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アガサクリスティーについて

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2024年1月の記事一覧

アガサ・クリスティー「ナイチンゲール荘」原作・戯曲・映画 比較感想

ネタバレ全開で記載しています。 原作「ナイチンゲール荘(うぐいす荘) Philomel Cottage」 1924年のグランドマガジン11月号で発表。1934年出版の『リスタデール卿の謎』に収録。 主人公はアリクス・マーティン。殺人者はジェラルド・マーティン。元カレはディック・ウィンディフード。 アリクスとジェラルドが出会ったきっかけは友人の家の集まり。現在のコテージの様子以外はすべてアリクスの回想で語られる。 アリクスの緊張状態での心理描写や、後の戯曲では削られたジェ

アガサ・クリスティー「事故」原作・戯曲 紹介と感想

「ナイチンゲール荘」の記事を書いてから、同じく『リスタデール卿の謎』に収録されている「事故」も他者の手による戯曲があったと思い出し、久しぶりに読み、情報を一つにまとめようと思い立ちました。 ネタバレ全開で記載しています。 原作「事故 Accident」 1929年にイギリスの新聞Sunday Despatchへ掲載後、1934年出版の『リスタデール卿の謎』に収録。 登場人物も少なく、ページ数的にもショートショート的なサスペンスです。現代の眼で見れば良くある話といえますが

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ2『寄宿舎の殺人』(1963)紹介と感想

あらすじ 募金活動で家々を回っているマープルとストリンガー。 二人は偏屈で有名な金持ち・エンダビーの家を訪れると、当主のエンダビーが階段から転げ落ちる現場を目撃する。 エンダビー氏は亡くなり、側には土の塊が落ちていた。屋敷の奥から物音がするためマープルが確認へ行くと、エンダビー氏が死ぬほど嫌いな猫が飛び出してくる。 マープルは早速クラドック警部補へ相談へ行くが、真剣に取り合ってもらえない。 泥の塊はあぶみがねの跡だと検討をつけたマープルは、泥の塊と同じ形の石膏の塊を作り、

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ3『最も卑劣な殺人』(1964)紹介と感想

あらすじ マギンティ夫人が首を吊っている現場で現行犯逮捕された男ハロルド・テイラー。 その裁判で陪審員を務めていたマープルは、マギンティ夫人が死の当夜、胸にバラの花を挿していたことから、誰か別の人物を待っていたのではないかと疑問に思い、ハロルドが無罪である可能性を考える。 マープルはストリンガーと共に独自に調査を始め、遺品の中から所々が切り取られた新聞紙を発見する。新聞紙の文字を組み合わせると、「バラの名を変えてもバラ」という文章になり、マギンティ夫人の家の連絡先も記載さ