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ブランド・リノベーション #5 リノベーション方法-1:概要

はじめに

 ブランド・リノベーションは、その言葉の通り、まったく新しいブランドを作り出すのではなく、過去から現在まで受け継がれてきたブランドを見直し、現在から将来に向けてふさわしいカタチになるよう手を加える(=改革する)という考え方に基づいています。
 ここでは、その方法について、まずは全体を俯瞰しながらお知らせしたいと思います。お時間のない方は、この記事だけ読んでいただければ、リノベーション手法の概要をご理解いただけるものと思います。

リノベーションの3つのフェーズ

 ブランド・リノベーションは、次の3つのフェーズ(段階)を経て実現されていきますが、それは
 Phase1:これまでのブランド資産を問い直す・見直す
 Phase2:継承すべきブランド要素を抽出し、吟味する
 Phese3:必要な要素について刷新や付加をしながら、再構成する
というもので、その最終目標は
 新しいブランド価値を創造する
ことです。
 以下、各フェーズで行うべき事柄について見ていきます。

Phase1:これまでのブランド資産を問い直す・見直す

 リノベーションにあたって、まずは、過去から現在まで受け継がれてきたブランド資産を再認識するとともに、再評価することから始めます。つまり、ブランドが作り出されてから今日まで、どのような経緯を辿ってきたかをトレースすることです。誕生時のブランドには、それに込められた”熱い思い”(=使命や理想像)があったはずですから、そこをまず知ることが重要です。そしてそれが現在に至るまでに、どのように変遷してきたのか。サブ・ブランドなどが派生している場合は、全体のバランス(これをブランド・ポートフォリオと呼びます)はどうなのか等々、色々な角度から検証するということです。
 さらに、現状のブランドに対して「どのようなイメージを持っているのか」を調査してみることも、このフェーズでの大切な作業です。顧客や消費者が持っているイメージとともに、社員や協力会社が抱いているイメージ調査も並行して行いたいところです。

ブランド価値を再確認する

Phase2:継承すべきブランド要素を抽出し、吟味する

 フェーズ1で明らかになったブランド資産や現状イメージなどをもとに、
①何を残し
②何を捨て
③何を変えていくのか
 を議論し、決めていくのがフェーズ2の段階です。
 作業の順番としては、ブランドの三本柱=MVV(ミッション・ビジョン・バリューのこと、「ブランド・アイデンティティ」と呼ぶ場合もある)をまず固めてから、ブランドの各要素(詳しくは拙稿 #2 ブランドとは[其の弐]参照)について検討していくことが望ましいのですが、場合によってはネーミングやスローガンなどの個別要素を検討しながらMVVについて考え、その再構築につなげていくという方法もあります。
 このあたりは、フェーズ1の作業後に「どこまでリノベーションすべきか?」という判断をし、その結果で決めていけばよいと思います。

Phese3:必要な要素について刷新・付加しながら、再構成する

 ここからが本格的に「新しいブランド価値を創造する」段階となります。そしてこの段階から、外部のクリエイターなど、その筋の専門家にも参画してもらうようにしましょう。
 さて、フェーズ2で「残す(べき)もの」とした要素について、そのままのカタチが良いのか、改変すべきなのかという検討から始めていきます。どちらにするか、改変するとしたらどうしたらよいかといった判断は、フェーズ1での調査結果が役に立つはずです。
 また、現状で不足していると考えられる要素や、強化した方がよい要素を加えていくのもこの段階です。
 さらに「変える」作業「加える」作業とも、常にMVVに立ち戻り、ブレが生じていないかをチェックすることも重要です。
 ロゴなどを変えた場合は、間違った使われ方をされないように、マニュアルなどを準備する必要があります。

ブランド・マネジメント体制を作る

 フェーズ3の全作業が終了すれば、見えるの形でのブランド・リニューアルは完成しますが、それで終わりではありません。前稿(#4 ブランドの役割)でも述べたように、「ブランドは育てて行く」ことが必要だからです。
 ブランドは、行き当たりばったりでは、育って行きません。ちゃんと育てるためにはキチンと計画を立てて進める必要がありますが、それにはしっかりとした体制を作りが必要です。
 ブランド・リニューアルのためには、社内にプロジェクト・チームを結成して行うことが望ましいのですが、そのチームが継続・発展する形で【ブランド・マネジメント】に取り組んで行くことができれば、最適です。(プロジェクト・チーム作りに関しては、別稿で扱う予定です)
 リニューアルしたブランドを浸透させ、広めていくためには、最低でも数年に渡る取り組みが必要になります。そして一定の目標に到達した後も、劣化させないよう、さらに進化していくように管理することが大切です。
 「ブランドは生き物」です。すべてのステークホルダーが見守り、育てるというスタイルが確立できれば、成長し続けるのです。

 次回以降、より詳しいリノベーション方法についてお知らせしていく予定ですが、「先に知りたい」「詳しく聞いてみたい」という方は、どうぞM.R.LABOまで、メールにてお気軽にご連絡ください。

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