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Uberの調査記事から統計リテラシーについて考える

先日こんな記事をTwitter上で見かけた

これはなかなかいい題材だと思い社内Slackにて話題にしてみました

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この話の流れの中で自分なりに統計リテラシーって何よ?というテーマについてまとめたので久方ぶりのnoteとして転載しておきます。

あたりまえ編

・実数だけ出されたら率を調べろ
・率だけ出されたら実数を調べろ

質の悪いメディアは読み手がこれをやらない前提で恣意的に情報をセンセーショナルに見せようとしたりします。

基礎編

分析の基礎は「比較・推移・構造」である。

比較

13億回の乗車と各事件事故との比率?が多いのか少ないのかわからない。他との比較があるとわかるもんなのか、統計的に良し悪しが出るもんなの?
各地のタクシーにおける年間の乗車回数と死亡事故発生件数(乗客・運転手・通行人の各状況において)との差分を見るべき

この辺です。絶対値でやろうとした瞬間、分析という行為は死にます。倫理という名の出口の無い無限ディスカッションに突入します。(それはそれで大衆心理なので向き合うべきものでもありますが)

性的暴行については事故と同列で数字での確率論ではなく100億回乗車しようと0じゃないとダメでしょって思った。

この意見はまさに「正しいが故に危険」とも私は思っています。議論が感情的な二元論になり、未来を向きづらくなって糾弾・規制を促進するケースが多いかな。(性的暴行を「仕方ないもの」と思っているわけではありません。)

数字と向き合う時には、まずはありのままに現実をなるべく正確に認識すること。そのための方法が「比較」です。なので、事故率もそうなのですが、性的暴行の発生率も同様に「比較」した方が良いです。

このケースだと

・タクシー・ライドシェア他社との走行距離あたり事故発生率の比較
・エリアごとの人口あたり性的暴行発生率との比較。ないしライドシェア他社との比較。などなど…(ざっくり書いてます)

比較をする時に気をつけたいのが

・前提条件をなるべく揃えること
・差があった時にそれが誤差かどうかを判断すること

前提条件は、例えば仮にUberドライバーが年収下位10%の男性しか居なかったとして、エリア全人口における性的暴行発生率との比較は不適切な比較であると言えます。

というのも年収を問わない男女含めた分母で率を出しているものとでは比較にならないから。一般に性犯罪者における無職男性比率が高いことを勘案すると分母にあたる集団に対して年収条件も揃えておく必要性がありそうです。

一方であえて不適切な比較を行うメリットもあります。
例えば上記の比較(性的暴行発生率を全人口と低年収Uberドライバーで比較)をした時に、如実な差があったとします。そうなった時に「だからUberはクソ」として思考を止めたら真に不適切な比較です。一方で「なぜここまでの差が生まれているのか?」と発想をすすめることができれば、それは適切な比較であると言えます。原因究明できますからね。

すなわち分析における比較とは、ビジネス上の多くのケースに於いて「不適切な比較を繰り返し、真の原因を追求する行為」なのです。

後者の誤差判定は統計的にちょっとお勉強が必要なところなので、ここでは割愛します。視点として持っておこう!くらいに考えておいてください。

※興味があればこの辺をどうぞ

https://bellcurve.jp/statistics/course/9427.html

https://bellcurve.jp/statistics/blog/14038.html

推移

トレンド傾向を追おう。という話です。
増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、増減のパターンがあるのか(春秋は売上が上がるみたいな)などなど、色々と考察をすることです。原因追求(グループ化して比較する)とか、色々な分析発想のもとになることが多い物事の見方です。

真面目にやろうとすると時系列分析みたいなくそムズな話になっていくのでちょっとここでは触れないでおきます。(というかぼくも苦手…というかあんまできない……)

構造

内訳を見よう。という話です。
これはそんなに解説いらないかな?

というわけで「比較・推移・構造」の組み合わせで、事実をなるべくありのままに理解するよう努めるのが分析である。という話でした〜!

という話を投稿したところ…

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「こういう話の落とし所ってなんなんだろう」という、とても良いテーマのフィードバックをいただきまして、そこで改めて考えました。

分析は行動のためにある

これかなと。極端な書き方をしていますが、ビジネスの文脈に於いては統計リテラシーという言葉には分析結果を行動に繋げる変換力も包含していると、再認識させられた話でした。

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