教育移住・留学の「開始年齢」「英語力」より大切なこと【今日からできる本当の留学準備、12の習慣】 後編
前編記事はこちらです。
私は、マレーシアとカナダで多くの留学生を見てきて、また、海外のいろいろな場所で学校に通っているお友達やそのご家族を見ていて、「うまくいっている」留学生には共通点がある、と感じています。
その「共通点」である素質をどのようにその子が身につけたのか?ということを、折に触れ、何年もかけてその親御さんや本人に質問してきました。
そうしたご家族の背景から「こういう生活習慣をつけることが本当の留学準備なんじゃないかな」と思うことを12の提言としてまとめたのが本記事です。
留学は「早ければ早いほどいい」と、特にマレーシア教育移住界隈で噂されているようです。でも、それはある意味少しリスキーな考え方かな、っと個人的には感じます。早ければ早いほどいい面もあれば、そうでない面もあります。
「年齢」ではなく、また「英語力」でもない部分で、ある素質を持った子どもは何歳から始めた留学でも成功しています。
そんな子どもや家庭が取り組んでいたことをヒントにした生活習慣はこんな感じ。今回は、「習慣5」以降を書いてみます。
習慣5.子どもに「今日楽しかったこと」を毎日聞く
楽しいな、幸せだな、と思えると、自然と自己肯定感が育まれていきます。ポジティブなマインドは毎日の小さなポジティブ体験で育まれます。
幼稚園や保育園の帰り道で、小学校から子どもが返ってきたときに、仕事を持っているママならお風呂の時間や寝る前など、いつでもいいので、「今日は楽しかったことの第1位は?」と聞いてみてください。3位くらいまで聞くとよいでしょう。
「今日の給食(お弁当)でいちばんおいしかったものは?」でも「今日笑っちゃったことは?」でも聞き方はなんでもいいのですが、ポジティブなことを思い出す習慣をつけるとポジティブな気持ちが育ちます。特に、お弁当/給食/スナックは、子どもが園・学校にいる間の最大のよろこびwなので、この質問なら、「忘れた」等と言われないことが多いです。
寝る前に「今日の○○は楽しかったね/美味しかったね。明日もそうだといいね。おやすみ」と言って1日を締めくくるのもおすすめです。
寝る前にポジティブなことを3つ思い浮かべると翌日ポジティブに過ごせる、と我が家のポジティブな息子が言っていました(彼はこのことを、マレーシア時代に通っていたインターナショナルスクールの授業で教わったそうです)。
子どもが言うことを批判しないこともポイントです。
子どもが何を楽しい・幸せと思うのかを知るのはとても大切です(特に留学をすると、今度の進路を一緒に考える必要のあるので)。こうした会話は思春期になってから始めるよりは小さい頃から習慣にしておく方が、ずっとラクだし効果が高いです。
きょうだいのいるおうちでは、一人ひとりの子どもと独占的にこうした対話をする時間を、5分でもいいのでできるだけ毎日とれるといいです。
習慣7.「子どもが好きなこと」を一緒にする
子どもが何が好きか知っていますか? 好きなことに付き合ってみましょう。
お砂場が好きなら一緒にお砂で遊びましょう。はたらくくるまが好きなら工事現場を探して一緒に見に行ったり、近所の消防署に行ってみましょう。電車が好きなら電車を見に・乗りに行きましょう。
好きなものが特にないなら、まずはいける範囲でいちばん大きな科学館・博物館・水族館にいきましょう。
出かけましょう。冒険をしましょう。スマホをしまって一緒に、その年齢でしか楽しめない遊びを楽しみましょう。
一緒に公園、という年齢を過ぎた子どもなら、一緒に運動(ウォーキングや自転車など簡単なものでもOK)や、ゲームでもアニメでもYouTubeでも。女の子なら買い物や流行スイーツでもスタバの新作ドリンクでも、アイドルやアーティストでも。
一緒にハマれるものがあると最高です。
習慣8.五感を使う体験をたくさんする
子どもにいろいろな体験の場を提供しましょう。
季節を感じられる場所(公園でも川べりでも)に行きましょう。花や木の芽の変化をみて、鳥や虫の声を聞いて、風や土のにおいを嗅いで、自分の足でたくさん歩き、気になるものや可愛いものに触れましょう(もちろん安全と清潔とマナーを確認して)。
そして一緒に、シンプルで美味しいものを食べて幸せな気分になりましょう。一緒に料理(できれば準備から片付けまで)もできたら最高です。
ちなみに、五感を使うこと、季節を感じることは、低年齢のお受験でも超役立ちますよ。
習慣9.ママが「今日感謝したこと」を自覚する
母子留学の場合は特に、ママのポジティブなマインドを育てることもとても大切。
ママは、楽しかったことよりも「感謝したこと」を口にするかメモに残すことをおすすめします。
感謝の気持ちは伝播します。そして感謝の気持ちを知っている子どもは幸せになりやすいです。留学生で見かける子で学業面で成功している子どもは、感謝の気持ちを持っていることが多いです。
子ども自身にも「ありがとう」をたくさん伝えましょう。
「今日いいこと何もなかった」と子どもが言った日に「ママはこれに感謝したよ」という話をするのもいいですよ。
習慣10.子どもをハグする/「大好き」と言葉で伝える
すでにやっているよ、という人はずっと続けてください。
起きた時、出かける前、電車やバスの待ち時間、バイバイするとき、お迎えのとき、可愛いなと思ったとき、何でもないとき、いつ何度やってもいいことです。
また、顔を見るたびに微笑みかけることもおすすめです。
音が出るくらい「にっこり」と微笑み合いましょう(我が家では、よく声に出して「にっこり」と言っています)。
「にっこりする」ことは最小限の動作でできるので、離れた場所にいる時、眠い時、病気の時でもできます。
わが家ではこの習慣があったことで、海外で高熱を出したときに「子どもを救急病院に担ぎ込むべきか、このまま休養を取らせるのがべストか」の判断基準にできて大変助かりました。
習慣11.夫婦の会話を楽しむ
教育移住を成功させているな、幸せそうであり、なおかつ子どもが高い学力や自己肯定感を得ている、と感じるご家庭の大きな共通点として、「家族間での信頼感情があること」があります。もっというと、親と子の間より「夫婦間」での信頼感情があることです。
子どもが生まれてしばらくの間は、ママの方が子育てに関わる分量が多くなり、夫婦間よりも「母と子」の絆が強くなる時期が誰しもあると思います。
しかし、「夫婦」が最小基本ユニットであることを再度思い出して、夫婦の会話を楽しみましょう。どうでもいいおしゃべりを日常的にかわしましょう。感謝を伝え、手助けを申し出ましょう。「お互いがお互いをサポートし合っている」と思える関係構築を心掛けることをおすすめします。
とはいえ。
長年夫婦をやっていると、相手のことを(決定的に)嫌になってしまうこともありますよね。そうした場合の対処法はまた改めて。
習慣12.「自分と違う」ものを「放っておく」訓練をする
日本にいると気付きづらいのですが、意外にみんな、必要以上におせっかいです。
人の手助けをしてあげるのはとてもいいことだし、人に親身になれるのは日本人の美徳だと思います。困っている人には手を差し伸べましょう。でも、その人が困ってもいないのに、「この人は間違っている」「非常識だ」と判断して、そのことに必要以上の関心を寄せるのはやめましょう。
端的にいうと、そのことを他人に吹聴したり、「正してあげよう」とアドバイスしたりするのをやめましょう。「放っておく」練習をしましょう。
違和感のあるものは、そのまま放っておく。距離をおく。これは、マレーシアなど多文化の中で共存するコツですし、日本のような単一文化の国にいてもその方が心地よくシンプルに暮らせるんじゃないかな、っと思います。
本質的な留学準備をしよう
こうしたことが、意外に本当の「留学準備」になるのではないでしょうか。
そうした「準備」ができていると、英語ができなくても乗り切れたり、上手くいかなくても希望を見出せたりします。
自分で考えて、成長を実感できるようになります。
自分の中の悔しい気持ちも、うれしい気持ちも、やりたい気持ちも、やりたくない気持ちですらパワーに変えることができるようになります。
何も「全開ポジティブ!」「明るく陽気な社交的キャラ!」でなくてもいいのです。ただ、自分を肯定的に捉えて、状況をニュートラルに捉えることができればいいのです。
自分の力を信じられて、家族や周囲の人が信頼に値する人たちだと感じられて、そこに安らぎがあれば、けっこう乗り越えることができるものなんですよね。
それには、否定されず「やりたい」と思ったことをやってきたかどうか、自分で考え決めた経験を重ねてきたか、そんなことがものをいうと思うのです。
ここに挙げた12の習慣はどれも一朝一夕ではないですが、留学しようとしまいと確実に子どもにとって役立ち、親子関係・家族関係をよくすることばかりなので、あてはまるもの部分的にでも参考にしていただけたらうれしいです。
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