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ホロコースト否認論を否認するテスト-09 Twitter Denials 08

今回も以下のリンク記事の紹介です。翻訳はDeepLを使用しつつ独自の解説を加えていきます。


36.ねぇねぇ、なんでコロコロ収容所死者数が変わるわけ? 数字適当に弄ってるのバレバレでしょ。アホらし

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うーーーむ、なかなかしつこいみたいですねぇ、被害者数の推計値です。何遍言えば君たちは分かるんだ! みたいな。これらのツイートは、ともかくいろいろな時期による差であるとか、あるいはこっちにはこう書いてあるのにこっちと違うとか、虐殺人数が大幅に違うことすらあるので、あまりにいい加減ではないか。こんなもの信用できるわけがない、と、こう仰るわけです。

虐殺数の正確な値なんてわかんないわけです。唯一、ほぼ誤りのないであろう戦前戦後のユダヤ人人口統計値の差から、概ね500万人から600万人くらい消えていることは分かっているのです。私自身は、その人口統計値の出所を知りませんが、そのデータを見せていただいた『ホロコースト』(芝健介、中公新書)の信頼性を考えれば、そう無茶苦茶なデータであることはないでしょう。複数のデータが合っているわけですから。いい加減な「年鑑」比較とは全く違うわけです。

旧ソ連がどうしてアウシュビッツの虐殺数について400万人という過大な数字を出していたのかについての具体的な情報は私は存じていませんが、私としてはいつもカチンの森を思い出すのですね。ここでは詳しくは述べませんが、スターリン・ソ連はかなりやることが雑なのです。著名なホロコースト歴史学者であるラウル・ヒルバーグは独自に、100万人というアウシュビッツの虐殺数を冷戦時代に推計値として出していました。

そこまで虐殺数にうるさいのであれば、研究者と一緒に研究してきたらいいのに。南京事件でも「最初10万人だったのが30万人になって、今では100万だ! デタラメもほどほどにしろ!」だったかどうだったか忘れましたけど、かのハンドレッド・ライスフィールドという名の日本人なら誰でも知っているくらいのベストセラー小説家がTweetしてましたなぁ、確か。30万人で変わってねぇっつーの。


37.なんでソ連側占領地にしか絶滅収容所がないわけ? はっきり言うけど、旧ソなんか信用できる? ホロコーストなんか旧ソのでっちあげだろ

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具体的な話はリンク先を翻訳してお読み下さい。この項の私が付けたタイトルはかなり意訳しすぎています。でも、そうですね、たしかに私自身もこれは見たことのある否認論の一つではあります。日本人もかなり海外の否認論に汚染されているようですね。

私もまだまだ全然初学者ですから、先行研究の説明を真に受けるしかないとお断りしておきます。しかしですね、そんな私ですらも知っているんです。ポーランドのユダヤ人が飛び抜けて多くざっと三百万人もいたわけです。そして、誰でも知っているように1939.9.1、ドイツ第三帝国がポーランドに奇襲で攻め込み第二次世界大戦が始まるわけです。この日付や事実ですらも、私は今何も見ずに書けます。何も見ずに続けますが、あっという間にポーランドの西側半分を攻め落とします。こんな簡単に行ったのはソ連と秘密協定を結んでいたからです。お互い独ソ不可侵条約を結んでおいて、ソ連も半月後にポーランドを侵略し東半分占領する。こうすることは前々から決まっていたのです。

そしてドイツは、ナチスの党是、ヒトラーがやかましく言っていることを即座に実行に移します。ポーランドのユダヤ人を始末するために物凄い狭い地域、各地に作ったゲットーに押し込むわけです。ヒトラーナチスはユダヤ人を社会から排除する目的を持っていたことなど誰でも知っていますよね? そしてこの大量のユダヤ人を処理すべく、もっと東に攻めて占領地を広げ、ユダヤ人を東へ追い払い、ドイツ人の地域にしようと画策、ヒトラーは1941.6.22、とうとう独ソ不可侵条約をいきなり破棄してソ連領域に侵略を始めます。いわゆるバルバロッサ作戦です。猛烈な快進撃で最初は進みます。そして、ここから絶滅作戦が本格スタートするのです。

約3000名で組織された悪名高き特別行動部隊アインザッツグルッペンです。ドイツ国防軍の進軍の裏で占領していった地域のユダヤ人などを、現地で射殺、死体を掘った穴にその場で埋めていく。炎628という映画があります。フィクションですが、凄まじいロシア映画です。機会があったら一度見て下さい。あんな胸糞悪い戦争映画もありません。もちろん、今言ったようにフィクションですから、あんな風に楽しんで殺戮したというわけでもないでしょうが、問題はこのタイトルです。"628"とはベラルーシで虐殺して村を焼いた数なのです。628村も現地で虐殺したということです、ベラルーシだけで。さて、ところがバルバロッサ作戦は失敗に終わります。有名な話なので割愛します。

これではポーランド等の既に占領していた地域の莫大な数のユダヤ人を東方に放逐できません。ところが一方でドイツは流石です、以前からマダガスカル計画というのを考えていたのです。ドイツが占領したフランスの領地であるマダガスカルにユダヤ人を移住、というよりも強制連行するというアイデアは実はナチスよりずっと前からあったのですが、ともかく具体的に実行計画を練っていました。ところがです、ドイツ支配下にあったマダガスカル駐屯フランス軍が、ドイツ同盟国の日本軍にあまり援助してもらえなかったのが効いたらしく、マダガスカル島はイギリス軍に占領されてしまいます。

これでユダヤ人の大規模移送計画は頓挫です。欧州のユダヤ人めっちゃ多いわけですよ、ざっと一千万人もいる。いくらなんでも、多すぎて殺戮殲滅手段はなかなか難しいと思ってたと私は想像します。でももうそれしかありません。戦局は悪化するし、ユダヤ人処理は進まないし。ヒトラーの内心はかなりイライラしていたのではないかと。だから、もうやっちゃえと。方法がないわけじゃない、アインザッツグルッペンでもT4 作戦でもガス殺とかやってたし既にガス殺の収容所での運用も始めているんだから、大々的にやってしまえ。

そしてヴァンゼー会議を経てラインハルト作戦として、ポーランドに絶滅収容所を三つ作って、……という流れになったわけです。でもそれでも足りません。

ところが、実はこの作戦の開始前年3月1日、ヒムラー親衛隊トップはアウシュビッツに現地視察。そして、アウシュビッツ収容所近くブジェジンカ村を訪れ、この広大な土地にアウシュビッツの拡張施設として十万人収容の規模となる、差し当たってソ連軍捕虜を収容する施設を作るのだ、と。数ヶ月後にソ連侵攻が予定されていたからです。部下は言います「ヒムラー様、無理でございます。アウシュビッツの土地は少し掘っただけで地下水脈があり、穴を掘って死体を埋めてしまうと地下水脈が汚染されてしまいます」、しかしヒムラーは頑として受け付けません。「それを何とかするのが我々の仕事だ。言い訳は聞かん! 水があるんだったらすぐ近くのヴィスワ川に排水しろ」と。

……これが後々の最悪の大量虐殺施設アウシュビッツ=ビルケナウ収容所になっていくわけですが、おそらくヒムラーの頭にはソ連軍捕虜の後に、ポーランドを中心とした取り急ぎ大量処理をしなくてはいけないユダヤ人絶滅計画の要にするという考えがあったんじゃなかろうかと、素人の私は愚行するわけです。ヒムラーだけじゃないと思いますが、マダガスカル計画を東方侵略と平行して計画していたくらいですから、用意周到だったと推測は出来ます。東方もマダガスカルも駄目ならビルケナウで、と。

長々と、ド素人の雑な説明をしましたが、何れにしてもポーランドという戦後は東側になる地域に絶滅収容所が集中したのは、ポーランドに三百万人という突出したユダヤ人がいたからという理由が大きいことは正直、猿でもわかる話です


38.ホロコーストなんかあるわけ無いじゃん。何も知らん馬鹿でもわかる

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ええっと、ここで告白します。上はリンク先の画像ですけど、今まであった全てのツイートはスクショ画像であり、テキストコピーできません。つまりですね、英語のわからない私は、全部自力でテキストタイピングして翻訳にかけていたのです。めんどくせーーー!(笑)

ですので、流石にもうめんどいので、上の画像の英語はテキストタイピングしてません。でも簡単です。タイトル通りのことを言ってるくらい分かります。しかし残念ながら、「馬鹿」という言葉が妥当かどうかはともかく、何も学ばないで適当なことを言ったからと言って、ホロコーストなど否定はできません。そもそも600万人焼いたってなんなんですか? そんなことしてないわけです。

実際この手の延長線上にあるのが、ちょっとまともなことを言っているように見栄えだけは見える、否認論者たちです。学者レベルの否認論者になると、表現手法だけは学者っぽく上手なだけに、ほんとにそれらしく見えてしまうのです。でもそんなのアホほど簡単です。ちょっとやってみますね。

ナチスドイツの実行したユダヤ人に対する虐殺は、神話に過ぎない断ずる説が存在する。事実上、メインストリームの学会レベルでは全く受け入れられていないのであるが、果たして検討の余地にも値しないのであろうか。もしそうならば、何故未だにホロコーストへの疑惑が絶えないのか。それはもしかして、「検討にも値しない」としてただ見捨ててきただけで、誰も真面目に検討しなかったという赤裸々な事実がそこにあるだけではないのか。そうした疑問を紐解くために、私は敢えてメインストリームの歴史学者が相手にしないフィールドの歴史修正主義の詳細な検討を始めたのである。結果はすぐに見えてきた。メインストリームで全く相手にしないうちに、歴史修正主義の主張は驚くべき進化を遂げており、ホロコーストに対する疑惑を赤裸々なほどに暴き、それらが神話に過ぎないものであることを明確なまでに実証していたのである。

ね? 簡単でしょ? 2分も掛かってません(笑)。1分かもしれないけど、それっぽく見せかける文章なんざ、いくらだって捏造できます。あのね、小説家なんてほんとに腐るほどいるのです。大半は書籍にも出来ずにアマチュアで野垂れ死に……は酷いな💦、アマチュアレベルで留まりますが、これくらい小説の中で誰でも捏造できます。

結局ね、" low-IQ neo-Nazi"と言われるような人達と、まともに見える学者レベルの歴史修正主義者なんて根底でちっとも変わらないんですよ。そりゃね、偉い先生方やが色々と知識があるのは認めます。でも知識なんていくら頭にあったって、自身の考えそのものが間違っていたら、意味あるんでしょうか

よくいる疑似科学信奉者たちは、頭でっかちなだけで、全然分かってない人って多いと思いませんか? ホメオパシーはウンタラカタラと歴史があってヨーロッパでは標準医療になっててどうのこうのと、知識だけは一端にあるのだけれど、あんなただの砂糖玉、有効分子数がアボガドロ数を下回るくらい薄めておいて効果があるわけがない、だなんて、ちょっと考えたら誰にでも分かるわけです。

歴史修正主義なんて、要はそういう話なのではないかと思います。


39.あのー、申し訳ないんですけど、収容所体験者の囚人番号が百万人の桁以下なのですが……

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カール・ペンドルトンくん、君ねぇ……。

でもこれは、豆知識として良い質問ですね。私も実際知りませんでしたので、リンク先を翻訳してコピペしましょう。

[引用開始]

簡潔な反証:ナチスの犠牲者の中で、アウシュビッツの受刑者だけが入れ墨をしており、登録されているアウシュビッツの受刑者の数は明らかに100万人をはるかに下回っていたので、6桁の数字は十分すぎるほどであった。

さらなるコメント: このミームを投稿する人は基本的にこう言っています。"私はホロコーストの非常に基本的なことを研究するために数分かかるのを気にしていませんが、私はまだこのトピックで何か非常に重要なことを言いたいです!"。

このミームの仮定を紐解いてみましょう。
・ホロコーストのユダヤ人犠牲者は全員タトゥーを入れていたはずだ。
・ユダヤ人の犠牲者は全員収容所を経験しているはずだ。
・すべてのユダヤ人収容所の受刑者はタトゥーを入れていたはずです。
この3つの仮定はすべて明らかに間違っています。

ユダヤ人の犠牲者の大部分は、そもそも収容所にはどんな立場でも入っていなかったのです。それは基本的な知識です。200万人以上が集団銃撃やゲッ トでの餓死などで死んだ。

このテーマについてのまともな歴史書を読めば、囚人に刺青を入れることはアウシュビッツの収容所だけに限られていたことがわかるでしょう。そして、すべての受刑者にさえも。


アウシュヴィッツで刺青を受けた受刑者のカテゴリーを紹介します(T. Iwaszko, "The Causes of Imprisonment in Camp and the Categories of Prisoners" in Auschwitz 1940-1945; International Tracing Service, Häftlingsnummernzuteilung in Konzentrationslagern... 1965, pp.2ff.)

・1941年秋からのソ連の捕虜と、1942年の他のいくつかの、ほとんどが病気/弱った受刑者(胸の入れ墨)
・1942年春から新たに到着したユダヤ人登録受刑者全員。
・1942年春から新しく到着したユダヤ人登録受刑者全員、1943年春からいくつかの例外を除いて登録された受刑者全員。

刺青をしていなかった特定のグループ(昭和17年の一般囚人は別として)。

・収容所に一時的に居住していたにもかかわらず、正式に収容所に登録されていなかった人々、通常は労働収容所に送られる前の人々(いわゆる通過ユダヤ人)。
・ドイツ人の囚人。
・いわゆる再教育囚人。

そして明らかに、労働に適さないと判断され、到着時にガスをかけられたユダヤ人強制送還者たちは、収容者として登録されたことがなく、したがって収容所番号も発行されず、刺青を入れられたこともない。彼らは収容所の130万人の強制送還者の大部分と、収容所の犠牲者の大部分を構成していましたが、収容者になることはありませんでした。

アウシュヴィッツでは、収容所番号が全部で約40万件発行されました。女性、男性、ソ連の捕虜、ロマ、再教育を受けた囚人はそれぞれ別のシリーズを持っていたし、ナチスはユダヤ人強制送還者のために新しいシリーズ(「A」や「B」の文字で始まるシリーズなど)を時々使っていたので、実際に刺青された番号が30万に達することはありませんでした。実際、最も多く発行された番号は「202499」(男性用の一般的なシリーズ)であった。

今までに、このようなミームを投稿している人は、絶対的な無知者か欺瞞的な人、おそらくその両方であることが痛いほど明らかになっているはずです。

PS: おかしなことに(または悲しいことに)十分に、いくつかのカッコウの否定者は、それが十分に文書化されているにもかかわらず、入れ墨を完全に否定するためにそこまで行っています。

[引用ここまで]

でも、無知であることは悪いことではなくって、自身が無知であることを知ることは大事なのではないかと思うのです。だから人は学ぼうとするのではないでしょうか?

実はそのつもりでもこのシリーズを続けてきました。私は無知であることは決して恥ずかしいことだと思ってはいません。でも、無知であることを知ろうとしないことはとても恥ずかしいことだと思っています。

無知を自覚しないから騙されるのではないのでしょうか? 詐欺師は、誰が考えても、騙しに掛かるために相手の無知につけ込む、わけです。例えば、マルチ商法で「この洗剤はこんだけ凄いのですよ?」と実演されて、「でもね、この私達の売っている洗剤はたったこれだけで半年使えるの。薄めて使うから。日本の洗剤は、原液のまま使うから環境にとても悪いし、コストパフォーマンスもとても低いのよ」と、無知につけ込んで騙すわけです。このディストリビューター自身、騙してるとさえ思わない。だってそう知らない人に教えるようにって教えられたから。

自身の無知を知るって、ほんとに大事なことだと私は思います。そしてもっと大事なのは真実を知るという姿勢なのではないのでしょうか?

ともあれ、ひとまずはリンク先の定番否認論のネタが尽きましたので、一旦は終了ですが、まだまだ続けます。乞うご期待。

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