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コロナ禍が生み出した「テレワーク前提社会」について

緊急事態宣言が解除されて、身の回りでも出勤者が徐々に出てきています。6/21の東京都新規感染者数は35人だそうで、神奈川県も6/20で5人。これらのの発表を見る限り、未だ市中にCOVID-19ウィルスがあり続けている状況下です。第2波の心配もされる中、私は通勤片道2時間かかることもあるので、満員電車での感染リスクは職場から近い人に比べると高いこともあり、特段の必要や命令がなければ出勤せず、テレワーク前提での勤務を続けております。今のところ、テレワークが仕事活動の生産性という観点でメリットが結構大きい(むしろわざわざ通勤してやる仕事自体が少ない)と感じてます。メリットを上げると以下のような感じです。

1.移動における飛沫感染リスクから逃れられること。

2.移動の時間コストがゼロにちかくなったこと。

3.リアル会議特有の準備が不要になったこと。例えば必要な会議場所の手配や紙資料の準備なども不要になったこと、

4.会議自体以前より数を増やせたり、以前だと満員電車に晒され手から参加しなければならなかった、朝早めの会議等やも出ることも容易に出席できるようになったこと。

5.準備時間が不要になったのでその分会議のため準備(資料作成や事前の資料閲覧)などにも時間を割くことができるようになったこと。

6.多様な方(これまで会うことができなかった遠隔の方々含め)とのコミュニケーションが取れるようになった。

対面不可避なワーカーもいると思いますので、一概には言えないのだと思いますが、私は企画開発系職種で、企画書を作ったりコミュニケーションを取りながら合意形成とビジネス実行を目指す職分ですので、資料の精度を上げることや対話のための会議自体を増やすことは、やっぱりビジネス活動上大事ですし、遠距離通勤者はこれまで在京の職場至近に住んでいる勤務者に比べてハンデがありましたので、メリットが非常に大きいと感じております。

■1.在宅勤務の生産性

■在宅勤務が標準に 欧州は法制化の動き、米は企業主導(2020/6/12 日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60324760S0A610C2MM8000/
経済協力開発機構(OECD)の18年の統計では、在宅勤務の導入率(部分導入含む)が8割超とされる米国は時間当たりの労働生産性が日本の1.6倍だ。法制化したフィンランドや議論が始まった独英なども日本より3~6割高い。在宅勤務に積極的な国は生産性が高い傾向がみられる。

長距離勤務者の私は常々、東京への通勤時間は、日本の生産性を下げる大きな要因の一つだと思っておりましたが、一人当往復3時間くらいを平均して通勤に使っているんですね。

通勤困難都市「東京」の現在位置を探る。速水健朗が読み解く「世界各国通勤事情」
https://www.cocacola.co.jp/stories/journeywriters_kenro01

東京都内の平均通勤時間は、総務省統計局の『社会生活基本調査』によると1時間30分(往復)、つまり、仕事場までドア・トゥー・ドアで45分になる。ちなみに通勤通学時間ランキング1位は神奈川県で1時間40分。次いで千葉県、埼玉県が1時間34分となる。

つまり日本の大都市にはたきに出ているワーカーが、仮にその通勤時間の全部を在宅ワークに振り向ければ、往復では3時間近くを仕事に回せる。9時~18時まで8時間働いているとしたら、3時間を電車でずっと過ごすよりも、自己開発のために教育や技能向上に充てたり、地域活動や趣味に充てることができる。その分消費経済活動が増える可能性もある。

■2.在宅勤務の課題と工夫

在宅の生産性向上探る 民間調査、7割が「効率低下」
対話や評価手法難題 企業の知恵、競争力左右 (2020/6/21日経)
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200613&ng=DGKKZO60332060S0A610C2EA2000

日本生産性本部が雇用者1100人を対象にした5月の調査によると、29%が在宅勤務を実施。そのうち66%が仕事の効率が下がったと答えた。課題(複数回答)は「職場に行かないと資料を見られない」が49%と最多。次いで「通信環境の整備」(45%)、「机など働く環境の整備」(44%)だった。

まぁ、そうなのかなと思いますが、資料の問題はネットワークセキュリティでほぼ解決できると思いますし、通信環境はこれを機に社会がテレワーク前提社会に対応したネットワークにしていくことになるのではないかと思いますし、自宅在宅環境の整備などでは、自宅だけでなくて自宅付近でのテレワーク環境の整備を地域行政なんかも力を入れてもらえればよいのではないでしょうかね。これまで東京に住んでいる人が圧倒的に職業人としても強みを発揮していましたが、その点は均衡在住のワーカーにとって捲土重来的になってきた気もします。
記事にはそのほかにもオンライン飲み会の補助を出したりとか、チャット5回以上になったらビデオでの会話に切りかえるとか、興味深い工夫が数々ありました。

■3.在宅勤務権!(制度変更はビジネスチャンスか?)

■在宅勤務が標準に 欧州は法制化の動き、米は企業主導(2020/6/12 日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60324760S0A610C2MM8000/

「欧州では「在宅勤務権」の法制化が始まり、米国企業は在宅勤務の恒久化を決める例が相次ぐ。日本でも実施企業は増えたが、ルール作りなどで遅れている。在宅勤務は企業の競争力も左右する可能性がある。」

個人の権利の定義について先進的な欧州では、「在宅勤務権」を法制化する動きが始まっているそうです。個人情報保護でも「忘れられる権利」が議論されるくらいです。流石のお土地柄。日本はどうなるのか?
先んじてその動きを把握した活動の必要性も感じてます。

■4.テレワーク前提社会が地方創生に繋がる可能性

■テレワーク、ホテルやカラオケで 受け皿づくり急ぐ
2020/5/13 日経
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58995510S0A510C2TJ1000/

「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画は、7日から一部店舗の営業を再開した。カラオケ店は東京都などが指定する営業自粛の対象だが、自治体と調整のうえ、テレワーク利用にかじを切った。入会日から平日30日間、何回でも使える「マンスリーパスポート」(税別2480円)などのプランを用意している。午前10時から午後8時まで利用でき、ドリンクバーも使える。

いろんな事業者が取り組みを始めていますが、地方のカラオケスタジオは、テレワーク前提社会の重要インフラになる可能性がありますね。福利厚生の一環で採用する企業も出てくるんじゃないかと思います。ほかにも人口減少に悩む地方都市には空いた住居スペースの再利用するとか、いろんな手が考えられそうです。

【#父親のモヤモヤ】子育て通じて地域活動、ベテラン主夫が父親支援 専門家「イクメンから『イキメン』へ」
6/20(土) 10:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/621f464fbf1e959f8de5d44ae7ed27fe09cac318

地元にとどまって仕事がある程度できるテレワーク前提社会になれば、働き盛りの世代が地域活動に参画することも可能になってくるのではないかと思います。


■5.テレワーク前提社会とは、働く場所が大都市からインターネット空間になること。

世界の都市圏人口の順位
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%9C%8F%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%81%AE%E9%A0%86%E4%BD%8D


世界最大の都市人口を抱える首都圏では、3850万人の人口がいるそうです。上記の通り、通勤は全体で45分平均(片道)。神奈川県で1時間40分(片道)、千葉県、埼玉県が1時間34分(片道)です。これがテレワーク前提社会になればゼロから数分になるので、劇的な変化。資料閲覧や通信環境やリアル対面での創発的なアイデア会議などはテレワークよりもリアルが強いし、セキュリティ対策など課題もあります。機器作業や会食などリアルでなければできない体験共有のためには職場に出向いて人と会うことは重要だと思います。が、働く場所のデフォルトを大都市からインターネット上に変えることの社会的メリットはあまりにも大きいと思います。東京一極集中でのデメリットはこれにとどまらず、災害への備えとBCPなどを考慮すると、この動きは国も加速してほしいところです。個人的には週1程度に会社で共通体験を持つために人と会うことはできるくらいがちょうどよいのではないかと思っています。

かつて、産業革命以前の農耕社会時代、働く場所は自宅からほど近い農地でありました。それが工業化に伴い職場が大都市中心に変わったことで、ドーナツ化現象を生み出し、職住が離れ離れになりました。それによって得られたメリットも大きいですが、できれば職住は接近していたほうが家族のためにも地域のためにもよいです。今回のコロナ禍がテレワーク前提社会を生み出し、テクノロジーによって職住接近社会を生み出していければいろいろ社会的メリットが大きいのではないかと思う次第です。




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