きな気持ちって
もう無理！頑張り切った！
とことん全力で私に出来る限り全てのことをして
傷つき切ってこれ以上出来ることはない！
ってところまでいかないと諦めきれない
そんな考えも私の中にある。

過去の浮気された元彼たちは
皆、ある時急に「もういいや」と
思える時がきた。
それは自分が飽きるまでとことん好きでいて
ボロボロになってやりきった上で
急に訪れた「もう十分頑張ったし終わらせよう」
という感情だった。

あの人への気持ちは既にだいぶ落ち着いている。
正直もう恋愛としての”好き”という気持ちは
ないに等しいと思う。
話していて楽しいとか
やっぱり格好良いなぁという
気持ちはあるけれど。

それ以外で今の私にまだ残っている
あの人への感情は
あの人”自身”に対するものではなく
一緒に過ごした時間や
沢山の彼のファンの中で
自分は他の人と違い特別だったという
優越感に対する未練だと分かっている。

それなら自ら望んで
地獄に進んでいく必要なんて
絶対にない。
せっかく今気持ちがこうして落ち着いているのに
関係を持つことでまた何か
揺さぶられてしまう可能性はあると思うから。

それなのにすぐに提案を拒否できなかったのは
昔の自分が顔を出してしまったから。
ここで拒否したらこの人は私を嫌うだろうか。
あのコミュニティに私は
顔を出せなくなるだろうか。
そう思ったら断ることが
怖くなってしまったから。

結局、YesともNoとも答えず
よく分からない濁し方をしてその日は解散した。

もう好きな気持ちはないとか言いながら
結局関りが消えるのは嫌なのだなと
自分に呆れた。

正直、遊びの関係を提案された時点で
既に自分の価値は落ち始めているのだと思う。
断ろうとも受け入れようとも
どちらにせよ、もう元の関係には戻れない。

そもそもお互いが一度恋愛感情を
持ってしまった以上
元の推しとファンのような関係に
戻ることはできないのだなと
改めて痛感してしまった。

もうこんな恋愛をすることは
自分の立場的にも年齢的にも
流石にないと思っているから
いっそとことん堕ちて
好きになれるだけ好きになってみるか。

自分の立場と相手の立場を弁えて
一線引いて断固として拒否するのか。

そもそも一度堕ちたとして
そこから継続されていく関係なのか
一度だけで終わるのか。
何もわからないけれど。

先週そんな提案を受けてから
ずっとぼーっと
色んな考えが脳内を駆け巡っている。

傷つきたくない気持ちと
刺激を求めて揺さぶられたい気持ちと
道徳心と、世間体と。
今はまだ、答えが出せない。