マガジンのカバー画像

アガサクリスティーについて

32
アガサ・クリスティー関係の記事をまとめています
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

アガサ・クリスティー『ベツレヘムの星 Star Over Bethlehem』(1965)紹介と感想

アガサ・クリスティー/中村能三 訳『ベツレヘムの星』早川書房, 2003 概要1965年にアガサ・クリスティー・マローワン名義で出版された本で、5本の詩と6本の短編から成っています。 聖書の理解が試される場面も多いですが、短編は単独で理解が不可能と言うものではなく、知識が無くても楽しむことができると思います(「島」は少し難しいかもしれません)。 収録作と短編あらすじごあいさつ(詩) ベツレヘムの星(短編) クリスマスの花束(詩) いたずらロバ(短編) 黄金、乳香、没薬(詩

アガサ・クリスティー『ベツレヘムの星 Star Over Bethlehem』(1965)作中で注釈がついている聖書内容の引用・要約

アガサ・クリスティー/中村能三 訳『ベツレヘムの星』早川書房, 2003 『ベツレヘムの星』の感想を読んでいると、「聖書の知識が無いから100%楽しめない」「理解が難しい」と聞くことがあります。 個人的には、知識が無くても、キリスト教を題材にした様々なジャンルの短編集として楽しめる短編集だと思います。 ただ、小説の題材となった内容を知っておくと理解がしやすいのは間違いないと思うので、本書で取り上げられている場面について、自分用に調べた事をnoteにも載せておきます。 筆

名探偵 赤富士鷹(2005/全2話/各89分)

第一夜「ABC殺人事件」 原作:『ABC殺人事件』(1936) 第二夜「愛しのサンドリヨン」 原作:『ゴルフ場殺人事件』(1923) ドラマ概要 2005年12月29日と30日に放送された、アガサ・クリスティーのポワロシリーズを昭和十一年の日本を舞台に描いたスペシャルドラマです。 ラジオをキーアイテムとして、丁寧に活写される戦前の昭和という舞台で、アガサ・クリスティーの物語を楽しめます。 感想 本放送の時に最高に楽しみ、その後も録画を何度も観ているドラマです。 その後

マーガレット・ラザフォード主演 ミス・マープルシリーズ(1961~1964)作品紹介

マーガレット・ラザフォードがミス・マープルを演じたシリーズは全部で4本あります。 夜行特急の殺人(1961) 原作:『パディントン発4時50分』(1957) 寄宿舎の殺人(1963) 原作:『葬儀を終えて』(1953) 最も卑劣な殺人(1964) 原作:『マギンティ夫人は死んだ』(1952) 船上の殺人(1964) 原作:映画オリジナル作品 概要テーマ曲も爽快な楽しいコメディミステリーシリーズになります。 原作のマープルも活動的な面がありますが、その比じゃないくらい活動

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ1『夜行特急の殺人』(1961)紹介と感想

あらすじ パディントン発4時50分の列車に乗ったマープルは、別の路線を走っている列車とすれ違う際に、女性が首を絞められているの目撃する。 すぐに車掌や警察に訴えるが、誰にも信用してもらえないマープルは、旧知の司書・ストリンガーと一緒に調査を開始する。 列車の走行ルートにあたる線路沿いの情報を丹念に調べたマープルは、アカンソープ邸に目を付ける。 職業斡旋所へ行き、メイドとして屋敷へ潜入することにしたマープルは、気難しいアカンソープ氏と丁々発止のやり取りを繰り広げながら、調査

ルーシー・ワースリー/大友香奈子 訳『アガサ・クリスティー とらえどころのないミステリの女王』(2022)紹介・感想

ルーシー・ワースリー/大友香奈子 訳『アガサ・クリスティー とらえどころのないミステリの女王』原書房, 2023 概要 歴史家である著者が、クリスティーの作品や自伝、クリスティーや関係者の手紙、更に今までクリスティーについて語られた多くの資料を用いて、現代の視点から、アガサ・クリスティーとその生きていた時代を浮かび上がらせようとした伝記です。 最近は英国でもクリスティーの研究が少しずつ盛んになっているようですが、今までは、その業績や人気にも関わず小説界でも演劇界でも過小