【第12話】おじいちゃんが⚪⚪に席を譲ってました。

こんにちは、 未来人J です。

前回は「DARARAを構築するシステム」

について話したので、

今回は「DOARAを構築する道路網」

について話します。

ところで、

私は、未来の小学校の歴史の授業で、

「2000年代前期は、

 高齢化社会の時代だった。

 それは、ブレーキのない車が、

 アクセル全開で坂道を

 下っていくかのように進んだ」

と習いました。

先日、初めて通勤電車に乗りました。

現代は、座席の一部が優先座席なのですね。

優先座席に座っていたおじいちゃんが、

後から乗ってきた

年上であろうおじいちゃんに

席を譲ってました。

「私の方が若いのでどうぞ。」

優先座席ではない席には、

たくさんの若者が座っていました。

非難することではありません。

優先座席ではないのですから。

でも、安心してください。

近い将来、電車は、全ての座席が

優先座席になります。

疲れて倒れる高齢者が年々増えて、

乗客の救護で電車が遅延することが

ものすごく多発したため、

全席優先となりました。

でもね、完全な解決策には

ならなかったんです。

また、数年後に、ある社会心理学者が

「女性専用車両に乗らない女たち」

という本を出版します。

満員電車で女性専用車両の方には

余裕があるのに、その両サイドの

車両に女性が乗っている。

なぜか?

結論は、

「分けるなら、便所や風呂のように

 完全に分けねばならない。

 選択肢を設けてはならない。」

となってました。

ちょっと本を読んだだけなので

浅知恵で申し訳ないのですが、

男らしさ、女らしさ というのは、

けっこうデリケートな問題らしく、

世間が求める「男として、女として」の

イメージと、自分とが合ってると考える人、

もしくは何も考えていない人(超越している)

しか利用できないそうです。

例として適切かはわかりませんが、

私は「男性専用サロン」ではなく

普通の散髪屋に通ってます。

男性専用サロンと普通の散髪屋が並んでて

普通の散髪屋の方が混んでても、

普通の散髪屋に入ります。

「ダサい男性専用サロン」が

開店すれば通うかもしれません。

気持ちの問題ですが、そんな感じです。

専用とされている理由を、

考えてしまうそうなんですね。

女性専用車両が生まれた理由は

痴漢防止ですよね。

「(痴漢されそうな)女性の専用車両」

日本人は基本的に控えめですから。

おそらく、「頭がいい人専用のジュース」が

発売されたとして、最初は話題性で

多くの人が買うかもしれませんが、

話題性が落ち着けば、

買い続ける人は激減するでしょう。

レジに持っていくのが

恥ずかしいんですよね。

ネットショップならば、

ヒット商品になるかもしれません。

韓国の実店舗で日本製品は

不買運動の対象となってますが、

韓国のネットショップでは

日本製品が売れているように。

というわけで、

「女性専用車両に乗ると、

 私は痴漢される方の人間だと

 思っていると思われる」

それを嫌がって、女性専用車両に

乗れない女性がいるそうです。

だから、満員電車で女性専用車両の

両サイドに乗っている女性は

温かい目で見てあげて下さい。

ネットのような匿名性ではないですが、

女性専用車両の窓をマジックミラーに

したら良かったのにと思います。

で、優先座席の話ですが、

なぜ優先座席なのか?といえば、

高齢者等を保護するためですよね。

高齢者たちは嫌がったんです。

「私たちはまだまだ大丈夫だ。」

「若者に気を使われるいわれはない。」

「私って、そんなに年だっけ?」

電車に乗ったら席を譲られる。

今でも、席を譲ろうとしたら、

「大丈夫です」

と断る高齢者がいるでしょう。

電車に乗ったら席を譲られるから、

電車に乗るのが億劫になる高齢者が

だんだんと出てきたんですよね。

電車に乗れば、自分たちは弱者になる。

弱者であることを不必要に迫られる。

そんな悶々とした気持ちで、

電車に乗っている高齢者が増えました。

人間の心理って難しいですね。

親切心で作った制度も、

万人にとって親切な制度とならない。

そのような状況で、時は過ぎていき、

一時期は、満員電車の半分ぐらいが

高齢者になるような状態になりました。

そして、全席優先にも関わらず、

おじいちゃんが年上のおじいちゃんに

席を譲る光景が生まれ出しました。

その頃の電車では、

弱者扱いされたくないと

悶々とする高齢者、

それでも足りない優先座席、

女性専用車両に乗れない女たち、

そして、お馴染みの

朝から満員電車に揉まれて

やさぐれるサラリーマン

と、蟹工車と呼ばれる事態に

なってしまいました。

それを救ったのが、DOARAです。

DOARA社会に向けて

面舵を切るかのように、

DHDの前身と国がタッグを組みました。

初期型の自動運転車を高齢者層に対して、

超優遇した扱いで普及させたのです。

乗客の半数近くが高齢者となっていた

鉄道会社も業界優遇、営業妨害と

黙ってはいません。

そこで、国は鉄道会社に対して、

DOARA社会構築に向けての

好条件を提案しました。

道路網構築と道路整備事業に

鉄道会社も参加させたのです。

DOARAは開発当初から、

蓄電池式、非接触型充電式での

運用が計画されていました。

走りながら充電させたいと。

また、自動運転車に指示を与える

システム構築も計画されていました。

そして、DHDの前身は…

(実質DHDなので、以下DHDと言います。

 自動運転車もDOARAと言います)

最初から鉄道路線に興味を持ってました。

鉄道路線は、全路線に渡って、

十分な電気設備を備えているし、

鉄道を安全に走行させるためのシステムも

配備されていたからです。

既に存在している道路網に対して、

1からDOARAの道路網を整備するより、

既に存在する鉄道路線を改良して、

DOARA道路網を構築した方が

効率がよいと

DHDは最初から計画していました。

だから、最初は損をしてまでも高齢者層に

DOARAを普及させて、鉄道の乗客を減らし、

最終的に鉄道会社を参加させるという形で、

初期のDOARA道路網を実現したのです。

これが大当たり。

もともと鉄道路線は、市街地部分は

旧国鉄・私鉄とで地上・地下ともに

蜘蛛の巣のように張り巡らされていて

どこにいくのも便利でしたし、

地方と地方を結ぶには、

旧国鉄の路線がほぼ満遍なく

つながっていたので、

当初のDOARA道路網として

十分な活躍を見せました。

そして、次第に、市道から王道まで

時間をかけて整備が進み、

完全なDOARA道路網が完成したのです。

鉄道のおかげで、

DOARAが生まれたといっても

過言ではありません。

では鉄道はなくなってしまったのか。

いえいえ、鉄道はなくなるわけがありません。

未来でも走り続けており、

「走る世界遺産」と呼ばれています。

次回は、「鉄道」についてお話します。

お楽しみに!

注意 この記事は、フィクションです。

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