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猛暑に聴きたくなる Mr.Children『こんな風にひどく蒸し暑い日』

今回は、Mr.Children『こんな風にひどく蒸し暑い日』について書こうと思います。
2004年5月26日に発売された26thシングル『Sign』のカップリング曲ですね。
ひどく蒸し暑いひには、なぜかとある夏の恋愛の光景や人類の不安な行く末が頭に浮かんでしまう。そんなこと思い出したく無いのに。そんなことより世の中には素敵なことがたくさんあるのに。なんでなんだ。あー暑い。そんな感じの曲でしょうかね。
毎年、夏の暑さが厳しくなる時期に聴きたくなります。数年前までは、アルバムやシャッフルの流れで聴くことはあっても敢えて聴く曲ではなかったのですが、急にこの曲のかっこよさに気づいてしまって夏のお気に入りになりました。

1番はちょっとエロティック

部屋に着くともうぼくらはガラス窓閉め切って
エアコンのない君の部屋でただ夢中になってた
流れ出したものでシーツが濡れてしまって
君はゴミでも捨てるように洗濯機に入れた

作詞 :Kazutoshi Sakurai / こんな風にひどく蒸し暑い日(Mr.Children)

「エロティック」と言っても、直接的に卑猥な言葉はないんですよね。
“ただ夢中になってた” “流れ出したものでシーツが濡れてしまって”と言っても、ただ水鉄砲で遊ぶのに夢中になっていただけかもしれないですし、窓を締め切って汗だくでトランプをしてただけかもしれないですし。
でも、普通に解釈すると、何かの行為を容易に想像でき、卑猥でエロティックな歌詞に読み取れるのですよね。
ギターの田原さんに「ついていけない」と言わせるだけのことはある歌詞です。
あるテレビ番組で櫻井さんは、「昔の彼女と見た景色を作品に登場させることはある」と言っていました。
この楽曲が実体験かどうかはわかりませんが、「奥さんも子供もいるのに、思い出したく無いのに、蒸し暑い日には、あの熱く愛しあった光景を思い出してしまう」なんて、なかなか生々しいですね。
1番では、蒸し暑い日に思い出してしまうある恋愛のことが描かれていますが、2番では話が広がって、蒸し暑い日にいやが王にも意識してしまう「地球温暖化」のことが描かれます。
1番でミクロな日常のことが描かれ、2番でマクロな社会や世界のことが描かれるというのは、ミスチルの歌詞で時々ありますね。

2番は地球温暖化を憂う

キャスターは温暖化の深刻さ訴える
「異常ですね」っておばちゃんも広場で話してる
人類の行く末考えると不安で
水浸しの地球儀が夢の中でぷかぷか浮いていた

作詞 :Kazzutoshi Sakurai / こんな風にひどく蒸し暑い日(Mr.Children)

この2番の歌の入り方がかっこよくて好きです。
2023年7月、「災害級の暑さ」だの、温暖化を超えて「地球沸騰化」だの暑い日が続きました。気象庁のデータによると、いろいろ記録が更新された様です。

  • 東京の7月平均気温、2004年の28.5℃を更新し、過去最高28.7℃


  • 東京の7月の猛暑日日数、2001年の7回を更新し、過去最多13回。

2023年7月もまさに記録的猛暑。
キャスターは危険な暑さを訴え、おばちゃんも「今年はとくに異常」と言っていて、『こんな風にひどく蒸し暑いひ』の歌詞がリンクします。
『こんな風にひどく蒸し暑いひ』が発売された2004年も記録的猛暑だったようですね。
上のデータの様に、東京の7月平均気温は2004年以来の更新ですし、東京の現時点での市場最高気温39.5℃が観測されたのも2004年だそう。
ただ、発売日は2004年5月なので、その2004年の記録的猛暑のことを歌っている訳ではなさそうです。
普段意識してないのに、異常に暑い日が続くと、地球の行末に不安や怖さを感じてしまうことありますね。南極の氷が最小とか、永久銅度が溶けているとか、大丈夫なのでしょうかね。
この楽曲が発売される前年、2003年は、桜井さんが小林武さんや坂本龍一さんと共に、環境保全プロジェクトを支援する活動「ap bank」を設立した年でした。この時期は櫻井さんの環境問題への意識が強かったのでしょうね。
しかしながら、『こんな風にひどく蒸し暑いひ』の世界観では、温暖化や異常気象に対して、「そんなこと考えたく無いのに 怖がってもいられないのに」という人ごとなニュアンスがあると思いました。

エビバデ・クラップ・ユアー・ハンズ

エビバデ・クラップ・ユアー・ハンズ
きっと素敵な事も沢山あるでしょう
でもこんな風にひどく蒸し暑い日は
思い出してしまうんだ

作詞 :Kazzutoshi Sakurai / こんな風にひどく蒸し暑い日(Mr.Children)

“エビバデ・クラップ・ユアー・ハンズ”は「さぁみんな手を叩け」のような意味ですね。
この部分には、バッっくに手拍子も入っていて、妙にノリノリなんですよね。
私の勝手な解釈では、あまりの暑さでテンションがおかしくなってるのを表しているのでは無いかと思ったりもします。「暑いし、変なこと思い出すし、やってらんねーうぉー」みたいにハイになってるのではないかと。
もしくは、不快な暑さで思い出したく無いことを思い出してしまうけど、素敵なこともあるんだから、みんな手を叩いて楽しくいこうぜみたいなメッセージがあるのかもしれないです。
この楽曲の中で、“素敵な事”のひとつは、有楽町でホステスさんと遊ぶことなのでしょう。

こういうことも思う

エロティックさと社会派の『こんな風にひどく蒸し暑いひ』が、優しいラブソング『Sign』のカップリング曲というのは振り幅が大きいですね。
しかも、『Sign』のもう一曲のカップリング曲『妄想満月』はある男の変質者っぽい気質を歌っているんですよね。
『Sign』が恋愛青春ドラマ『オレンジデイズ』の素敵な主題歌だからとCDを手に取ったリスナーは、『こんな風にひどく蒸し暑い日』や『妄想満月』を聴いて何を感じただろう。
私は、ポップでキャッチーなだけじゃないミスチルも嫌いじゃ無いです。

『こんな風にひどく蒸し暑いひ』のエピソードや思い出、乾燥、独自解釈があったら教えてください。

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