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ニコラス・レイ検討【図書館利用不可/一時休止中】

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「すごいすごい」と言われているけれど、結局のところニコラス・レイはどこがすごいのか具体的にひとつひとつ考えていきまっしょい…という記事を、地道に調べつつ随時更新していきます。 … もっと読む
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ニコラス・レイ検討 (3):日本における受容〈2〉

ニコラス・レイ検討 (3):日本における受容〈2〉

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ニコラス・レイ検討(1):序論
ニコラス・レイ検討(2):日本における受容〈1〉

 さてここで順番は前後するが、先ほど一度割愛した『追われる男』と『暗黒への転落』の批評も確認しておくことにする。まず『追われる男』評[12]の掲載は『キネマ旬報』1955年秋の特別号、評者は村上忠久である。村上は、主演ジェームズ・キャグニイとジョン・デレクの関係性を「一種変わった愛情を

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ニコラス・レイ検討 (2):日本における受容〈1〉

ニコラス・レイ検討 (2):日本における受容〈1〉

※まだの方はこちらからどうぞ:ニコラス・レイ検討 (1):序論

第1章 日本における受容(1)”80年代”以前
 前章で記述した通り、ニコラス・レイの名が日本の映画雑誌において初めて登場したのは、はじめて日本で公開されたレイの作品『大砂塵』公開時の双葉十三郎による作品評[7]であったが、新作の”時評”としてでなく、ニコラス・レイを”題材”として取り上げた論考で一番古いものは雑誌『映画評論』におけ

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ニコラス・レイ検討 (1):序論

ニコラス・レイ検討 (1):序論

序論
 主に50年代から60年代にかけて活躍した映画作家ニコラス・レイについて、こんにち日本でどのような認知がなされているだろうか。まず、優れた作品の出来栄えに反し、一介の"職人"としてしか扱われず、思い通りの映画作りを行うことができなかった作家であり、そしてのちにフランスの映画ムーブメント"ヌーヴェル・ヴァーグ"の中で、本人たちも映画作家として活躍し映画史に革新をもたらす面々——フランソワ・トリ

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