「愛してる」って言い過ぎると言葉の価値が下がるんだろうか
昼間、日本食レストランでの仕込み作業中に、スーツ姿の爽やかな笑顔の男性が、コーヒーを片手にお店のドアの前に立っていた。気づくとその人は、店内の誰かに向かって話しかけてきたみたいだった。
どうやら隣で作業していたスタッフの知り合いのようで、彼女は彼に気づくなりすぐドアの方へ向かう。
店内にはもう一人の訪問者がいて、わたしはその人の対応をしていたので、二人が何を話しているのかは聞こえなかった。
そんな中でもひとことだけ、風にのって耳に届いた言葉がある。
「I love you.」
どうやら男性は、その女性スタッフのパートナーだったらしい。お昼休みを利用して、近くまで来たから寄ってみたとのことだった。
「彼の職場、この近くなんですか?」
「いや、そんなに近くないはずなんだけどなぁ。」
彼女はとても照れ臭そうだった。そんな彼女を横目に、なんだかわたしが幸せな気持ちでいっぱいになってしまった。
*
「愛してる」とか「好き」って伝え過ぎると言葉の価値が下がるなんて言っている全ての人に言いたい。
いや絶対に伝えた方がいいに決まってる!!
言葉って伝えるためにあるもの。伝えるからこそ価値が生まれる。
「愛してる」とか「好き」とかのポジティブな気持ちは、間違いなく伝えるからこそ価値が生まれるものだと今日感じた。そしてそれは伝染する。
彼女に向けられた「I love you」を聞いたこと。そのあと振り返ってこちらに戻ってくる彼女の照れ臭そうな顔。そんなに職場が近くはないのに、お昼休みに会いに来てくれる彼。
自分はただそこに居合わせただけなのに、なんだか勝手にニヤけてしまうくらいには、幸せで素敵な時間だった。
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