進撃の巨人と陰謀論

謎解きミステリーとしての進撃の巨人は基本的に陰謀論と同じ構造である。

つまり、世界についての真実が既得権益層によって我々には見えない形で隠されているが、一部の勇気ある人間である私たちこそがその真実に気づいているという快感だ。

人に比べて自分は賢いという快感!

何が言いたいかというと基本的に陰謀論は楽しいということだ。楽しくなければ陰謀論ではない。

私も、やっぱりフリーメイソンやロスチャイルド家が世界を牛耳っているのだとしたらワクワクする。これは間違いないことだ。

フィクションを楽しむということは安全な形で陰謀論の快感を体験するということでもある。そして「何が真実かとは別に、私は陰謀論を『楽しい』と感じる人間なんだな」と理解することである。

また、フィクションで良質な陰謀論を摂取すると、現実世界で仕立て上げられた陰謀論が陳腐な筋書きに見えることもあるだろう。

「陰謀論に見えて陰謀論じゃない、どうしようもない現実だった。世界の支配者がいるようで、本当はただ一つ一つの善意や正義の食い違いがあるだけだった」というストーリーも、目の肥えた読者には、また、オツなものかもしれない。

いずれにしても楽しいことは正しいことを保証しない。

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