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アガサクリスティーについて

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#映画感想文

アガサ・クリスティー「ナイチンゲール荘」原作・戯曲・映画 比較感想

ネタバレ全開で記載しています。 原作「ナイチンゲール荘(うぐいす荘) Philomel Cottage」 1924年のグランドマガジン11月号で発表。1934年出版の『リスタデール卿の謎』に収録。 主人公はアリクス・マーティン。殺人者はジェラルド・マーティン。元カレはディック・ウィンディフード。 アリクスとジェラルドが出会ったきっかけは友人の家の集まり。現在のコテージの様子以外はすべてアリクスの回想で語られる。 アリクスの緊張状態での心理描写や、後の戯曲では削られたジェ

ケネス・ブラナー主演 エルキュール・ポアロ 第3作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(2023)感想

公開時に映画館で観て、ケネス・ブラナーが製作したポアロシリーズでは一番楽しめた第3作目。今回ブルーレイを購入して再見したので、簡単に感想を残しておきます。 あらすじ 1947年のヴェネツィア。引退したエルキュール・ポアロは悠々自適な生活を送っていたが、旧友オリヴァ夫人の来訪により、謎の渦中に巻き込まれていく。 ポアロはオリヴァ夫人の話に乗り、ロウィーナ・ドレイクの屋敷で行われるハロウィン・パーティ後に行われる降霊会に出席し、霊媒師のトリックを見破ることになる。ロウィーナの

マーガレット・ラザフォード主演 ミス・マープルシリーズ(1961~1964)作品紹介

マーガレット・ラザフォードがミス・マープルを演じたシリーズは全部で4本あります。 夜行特急の殺人(1961) 原作:『パディントン発4時50分』(1957) 寄宿舎の殺人(1963) 原作:『葬儀を終えて』(1953) 最も卑劣な殺人(1964) 原作:『マギンティ夫人は死んだ』(1952) 船上の殺人(1964) 原作:映画オリジナル作品 概要テーマ曲も爽快な楽しいコメディミステリーシリーズになります。 原作のマープルも活動的な面がありますが、その比じゃないくらい活動

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ1『夜行特急の殺人』(1961)紹介と感想

あらすじ パディントン発4時50分の列車に乗ったマープルは、別の路線を走っている列車とすれ違う際に、女性が首を絞められているの目撃する。 すぐに車掌や警察に訴えるが、誰にも信用してもらえないマープルは、旧知の司書・ストリンガーと一緒に調査を開始する。 列車の走行ルートにあたる線路沿いの情報を丹念に調べたマープルは、アカンソープ邸に目を付ける。 職業斡旋所へ行き、メイドとして屋敷へ潜入することにしたマープルは、気難しいアカンソープ氏と丁々発止のやり取りを繰り広げながら、調査

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ2『寄宿舎の殺人』(1963)紹介と感想

あらすじ 募金活動で家々を回っているマープルとストリンガー。 二人は偏屈で有名な金持ち・エンダビーの家を訪れると、当主のエンダビーが階段から転げ落ちる現場を目撃する。 エンダビー氏は亡くなり、側には土の塊が落ちていた。屋敷の奥から物音がするためマープルが確認へ行くと、エンダビー氏が死ぬほど嫌いな猫が飛び出してくる。 マープルは早速クラドック警部補へ相談へ行くが、真剣に取り合ってもらえない。 泥の塊はあぶみがねの跡だと検討をつけたマープルは、泥の塊と同じ形の石膏の塊を作り、

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ3『最も卑劣な殺人』(1964)紹介と感想

あらすじ マギンティ夫人が首を吊っている現場で現行犯逮捕された男ハロルド・テイラー。 その裁判で陪審員を務めていたマープルは、マギンティ夫人が死の当夜、胸にバラの花を挿していたことから、誰か別の人物を待っていたのではないかと疑問に思い、ハロルドが無罪である可能性を考える。 マープルはストリンガーと共に独自に調査を始め、遺品の中から所々が切り取られた新聞紙を発見する。新聞紙の文字を組み合わせると、「バラの名を変えてもバラ」という文章になり、マギンティ夫人の家の連絡先も記載さ

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ4『船上の殺人』(1964)紹介と感想

あらすじ 青少年更生センター理事会で委員を務めていた叔父が亡くなったため、代わりの委員に選ばれたマープル。この理事会は、マープルの祖父が創立したものだ。 その理事会で、委員の一人のフォーリーが亡くなった。マープルは、フォーリーの嗅ぎ煙草が、事件後に空になっているのに気づく。 警察に伝えてもいつも通り本気で相手にしてもらえないマープルは、ストリンガーの協力を得ながら自分で化学実験を行う。 紙の上に落ちていた嗅ぎ煙草からストリキニーネが検出されたことから、殺人であると判断した