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マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ4『船上の殺人』(1964)紹介と感想


あらすじ

青少年更生センター理事会で委員を務めていた叔父が亡くなったため、代わりの委員に選ばれたマープル。この理事会は、マープルの祖父が創立したものだ。
その理事会で、委員の一人のフォーリーが亡くなった。マープルは、フォーリーの嗅ぎ煙草が、事件後に空になっているのに気づく。
警察に伝えてもいつも通り本気で相手にしてもらえないマープルは、ストリンガーの協力を得ながら自分で化学実験を行う。
紙の上に落ちていた嗅ぎ煙草からストリキニーネが検出されたことから、殺人であると判断したマープル。
フォーリーが理事会の直前まで、理事会所有の船〈バトルドア号〉に乗船していたことから、船の上に秘密があると考えたマープルは乗船を決意する。
ストリンガーを陸上に待機させ、一人で船へ乗り込むマープル。
船の上には、マープルの滞在を歓迎しない大佐を始め、一癖も二癖もある人物が乗船していた。
新たな殺人が起こる中、マープルは命を懸けて事件解決に挑む。

紹介と感想

原作のないオリジナル脚本のため、なんでもありです。
しかし、現代でこの作品まで観ている人は、もはやミス・マープルらしい物語を観るつもりで観てないと思うので、特に問題はなく楽しめると思います。

船と陸、物理的に距離は離れてもストリンガーとのコンビは健在です。もちろん、警部になってもマープルの慧眼を信じる事ができないクラドックも健在です。しかし、マープルには本部長の後ろ盾がありました。

物語開始早々、いきなりマープルの祖父と叔父の存在が明かされますが、もちろん原作にはいません。肖像画がなんかかわいい二人です。
その後も、マープルがホームズ顔負けの化学実験を行ったりと、新たな魅力を見せてくれます。

ストリンガーも夜間に尾行を行ったり、船上のマープルへ手漕ぎボートで報告に来るなど最初から最後まで大活躍です。
クラドックも船上でマープルらしき後姿を見てしまい、我が目を疑った時のキョトンとした表情がかわいかったですね。

ラムストーン大佐がずっと殺人以外の事に気を取られてマープルを疫病神扱いしたり、クランプトン医師が検視後は毎回お産のために慌ただしく出ていくなど、古典的なお笑い要素も映画の雰囲気に合っていて微笑ましいところです。

事件は、青少年更生の為の船上で行われていた汚職に関係がありました。
最後は、マープルが得意の剣裁きで犯人と対決します。
若者更生のための船で展開されるドラマですが、恋も犯罪も最後まで若者の出る幕はありませんでした。

ミステリーとしては、特にクリスティー的でもなく、これといった特徴はありませんが、最後まで楽しく観ることができる作品でした。

「横領と3件の殺人に関連性がないわ。
 ❝急いては事を仕損ずる❞ 犯人をおびき寄せるの」

理事会からの横領が発覚して、すぐに逮捕に動き出そうとするクラドックへマープルがかけた言葉

「あなたの思いどおりにはさせないわ。
 私は1931年の国内女性チャンピオンよ」

剣を交えながらマープルが犯人にかける言葉

映画概要

ミス・マープル/船上の殺人 Murder Ahoy(1964)

原案:アガサ・クリスティー ミス・マープルシリーズ
監督:ジョージ・ポロック
脚本:デービッド・パーサル/ジャック・セドン
時間:92分

  ジェーン・マープル/マーガレット・ラザフォード
 ジム・ストリンガー氏/ストリンガー・デイヴィス
    クラドック警部/チャールズ・ティングウェル

   ラムストーン大佐/ライオネル・ジェフリーズ
    コニントン中佐/ウィリアム・マービン
ファンブレイド一等婦長/ジョーン・ベンハム
     クランプ医師/ニコラス・パーソンズ
   フォークナー司教/マイルズ・マレソン


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