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プロダクトとNPS相性チェックシートと、NPSの次のアクション

前編はこちら


プロダクトとNPSの相性チェックシート

これまでの結果をマップにすると次のように表現できると思います。マッピングをしてみましょう。2つのマップで、右上のゾーンに該当していたらNPSとの相性は良い傾向にあると思います。



「ユーザーは同類を簡単に見つけられるか」とは、プロモーターの人が、自分と似た状況の人を簡単に見つけられるかです。


NPSの実行

NPSの詳細な実施方法は、書籍で紹介されていたり、一般的なユーザー調査とそれほど大きな違いは無いので詳細は割愛します。

ポイントは調査計画そのものを立てる前に、顧客に関する十分な情報の洗い出しをしておくことです。

1..ユーザーストーリーマッピングやカスタマージャーニーマッピングなどを用いて、ユーザーアクティビティを洗い出す
2.ユーザーとサービスとの接点を特定する
3.接点において、どのような活動をしているのかを洗い出す
4.NPSの調査計画を立てる

NPS調査実行時のチェック
改めて、NPSのポイントは下記の通りです。
・適切な母集団を形成できているか
・NPSに適したプロダクトか
・NPSは適切に調査されたか


NPS後の次のアクション

NPSで調査したら、どのように進めていくかの一例を簡単に紹介します。NPSだけでなく、ほかの調査結果と組みあわせて行いましょう。

プロダクト改善施策(製品開発)

1.NPSの有効性を検証する※後述
2.ユーザーストーリーマッピングやカスタマージャーニーマッピングなどを用いて、ユーザーアクティビティを洗い出す
3.ユーザーとサービスとの接点を特定する
4.接点において、どのような活動をしているのかを洗い出す
5.活動とNPSのフリーコメントを突合させ、接点で何が顧客に大きな影響を与えるているのか検証する
6.スコアの向上施策を検討する
7.プロダクトホールに分類し、プロダクトそのものへの対処なのか、運用での対処なのかを見極めて実行する

NPSの有効性の検証
下記などの施策や分析を通して、NPSの数値と顧客の行動の実態が連動しているかを検証します。
・追跡可能なお友達紹介キャンペーン
・新規客の認知媒体が「友人からの紹介」か
・RFM分析(またはRFV分析)

マーケティング販促施策(商品開発)

・NPSの9~10点のユーザーを特定し、販促活動を強化できないか検証する
・NPSの0~2点はユーザーを特定し、販促活動が誤っていないか検証する

注意
・ボリュームゾーンにアプローチしようとしすぎて、少数の熱狂的なユーザーを逆なでする施策になっていないか注意すること
・批判者のスコア改善よりも、プロモーターや中立者のスコアを上げる方が好ましい。つまり、9~10の人を生み出すことをもっとやろう

よもやま
NPSが9~10点のユーザーなのだけど、想定とは異なる使い方をしているケースがあります。実は別の市場に熱狂的に受け入れられているケースです(ガンプラをメラミンスポンジでこすると、良い感じにつや消しになる、みたいな)。パッケージを変えるだけといった超低コストで新製品ラインを立ち上げられることもあります。


NPSはあくまで調査法、重要なのは次の一手

「NPSが高いのに売上が低いのなんでぇ!?」
「適切に調査したらNPSが非常に高かったのですが、売上はそれほど高くありません。どうしたらいいでしょうか」

ラーメン屋で考えてみましょう。一日10杯限定ラーメンなら、どれだけNPSが高くても、最大売上は1日10杯分の売上が上限になってしまいます。また限定でなくても、1回の食事で一人が食べられる量は限界がありますから、他の施策と連動しなければ売上は上がりにくくなります。

スターバックスの事例を紹介しましょう。スターバックスではコーヒーのプリペイドカードを購入することができます。他の人の代わりに購入して贈り物にできたりします。プリペイドカードの発行金額が10億円に達しており、ちょっとした銀行のような状態になっています。

コーヒー店のその場で消費できる金額が、その瞬間における最大売上でした。プリペイドカードを購入してもらうことで、未来の分まで購入してもらったり、他人の分まで買ってもらうことを可能にしたわけです。

NPSが高くても、それを活用できる商品展開が薄ければ売上にはつながりません。「応援したいのに、買えるものがない!」という状態です。これはSaaSでも同じです。

プロダクトが販促しやすい状況になっていることも重要です。

買えるものをつくる方法はこちらで紹介していますので、よければどうぞ。


結論

NPSは回答する人の状況によって大きく内容が変わってしまう、状況敏感な調査方法てす。ほかの状況に敏感なユーザー調査と同じように、質問の状況を特定することが重要です。

結論の再掲です。NPS調査は一つの質問から始められる気軽そうな調査ですが、結果が適切であるのか、また運用しやすいかは見た目の印象ほど簡単ではありません。見た目の手軽さに覆い隠されてしまっていますが、実は難しい方法です。これが、どはまりするトラップです。


NPSと相性の悪いプロダクトや事業は、NPSの売り込み本である『ネット・プロモーター経営』には書かれていませんし、NPSを商売道具にしている企業もなかなかいいません。インターネットでもあまり情報が無い状態です。

つまり、NPSは導入が簡単そうに見えますが、実際にやりきるには様々な知見が必要なため、コンサルが必要になるという、コンサルティング企業にとって参入ツールとして優れているという性質があります。やりきるには外部の手助けが必要になる可能性が高いのです。

外部の支援を受けるかどうかはとくかく、適切に実行すればNPSは効果的です。見かけの簡単さに振り回されないようにしましょう。


おまけ

NPSが分からなさすぎて、外部の人にリードしてもらったり、コーチしてもらう必要も出てくるでしょう。その時、「この人はちゃんとした人だろうか。しっかり教えてくれる人だろうか」と不安になると思います。

こういうタフな質問をするとよいかもしれません。
「NPSの利点、問題、限界とはなんですか?」

しっかりされた方なら、NPSがうまく行かないプロダクトなど、自分達の仕事にマイナスなことも話してくれるでしょう。

次のような、質問に答えず、ごまかさたりしたら要注意です。
「いい質問ですね! あの○○社や○○社も導入しています!」


プロダクトマネジメントコーチって何してるの?

最後に自己紹介です。プロダクトマネジメントのコーチをしています。

この記事のようにプロダクト開発におすい、本では書かれないし、ネットにもなかなかでてこないノウハウを提供したり、壁打ちやメンタリングをしています。

プロダクトに大きく手を加えず売上を伸ばす商品開発、よりよいプロダクトを作り続けるための組織開発、新製品を作るための製品開発が得意です。興味あれば気軽にメッセージをどうぞ。

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