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2023年に読んだ本ベスト3と岡本太郎さんの本の話

常々読書を趣味としていて、
常時10数冊を積読状態で抱えています。

端から同時進行で
何冊も読んでいることもしばしば。

小説から、友人に教えてもらった
ビジネス書まで分野はいろいろです。

だいたい年間100冊以上は読んでいて、
今年もそのくらいになりそうです。

本好きの担当様と、仕事の話と同量位の熱量で
本の話を交わしたりもします。

先日、やりとりの中で
2023年のベストブックは?
という話題になりました。

今年読んだ私のベストブックは3冊。
・「自分の中に毒を持て」岡本太郎著
・「具体と抽象」細谷功著
・「凍りのくじら」辻村深月著
の3冊です。

その中でも特に衝撃を受けたのが、

岡本太郎氏の「自分の中に毒を持て」でした。
1993年に発売され、ロングセラーとして
読み継がれているそうです。

岡本さんの本を手に取ったのは初めてでした。

「自分の中に毒を持て」


正直に言って、ものすごい衝撃を受けました。

30年も前に発売されたものですが、
リアルに、今を生きる自分に
衝撃を与えるものでした。

"人間にとっての成功とはなんだろうか。
自分の夢に向かってどれだけ挑んだか、
努力したか、ではないか"
と問うていました。

それだけならそれほどの衝撃は
受けなかっただろうと思います。


今日の社会では、
誰もがそのシステムの中で
安全な枠から出ようとしないと。
自分を大事にしようとしすぎるから、
逆に生きがいを失うのだと。

だからあえて危険な道を選ぶ、と
決意して生きるのだ、
そのマイナスな方にかけることによって
自分の命が燃える、生きがいを感じられると。

なんてすごい発想なのだろう、と愕然と、、
呆然としてしまいました。


本を読んだ限りでは、
岡本さんは一貫した
とても強い意志の持ち主ですが、
決してそれを人に押し付けたり
ということではなく、
極めて理知的な人物であることが
わかります。

生涯、ただ自分自身と
向き合い、闘い続けた人だったのだと。

自分を大切に、ということが
声高に叫ばれています。
私もそれが大事だと思って生きてきました。

でもこの本を読んで、
ただ自分を安心で安全な場所に
飼い慣らしているのではないだろうか、
という視点に初めて立ちました。

何かやらないことは、
自分の身を守るため。
失敗したら怖いから。
安全なところにいたいから。
傷つきたくないから。

そうではなかったかと。

現代の日本人は大抵の場合、
「余計な本を買って、
形而上的な問題を考えたって、
腹の足しにもならない」と
考えてしまう、とありました。

そうやって何かをする前から
諦めて、本当はもっと別の生き方が
あるはずだ、と悔いるのだと。

これは本が書かれた当初から
30年上経っていても、
変わらず多くの人が
思い当たることではないでしょうか。

自分は危険な道を取る、
こうやったら駄目になるかもしれない、
という道を取る、とある瞬間に
決意すること。

その決意に基づいて、
マイナスが起きても逆に面白い、と
平気で生きればいい、と
岡本さんは言っています。

なるほど、
まずは自分の内面の弱さみたいなものを
しっかりと見つめてみる。

その弱さを守るために
安全な道を行くのではなくて
弱さがあると知りながら、
剥き出しで危険な方に
走り続けてみる。

自分の決意の先にある道を
走り続けることが
生きがいそのものなんだと感じました。

それはとても怖いことで、
傷つきたくなんかない。
それも本音かもしれない。

それでも、
日常に何かもっと自分を輝かせる何かがあると
感じて悶々と過ごしているなら、
それは本当の生き方の方向に進みたいという
内なる情熱があるということです。

コスパだけでなく
タイパ、という言葉も昨今は耳にします。

なんでもクリーンに、
コストも、時間もパフォーマンスよく、
さらりとこなすのも素敵かもしれない。

でもそこに、自分の命が震えるような
深い感動や情熱の燃えるものがあるのだろうか、
と思います。

本当の自分の在り方は、
危険や辛いことに自らの意思で対面し、
その状況を面白がる、
くらいの決意を持って生きることで
初めて見えてくるのかもしれない。


生温く居心地良く生きている中では
決して感じられないものがきっとあるのだと。

昔から割と内面に
メラメラ燃えるものを
持って生きてきたので、
岡本さんの持論には
とても共感するものがありました。

「人生には、世渡りと、ほんとうに生き抜く道と、二つあるはずだ。」


本の中にこの言葉がありました。

これにもまた衝撃でした。

世渡り上手な方が生きやすいかもしれない。
物質的な成功と言われるものも
手に入りやすいかもしれない。

今の世の中は「世渡り」寄りな傾向が
あるかもしれないと個人的には感じています。

世間の目、世間の評価と
自分自身の考えとの壁が限りなく薄く、
何が本当の自分の考えや思いなのかが
もはや自分でも見えづらい。

社会の中に身を置いていると、
自分の意見と世間の意見を
同一視してしまう人も
いるかもしれないと思います。

その結果、何か虚しさを感じたり
焦りを感じたり、自分が分からなくなる人も
いるのではないかと。

自分の感じている満足、生きがいは
本当に自分の内面から湧き上がった
ものなのでしょうか。


私は「世渡り」でなく
「ほんとうに生き抜く道」の方を選びたいです。
それが危険で、成功もなかったとしても。
自分の心が生きがいをちゃんと感じられる生き方を。

考えてみると、
これまでいろいろなものを恐れて
自分を安全な枠の中において、
悶々と小さなことに悩みながら
生きてきているなと改めて感じました。

まずは決意すること。
自己嫌悪なんてところで
自分を甘やかしていないで、
自分と闘ってみる。

自分自身を世の中に現してみる。
怖さや弱さがあってもいいと開き直り、
平気で現すことからだなと。

恐れから、無意識に
世の中に対して開いてこなかったこと、
自分自身のこと。
自分を形成してきたものについて。
読んできた本のこと。

少しずつ現してみようと思っています。

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