チェンソーマン 「嘘じゃない!」は英語で?
今日はパワーとデンジが言い争うシーンの翻訳の行き届いていないと思われるところに触れてみます。
いやあ、まず最初の
The one who committed me to kill with this gore.
から超ムズですね。
「この人が私にこの(傷口から出た)血で罪をおかさせた。」という感じでしょうか。
「commit」は社会人で仕事をしていると「約束する」とか「責任をもつ」という意味で使われることが多いですが、この場合は
「(罪などを)犯す」「(悪事を)はたらく」という意味ですね。
そして、「gore」というのは「(傷口から出た)血」のことで、パワーが自分の血を操って武器化できることからこういうセリフになっています。
(ちなみに自動翻訳はkill was this girl という意味不明なものでした(汗))
You lier! Jeez. Stop making crap up.
「この嘘つき!くそ!」
この「Jeez」というのは「Jesus Christ」で本来は「イエス・キリスト」のことですが、「くそ。畜生」という風に使いますね。そして「Jeez」は更に短縮版的な感じです。
「crap」というのは「たわごと」「くだらないこと」。
この文脈では「うそ」の代わりに使ってます。
clap「(手を)叩く」とは違いますのでご注意を。
「make up」 は「作り上げる」という意味の延長線上で
「話をでっちあげる」という意味で使われますので、
「make crap up」で「嘘をでっちあげる」という意味になります。
I made up no crap
デンジのセリフを受ける形で「嘘など言っていない。」と反論しています。そして
but you told me to obliterate the target without question.
obliterateは「完全に破壊する」という意味で知らないと絶対に分からない単語ですね(笑)
without question はそのままですが、これが入ることにより「いいから殺せって言った」というより強いニュアンスが出ますね。こういうフレーズは日常でも使っていきたいものです。そして最後に
So confess your sin.
「お前の罪を告白しろ。」と、日本語のセリフ「本当じゃ」より強い感じのフレーズで締めています。
で、私がちょっと気になったのは、ひとつ前の
but you told me to obliterate the target without question.
で、主語に「you」を使ったところです。
パワーはそもそもが悪魔なので、そのキャラを引き立たせるために
「悪魔」と「人間」を対立項として捉えていることが分かるようなセリフ回しをします。ですから日本語のセリフでは
「この人間が悪魔を殺せと言ったんじゃ。本当じゃ。」
と「この人間」という風にわざわざ普通の会話的には違和感のある言い方で言っているんですね。
ですから、ここはそのニュアンスを残して
but this human told me to obliterate the target without question.
とした方が良かったのではないかと思うわけです。
この辺りが英語版を作った人がどこまで日本語を理解していたのか気になってしまいました。
それでは〜
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