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犬も風邪をひくんですか?

はじめまして。

タイトルに対する答えは、イエス。

獣医師にたずねたらそう答えた。犬も風邪をひくそうだ。だけど、風邪をひく犬は少ないと言う。たしかに、私も長年犬と暮らしてきて、犬の風邪は見たことがない。

台風19号が近づく少し前、私が暮らす街は急に肌寒くなり、完全な防衛策を実行したつもりが、いとも簡単に風邪をひいた。鼻をかみながら、朝のしたくをする私のそばで、飼い犬(老)も、時々くしゃみをしたり咳をしている。

犬も風邪をひくのかしらとのんきに考えていた。

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飼い主(老)11歳

台風19号が去ってしばらくしても、飼い犬(老)のくしゃみや咳は続く。たまに咳き込む以外は食欲もあり散歩も絶好調。いつも通り。なのに、なんだか咳の様子がとても気になる。喉の奥に詰まった物を出すように、ケッ、ケッと咳き込んだ後、頭を下げて何かを吐き出そうとするかのようにオエッとする。ほんの数秒で治るのだけど、息苦しそうな姿を見ているのはツライ。

明け方、飼い犬(老)が一緒に寝ている私のベッドから抜け出し、苦しそうに咳き込んで部屋をウロウロしている。こんなことは初めてだ。ベッドに呼び寄せると、私の腕に身を寄せて安堵したように眠る。ちなみに、飼い犬(老)は基本的に私にくっついて来ない。なのにだ。「ヤバイ病気なんじゃないか」と思うと眠気がすっ飛んだ。

午前中の予定を調整して、朝イチでかかりつけの動物病院へ駆け込む。で。獣医師と冒頭のやりとりだ。風邪ではなく、心臓や肺に疾患で咳が出ることが多いと言う。

「まさか飼い犬(老)も・・・」一気に不安が押し寄せる。私の不安をよそに、獣医師は淡々と犬の胸に聴診器を当てる。「心臓も肺も問題なし。一週間様子を見ましょう」と獣医師からの提案。

ほっとするのもつかの間。提案を一蹴し、できる限りの検査を頼み込む。一週間も苦しそうな姿を見るなんて、かわいそうでならなかったからだ。

「では、レントゲンを撮ってみましょうか」。獣医師は原因がわかるとも限らないがと前置きをする。

「レントゲンだけですか? ほかにもできる検査は?」と畳かける私。

「まずはレントゲンを撮ってみてましょう」と飼い犬(老)を抱きかかえ、いそいそと検査の準備を始める。こんな時でも、飼い犬(老)がしれぇ〜っとしているのが救いだ。

検査の結果、気管虚脱だと判明した。
キカンキョダツ? 初めて聞く病名で、まったくピンと来なかったが、説明を聞くうちに窒息死にも繋がる恐ろしいものだと理解できた。

気管虚脱(きかんきょだつ、tracheal collapse)とは気管がその本来の弾力性を喪失し,異常に拡張および扁平化することで発症する呼吸障害

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いくつかの薬を処方され、一週間後に必ず来院するように言われる。薬で完治する病気ではないため、長く付き合って行くことになる。激しい運動を控え、興奮させないようにすることが大切なのだそう。趣味だった飼い主たちとジョギングもこの日を機にやめた。

こうして、私と飼い犬(老)の治療生活は幕を開けた。


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