見出し画像

【プレビュー】第1節 藤枝MYFC

ユニフォームの遅延問題について私見を述べようと思っていたのに、気づいたら藤枝戦のプレビューを書いていた。思ったより開幕戦を楽しみにしている自分に少し驚きつつ、睡眠時間を削って展望を書いてみた。

①スタメン予想

予想フォーメーション

シーズン中に渡邊、久保を抜かれた藤枝。オフシーズンには横山まで持っていかれてJ2の洗礼を受けることになったが、それ以上の流出は阻止した。特に左サイドで存在感を示した榎本を慰留できたのは僥倖だった。昨シーズンの終盤戦を加味して予想フォーメーションを書き出したが、新加入のGK内山・MF梶川・FW中島がスタートから出てくる可能性は十分にある。また静岡学園高校で選手権優勝に貢献した経験のある浅倉(拓殖大)はシャドーの位置で良いアピールが出来ているようだ。190cmで両利きのCBカルリーニョスと189cmで左利きのSBウエンデル、ブラジルコンビは未知数ながらベンチ入りするなら気になる存在になるだろう。

チームを率いて4シーズン目となる須藤監督は「超攻撃的エンターテインメントサッカー」を標榜して可変システムによるボール保持とハイプレスを軸にしてきたが、勝ちなしが続いた昨シーズン中盤からは守備のテコ入れに着手した。理想と現実の塩梅を上手く調整しながら、J2初年度は12位と充実のシーズンを送った。

長崎は下平監督が最も愛用している4-1-2-3で準備を進めている。主力の大半を慰留できたことでメンバーの大枠は変わらないもののGK若原やCB田中、アンカー山田が先発に名前を連ねそうだ。

キャンプでは下平監督のサッカーを落とし込みながら課題の守備力強化にも着手、トレーニングマッチは5戦負けなしと結果が伴った。カリーレ体制下ではブラジル人監督らしく個人能力に大きく依存した戦術を採用していたためシーズンを通して安定感に欠けたため、まずは「ボールを大事にする」という大テーマを体現したい。

②ボール保持

長崎4-1-2-3 藤枝5-2-3

長崎のボール保持は昨年の下平監督が率いた大分を参考にするならウィングが大きく幅を取る4-1-2-3となる。対する藤枝は5-2-3のハイプレス志向がベースだが、状況に応じて5-4-1でスペースを埋める対応を使い分けてくる。長崎としては相手のファーストプレスをGK、両CB、アンカーの4人で丁寧に外していくことから攻撃を始めるのが最初の狙いになる。幅を取った長崎ウィング(松澤・増山)が藤枝ウィングバックを足止めすることができるなら、藤枝ボランチの背中を長崎インテリオール(マテウス・名倉)が上手く使ってボールを引き出したい。長崎インテリオールに藤枝センターバックが対応するようなら裏のスペースを狙うのも有効になりそうだ。

藤枝としては前からプレスに行く場合はマンマーク気味に対応して長崎のビルドアップをサイドバックに誘導して刈り取りたいところだろう。長崎のビルドアップを邪魔できる兆しが見えなければ早々に5-4-1ブロックに切り替えて、スペースを埋めることで長崎のミスを辛抱強く待つ形になるかもしれない。長崎としてはボールの失い方には十分気を付ける必要があるし、押し込んでいる時こそリスクマネージメントが重要になるだろう。

③ボール非保持

長崎の守備陣形はアンカーを置く4-1-4-1ではなくインテリオールの片方(上図では名倉)が1列上がる4-4-2になる松田式ゾーンディフェンスがベースになる。昨シーズンは雨あられのように打たれ続けたシュートだが、練習試合では中盤のコンパクトさが増して簡単に攻められなくなったと監督・選手から聞こえてきている。

藤枝のボール保持は可変システムを駆使して内・外を上手く使いながら前進していく。左ウィングバックのドリブラー榎本は藤枝最大の武器で、右サイドから大きく振られて長崎サイドバックが一対一で仕掛けられると失点のリスクが高まる。またシャドーの梶川や浅倉がライン間で前を向けば長崎にとって大きな脅威となる。昨シーズンに出場1500分ながら9ゴールを記録した矢村の得点感覚にも注意が必要だろう。

長崎としては藤枝の変幻自在のポジション移動に惑わされることなくボールを基準にしたゾーンディフェンスを展開する必要がある。嚙合わせ上、逆サイドの大外は捨てることになるので簡単にサイドチェンジのボールを蹴らせないこと、二度追いやプレスバックで数的優位を作ることも重要になる。またボールを失った瞬間の即時奪回を含めて前からプレスに行くときは、最後尾も押し上げて陣形のコンパクトさを維持することも必須となる。ここの意思疎通が中途半端になると簡単にいなされて中盤をスパッと通される危険性がある。

④試合の展望

長崎と藤枝、チームの規模感は違えど似たような課題を昨シーズンに残した者同士の開幕戦となる。緊張感もある中で互いにまずは「簡単に失点をしない」というマインドから試合に入りそうだ。どちらのチームがよりボール保持を磨けたのか、より守備を改善できたのか、ある意味では分かりやすい試合になるかもしれない。

長崎目線でいえば、ピッチ上の4局面に対して以下の振る舞いに着目したい。
攻撃:ビルドアップに再現性はあるのか
攻撃→守備:即時奪回は連動できているのか
守備:4-4-2ミドルブロックは機能しているのか
守備→攻撃:遅攻症候群を発症していないか

もちろん開幕戦なので勝つに越したことはないが、独特の緊張感があるし得点はどこまでいっても水物だ。圧倒的に攻め込んでもセットプレー一発で勝つのも負けるのもサッカーの一部なわけで、まずは内容を客観的に見て下平長崎の全貌を正しく観察していきたい。(ただしレビューも書くとは限らない)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?