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アガサクリスティーについて

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アガサ・クリスティー関係の記事をまとめています
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2024年4月の記事一覧

アガサ・クリスティー『殺人は容易だ』ドラマ作品 紹介と感想

『殺人は容易だ』Murder Is Easy(1982/米) ワーナーが80年代に製作していたクリスティー原作テレビ映画シリーズの1本です。 時代は製作当時の80年代になっており、舞台はイギリスの村ですが、ルークはアメリカ人でコンピューターの専門家になっています。 ルークを事件に呼び込むことになるフラトン(原作のピンカートン)には、同じくワーナー製作版『カリブ海の秘密』『魔術の殺人』でミス・マープルを演じるヘレン・ヘイズが出演しています。 他にも、オリヴィア・デ・ハヴィ

アガサ・クリスティー『招かれざる客』The Unexpected Guest(1958)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 深町眞理子訳『招かれざる客』早川書房, 2011(電子書籍) あらすじ 霧の濃いある晩。サウス・ウェールズにあるウォリック家のリチャードの書斎に、スタークウェッダーという男が訪ねてきた。 車が溝にはまってしまったため助けを求めに来たスタークウェッダーは、車イスの上で死んでいるリチャードを発見した。 書斎の中にはもう一人、リチャードの妻・ローラが銃を手に持ち茫然と立っていた。 彼女は、スタークウェッダーの質問に答える形で自分が殺した事を認めた。 スター

アガサ・クリスティー『終りなき夜に生れつく』Endless Night(1967)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 矢沢聖子訳『終りなき夜に生れつく』早川書房, 2012 (電子書籍) 昔から大好きな作品の一つであり、時折再読したくなります。この作品もBBCミニドラマシリーズの計画が発表された時から映像化されないかなぁと思っています。 あらすじ マイクは、様々な職を転々としながら生活をしている青年だった。 彼は、ある時出会った〈ジプシーが丘〉に一目惚れし、友人である天才建築家・サントニックスが設計した家を建てたかった。 ある日、マイクは〈ジプシーが丘〉でエリーと

アガサ・クリスティー『娘は娘』A Daughter's a Daughter(1952)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 中村妙子訳『娘は娘』早川書房, 1973 メアリ・ウェストマコット名義の第5作目にあたる作品になります。好きな長篇ですがしばらく再読していなかったので、久しぶりに読みました。 あらすじ アンとセアラの母娘は、お互いを大切に思いながら暮らしていた。 ある時、セアラが3週間のスキー旅行へ出掛けた際に、アンはリチャードと出会い恋をした。 2人は幸せな時を過ごし結婚を考えるようになったが、セアラが帰ってきたことで全ては変わってしまった。 セアラとリチャード