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アガサクリスティーについて

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#アガサ・クリスティー・アワー

アガサ・クリスティー『パーカー・パインの事件簿』紹介と再読感想

アガサ・クリスティ 山田順子訳『パーカー・パインの事件簿【新訳版】』東京創元社, 2021 アガサ・クリスティー・アワーを再見したため、シリーズ内でドラマ化されたパーカー・パインも再読しました。 また、パーカー・パインは個別短編集の他に2編の短編があり、早川書房では『パーカー・パイン登場』と『黄色いアイリス』に分かれて収録されています。 東京創元社の『パーカー・パインの事件簿【新訳版】』では、この別に収録されていた2編も合わせて1冊に納めておりクリスティーによる前書きもあ

クリスティー短編の魅力を伝える良作『アガサ・クリスティー・アワー』(1982)ドラマ概要+「仄暗い鏡の中に」「車中の娘」 紹介と感想

クリスティーのノンシリーズ短編8話とパーカー・パインから2話をドラマ化したドラマシリーズになります。 どの話も大筋は原作に沿いながら、ドラマとしてのアレンジが上手く面白い話が揃っています。 純粋な謎解きストーリーは無く、サスペンスからホラー、ロマンスを扱った作品が多いのが、他のクリスティー映像化とは違う特徴になります。 また、描かれる時代は、全て執筆当時の1920~30年台です。 ポワロやマープルがいなく、有名作品ではない中でも、しっかり受け入れられ高視聴率を得ていたよう

『アガサ・クリスティー・アワー』(1982) 「第四の男」「マグノリアの香り」 紹介と感想

第4話「第四の男」The Fourth Man 原作:アガサ・クリスティー「第四の男」(1925)    早川書房『死の猟犬』所収 脚本:ウィリアム・コーレット 演出:マイクル・シンプソン あらすじ エジンバラ行の夜行列車のコンパートメントの中に、医者のクラーク、弁護士のデュラン、宗教関係のパーフィットに、もう一人の男と4人が乗っていた。 クラークは、デュランとパーフィットに自身の公演のテーマである二重人格について話していた。 すると、四人目の男・新聞記者であるラウルが

『アガサ・クリスティー・アワー』(1982) 「青い壺の秘密」「赤信号」 紹介と感想

第7話「青い壺の秘密」The Mystery of the Blue Jar 原作:アガサ・クリスティー「青い壺の謎」(1924)    早川書房『死の猟犬』所収 脚本:T.R.ボウエン 演出:シリル・コーク あらすじ ジャックは弁護士の試験勉強をしながらゴルフの練習もするためにホテルに投宿していた。 ある日の早朝、一人でホールを回っていたジャックは、女性の声で「人殺し!助けて!」という叫び声を聞いた。 近くの家に駆けつけると、若い女性が立っていたが、叫び声など聞いてい

『アガサ・クリスティー・アワー』(1982) 「ジェインの求職」「エドワード・ロビンソンは男なのだ」 紹介と感想

第9話「ジェインの求職」Jane in Search of a Job 原作:アガサ・クリスティー「ジェインの求職」(1924)    早川書房『リスタデール卿の謎』所収 脚本:ジェラルド・サヴォリー 演出:クリストファー・ホドソン あらすじ 仕事が見つからず家賃も払えないジェイン。 同じ建物に住むゲストから、タイムズの求人欄にジェインと同じような見た目・年頃でフランス語が堪能の女性を求める求人を紹介される。 試しに面接を受けてみると、多くの合格者を押しのけて見事合格し