オタクはファンだが、オタクではないファンの人もいる

これまで僕のnoteではオタク、特にアイドルオタクについて色々書いてきたが、そもそもオタクとファンって何が違うのか?今回は自分の中のオタクとファンについて書いてみようと思う。今回はいつも以上に個人の偏見に基づくものになります。

アイドルに限らず、オタクというのはファンの中の一部の人のことを指す言葉だと思う。しかし、そもそも「オタク」という言葉自体の定義が曖昧で不定の概念なので、今回の記事の中での「オタク」についての定義からはじめる。

今回この記事の中では、以下の定義とする。

【定義1】

「オタク」=「特定のコンテンツに一定水準以上の時間や金銭を費やす人」

「ファン」=「特定のコンテンツに好意的な印象を持っている人」

ちょっと分かりにくい人向けにアイドルオタクを乱暴に置き換えるなら以下の様になる。

【定義2】

「ファン」=「アイドルのSNSのフォロワー」

「オタク」=「実際にアイドルのライブを見に行き特典会に足を運ぶ人」

この乱暴な置き換えをすると、「ライブを見てる人が特典会に足を運ばない人」とか、「音源やグッズを購入してるが直に会いに行ってない人」はオタクではないという定義になるので、「ファン」にカテゴライズされるとこになるのはご了承いただきたい。


次にアイドルオタク、アイドルのファンと言っても、アイドルにもカテゴリーが有るので前提を共有したい。大きく分けると以下のカテゴリーとなると思う。ここも人によって認識が違うと思うので、あくまでこの記事の中での定義です。

①地上→坂道、48、ハロプロなどの一般人にも認知されてるレベルは天空とも言われるが、メジャーレーベルからデビューしてて、ZEPP以上のの規模でツアー出来るレベル

②地下→アイドル甲子園等の新木場STUDIOCOASTレベルの会場の大型対バン、TIFや@JAM等のアイドルフェスに出演出来るレベル

③地底→地下のオタクの中でもなかなか認知されない小規模のライブハウスでしかライブを出来ないレベル。

この記事を読んでる皆さんの多くは僕と近いレイヤーだと思うので、この定義における「地下」アイドルのことを見てる人だと思う。地下アイドルも沢山居るので、グループによってはオタクだったりファンだったりすると思う。

ファンとオタクの比率は「地上」「地下」「地底」で異なり、「地底」だと、「ファンの数」≒「オタクの数」だが、「地下」だと「ファンの数」>「オタクの数」となり、「地上」だと「ファンの数」≫「オタクの数」となると思われる。

多くの場合、認知する→ファンになる→オタクになる、という流れを経ると思うが、地底と地上では認知される母数が違う上に、アイドルとオタクの距離間が違うのでファンとオタクの比率が変わる。地底寄りの方がアイドルとオタクの距離間が近いのでファンからオタクになりやすいと思われる。その為ファンとオタクの差がそれ程無いが、地上(天空)へ行けば行く程ファンで留まりオタクになりにくいのだと思う。


ファンとオタクについて、冒頭の定義としてはザックリと行動して課金してるか?みたいな違い、行動として投資した時間とお金をかけているかで見たが、その結果、心理的にも違いが発生する。

心理学的には、いったん行動を開始すると、今まで投資した時間とお金が無駄になってしまうと感じ、現状維持しようとする意識が働くらしい。

ここから先は完全に個人的な見解だけど、現状維持しようとすると、お客さんとして外からイベントに参加する側じゃなくて、アイドルと一緒にイベントを作る側・守ろうとする側になるんだと思う。

その結果、悪い方に振れると自称Pの説教おじさん、物申しおじさんみたいになったり、行き過ぎた自治厨になる。良い方に振れると、現場を円滑にする良いオタクになったりする。

良い方、悪い方、どちらにしても、参加意識はとても高いと言う共通点がある。参加意識が高いということは責任感を持って行動し、参加意識が低いと無責任になる。また、参加意識が高いと、参加意識の低い人の行動が目に付く。自分が主導してヤル気あるときに周りのヤル気が無いとイラッとするみたいなことが発生する。この辺の温度差がオタクとファンの間の1番の違いだと思う。

もちろん、ファンというレベルで無責任に楽しむことは悪いことじゃないし、ファンからオタクへレベルアップすることも多々ある。だから、オタクの数が増えることが売れるということだと思うし、ファン層を広げることがオタクの数を増やすことには繋がると思うので、売れるということはファンを増やしていくことでもあると思う。

冒頭の規模感の通り、地下より地底に行けば行く程ファンとオタクの数は差が無く、オタクのみで構成されているに等しい。結果的に、オタクが多数派であるため、オタクの行動が正当性を得ることが多い。だが、地下から地上へ行けば行く程オタクも多くなるがファンが増えてくる為、オタクは多数派では無くなってくるので、オタクの行動が一部の過激派みたいな扱いになることもある。

この辺はアイドル運営が上手いこと見定めているかみたいなことにも影響を受ける。オタク(濃い人達)を大事にする施策をとるか、ファン(ゆるーい人達)を大事にする施策をとるか。地底から地下へ上がってくる過程でファンが増えてきた頃に運営がファン向けの施策を打って裾野を拡げるか、オタク向けの施策を打って今までの人達を離さない様にするか。

オタクにとって居心地いいのは後者だが、グループが売れて大きくなっていくにはファンの裾野を拡げることが大事だから前者のときにどんな行動をとるかというのは人間性やグループとの関係性が試されてると思う。

こういう時、オタクは苦言を呈しがち。とても言いたくなるが言ってもどうしようもないことを言いがち。全肯定である必要は無いと思うが、言ってもしょうがないことは言わなくてもいいんじゃない?とは思う。無関心を貫くのもひとつの在り方だと思う。


Twitterではアイドルも運営もオタクも、「オタク」という言葉を本記事の定義上の「オタク」≒「ファン」で使ってることが多く、そこをまとめているからもめることが多いと思う。

アイドルや運営が発するこのメッセージは、どこの層へ向けているのか、そこを汲み取るだけで受け取り方も変わるし、余計なことを言うことは減ると思う。


さて、一旦あるコンテンツのオタクとなった人は、その後どうなるのか?オタクであるときにコンテンツが終了(アイドルグループの解散やゲームの更新終了など)した場合、オタクとして終えるだろう。だが、コンテンツが終了するよりも前にオタクとしての熱意が下がった場合、コンテンツから離れ他界する人、コンテンツのファンとして見守る人の両方有り得るだろう。

オタクをやめるときに、完全に離れオタ卒できる人と、ファンという緩い距離感にいる人どちらがいいか?みたいなものは無い。多分、恋人と別れた時に元恋人と一切関わらないか、友達として…みたいな感じで哲学的な議論できるレベルの難題だと思う。だが、どちらも存在する。


まとめると、ファンはオタクよりも幅広い層を抱えている。オタクとは違う。だからオタクとファンの違いを認識した方がすれ違いの摩擦は回避できるし、互いに合わせることもできる。話すときに自分は土の立場で、他の人はどの立場で発現してるのかを認知できればよい。ファンが偉いわけでもオタクが偉いわけでもない。両方いないとコンテンツは盛り上がらない。

あなたの好きなコンテンツがオタクもファンも楽しめるもので、永く楽しめるものでありますように。



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