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アガサクリスティーについて

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#ポワロ

ポワロ長編7『エッジウェア卿の死』Lord Edgware Dies(1933)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 福島正実 訳『エッジウェア卿の死』早川書房, 1979 今年放送された『アリバイ崩し承ります』のSPドラマで取り上げられたことも記憶に新しい本書を再読しました。かなり久しぶりのポワロ(早川書房ではポアロ表記)長編再読です。 本書の再読は、ドラマではたまに再見していましたが、20年ぶり位かもしれない。 あらすじ ポアロは、新進気鋭の女優カーロッタ・アダムズの寸劇を観に行った夜に、大人気女優ジェーン・ウイルキンスンから夫と離婚するのに協力して欲しいと依

アガサ・クリスティー『エッジウェア卿の死』映像化作品 紹介と感想

ネタ的に説得力を持って映像で表現するのが難しい所がありながら、女優がメインキャラクターとしていることに惹かれるのか映像化の多い本作。 最近、オースティン・トレバー版も観れたので、ここで感想を残しておきます。 原作の映像化として今から観るのにオススメなのは、スーシェ版とユスティノフ版。戦前のミステリー映画に抵抗が無ければトレバー版も意外と楽しめると思います。 フランスドラマ版は原作ドラマとしては微妙なため、シリーズファン向けというところです。 オースティン・トレヴァー主演 

ポワロ長編27『死者のあやまち』Dead Man's Folly(1956)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 田村隆一訳『死者のあやまち』早川書房, 1983 アガサ・クリスティー 羽田詩津子訳『ポアロとグリーンショアの阿房宮』早川書房, 2015 クリスティーが夏の休暇を過ごしたダート川のほとりにあるグリーンウェイをモデルに描かれた長編になります。 また、最初は中編として描かれながら、長編に書き改められて刊行された経緯を持つ小説でもあります。 『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が刊行された時以来の再読となります。 あらすじ オリヴァ夫人にナスコームのナス

ケネス・ブラナー主演 エルキュール・ポアロ 第3作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(2023)感想

公開時に映画館で観て、ケネス・ブラナーが製作したポアロシリーズでは一番楽しめた第3作目。今回ブルーレイを購入して再見したので、簡単に感想を残しておきます。 あらすじ 1947年のヴェネツィア。引退したエルキュール・ポアロは悠々自適な生活を送っていたが、旧友オリヴァ夫人の来訪により、謎の渦中に巻き込まれていく。 ポアロはオリヴァ夫人の話に乗り、ロウィーナ・ドレイクの屋敷で行われるハロウィン・パーティ後に行われる降霊会に出席し、霊媒師のトリックを見破ることになる。ロウィーナの

名探偵 赤富士鷹(2005/全2話/各89分)

第一夜「ABC殺人事件」 原作:『ABC殺人事件』(1936) 第二夜「愛しのサンドリヨン」 原作:『ゴルフ場殺人事件』(1923) ドラマ概要 2005年12月29日と30日に放送された、アガサ・クリスティーのポワロシリーズを昭和十一年の日本を舞台に描いたスペシャルドラマです。 ラジオをキーアイテムとして、丁寧に活写される戦前の昭和という舞台で、アガサ・クリスティーの物語を楽しめます。 感想 本放送の時に最高に楽しみ、その後も録画を何度も観ているドラマです。 その後