大切なもの
『ねえ、カナの一番大切なものってなに?』
『うーん。家族と・・・ミホと、それから青空かな』
『わぁ。ありがと。じゃあさ、目に見えないもので大切にしていることってある?』
ここは学校帰りにふたりで寄る馴染みの喫茶店。ミホはいつも、私にいろんな発見を教えてくれるの。世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。
『目に見えないもの?』
『うん。勇気とか、人を信じることとか、信念っていうのかな。大切にしている考え方とか想い、そんなの』
『それは。心のあたたかい部分かな。私の一番大切なもの。目に見えないけど、永遠で限りがなく自由であたたかい光を持っていて、そんで死んでも無くならないの』
『わぁ。カナって急にびっくりすること言うよね』
『そんなことないでしょ。びっくりすること言うのは、いつもミホだよ。それでミホの大切なものはなんなの?』
『うん。いろいろあるんだけど、今は、愛と、完璧と、ひとつ、なの』
『完璧とひとつ? あ、たしか、前にも、少し話したことあるよね』
『うん。人って大切だと思う心の柱を意識して生きると景色がちがってくるって言うでしょ?すぐ忘れがちになっちゃうけど、自分がどんなことを大切にしているか、こうやって話をすることって大事だと思うの』
『だね。こんな話ができるのは、ミホのおかげだよ』
『私は、カナのおかげ。あたたかい心のおかげだよ』
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