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銭形平次捕物控39「赤い疵」(1935)+大川橋蔵・主演 第25話「ふたり平次」(1966)紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(五)金の鯉』嶋中書店, 2004, p.282-316


あらすじ

平次そっくりの強盗が江戸の町を荒らしまわり、誰もが平次を疑い始めた。
強盗は平次の縄張りを避けて仕事をしており、今までに調べを担当したのは万七など平次以外の岡っ引だった。
笹野から発破をかけられた平次は、縄張りなどと言っていられず調べに乗り出す。
平次は、桔梗屋の娘お藤が攫われた件に目を付け、周辺の人間関係を調べる事で解決への糸口をつかんでいく。


紹介と感想

平次とお静が結婚して1年が経つ頃に起きた事件になります。

平次が疑われるという面白い材料はあり、物語前半の話運びは良いのですが、尺の短さが災いしたのか物語は後半に少し尻すぼみになり、全体の内容はシリーズとして平均点でした。

清吉も容疑者の一人になったのがもう少し活かされると良かったのですが、そのおかげで万七の意外と常識的にものを考えられる場面が見られました。

ちなみに、物語を楽しむためにはあまり関係がありませんが、第5話「幽霊にされた女」と繋がりがある話なので、良ければ若い平次の活躍を描くこちらもどうぞ。

 別段、「俺は銭形平次――」と名乗るわけではありませんが、物腰から背格好、声の調子、ちょいとした癖まで、妙に平次に似ているのと、時々平次でなければならない事をするので、噂が次第に根強い疑いになり、遂には長い間に築き上げた平次の人気と名声も、これが動機で一ぺんに叩き潰されてしまいそうにさえ見えるのでした。

野村胡堂『銭形平次捕物控(五)金の鯉』嶋中書店, 2004, p.283

大川橋蔵・主演 第25話「ふたり平次」(1966)

原作から削る所は削り、ドラマ映えしそうな所は膨らませる事でより面白くしています。

捜査物のサスペンスとしても最後まで緊張感があり、初期ならではの意地悪度強めな万七や清吉も良い味だしてました。

特に、隣に越してきた按摩が怪しいと睨んだ平次が、お静や八五郎と協力して行った夫婦喧嘩の芝居と、専助との銭の投げ合い対決が好きです。

この銭の投げ合い対決があることで、いつもと違う捕物が楽しめる、初期の傑作エピソードだと思います。

ゲスト
山崎屋専助/中山昭二
中山半七郞/南利明
   お滝 /佐藤綾子
  専左衛門/海江田譲二

大川橋蔵版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

銭形平次/大川橋蔵

  八五郎/佐々十郎
   お静/八千草薫

三輪の万七/藤尾 純
   清吉/池 信一

   お弓/鈴村由美


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