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鬼平犯科帳SEASON1「血頭の丹兵衛」(2024)

「でくの十蔵」の後始末も描く「血頭の丹兵衛」を鑑賞しました。


あらすじ

江戸の市中で残忍な盗みが行われており、現場には「血頭の丹兵衛」と書かれた木札が残されていた。
先日の事件で捕縛した盗賊・小房の粂八は、かつて血頭の丹兵衛の一味だった。
しかし、"殺さず、女を犯さず、貧しき者から盗まず"という三ケ条を掟とする本格派の盗賊だった丹兵衛により、盗みの場で女に手を出そうとしたことを理由に破門になった過去をもっていた。
いま暴れ回っている丹兵衛は偽物だと訴える粂八は、平蔵へ願い出て密偵となり島田宿で探索を行う。
その頃、江戸では本物の丹兵衛の仕事と思われる盗みが行われた。
果たして、粂八はどんな真実を見つけるのか……。


紹介と感想

筋立ては比較的シンプルな話の中で、小房の粂八の掘下げとともに、血頭の丹兵衛を通じて本格派の盗賊について描かれました。
個人的には、今シーズンで視聴した3話の中で一番好みの物語でした。

SEASON1の他の話と同様に、大筋は原作通りながら、平蔵と粂八の絡みの増加などによりドラマ的に盛り上がる形に変更されている今作ですが、その変更は個人的にも良かったと思っています。


「盗賊の子などいない」という平蔵の言葉に感心する粂八も、貧しく過酷な環境の中で盗賊へと身をやつすことになりました。
そんな粂八が、畜生働きをする一味に身をやつしても忘れられない存在だった血頭の丹兵衛。

しかし、粂八が再会した丹兵衛は、盗賊としての誇りを失っていました。
あまりのショックに酔いつぶれてしまい、差し違える覚悟で乗り込んでいった粂八。

「粂八、ここに居たのは間違いなく本物だったか?」
「いえ、偽物です。偽物ですとも……」

この平蔵の問いの時点では、まだ真の受け入れまでは出来ていなかった粂八。
しかし、江戸への帰り道で蓑火の喜之助や平蔵と話したことで、個人を神格化することなく、大切なのは真の心のありようであることに気づいたのだと思います。

また、波岡さん演じる小川や梅吉は、出番は少ないながらもしっかり悪くて素晴らしかった。
平蔵が十蔵の敵と梅吉を討ち取った場面は泣きそうになりました。


鰻が美味しそうなのと波岡さんの良い人ぶりが印象に残るアフタートークも楽しかったです。

既に撮影が終わっているというSEASON2も、放送を楽しみに待ちたいと思います。
その前に、まだ観れてない劇場版をしっかり鑑賞しないとです。


ドラマ概要

原作:池波正太郎「血頭の丹兵衛」
脚本:大森寿美男
監督:山下智彦
製作:松竹
時間:54分

ゲスト
血頭の丹兵衛/古田新太
 
小房の粂八/和田聰宏
 小川や梅吉/波岡一喜
蓑火の喜之助/橋爪功

レギュラーキャスト

 長谷川平蔵/松本幸四郎

  佐嶋忠介/本宮泰風
  木村忠吾/浅利陽介
  酒井祐助/山田純大
 沢田小平次/久保田悠来

    久栄/仙道敦子
   おまさ/中村ゆり
 相模の彦十/火野正平
   三次郎/松本ヒロ
   おたね/中島多羅

    語り/堀内賢雄

SEASON1(2024) エピソードリスト
 01.本所・桜屋敷
 02.血闘【劇場版】
 03.でくの十蔵
 04.血頭の丹兵衛


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