早朝の臨海公園に野鳥達と珍客
日の出がどんどん早くなり、春らしくなってきた休日。
最近は早朝の野鳥観察にはまり、この日は葛西臨海公園に行こうと決める。
3月中旬ともなると東京の日の出は6時前。
まだ暗い5時半過ぎに自宅を出る。
カメラと双眼鏡を取り出し、歩き出す。
野鳥を探し立ち止まっていると、周りからカワラバトがたくさん降りてくる。
どうやらこの辺りで餌付けしている人がいるようだ。
ごめん、餌は持っていない。
私は普段餌付けはすべきでないと思っているが、20羽近くに囲まれると餌をあげなくてはいけない気持ちになる。
かたやキジバトは群れず、人に近づこうとしない。
同じハトでも行動は異なるんだね。
海を見ながら、上の池を目指す。
静かな早朝の海。
非日常の光景に深呼吸一つつく。
そんな私の前をシュッと何かが横切る。
シロハラと比べて、見通しの良い所が好きなアカハラ。
「何だよ」という顔で私を見ている。
しばらくしてプイッと飛んで行った。
以前ジョウビタキに出会えた所に行ってみる。
まだ北に帰っていなかったのね。
会えて良かった。
朝日に照らされる彼女、別れは近い。
全身真っ黒のカラスを綺麗に撮るのは難しい。
枝に止まっていたカラス。
朝日に照らされた顔はあどけない。
夜が明けた上の池では、色んなカモが起きていた。
オカヨシガモのオスは繁殖期に羽の色を変えず、年間を通して同じ姿だそう。
お尻は真っ黒、胸に小紋模様が施されているが、バーダーからは「地味なカモ」と呼ばれている。
これはこれで良いと思うけど、どうやってメスにアピールしているんだろうね。
普段は黄色いクチバシのアオサギ。
恋の季節を迎えると、足と共にクチバシがピンク色になる。
婚姻色とも呼ばれるらしい。
下心見え見えで恥ずかしいと思ってしまうのはヒトだからなんだろうね。
彼らは子孫を残すために純粋に生きている。
命を繋ぐべく、頑張って。
こういった野鳥たちの変化からも春の訪れを感じる。
野鳥たちにとって春は恋の季節だ。
園内に残るたくさんのツグミたち。
北に帰るのはまだ先なのかな。
遠目に見る彼らは同じポーズ。
スズメやハトと同じくらい、冬の公園のあちこちで見かける。
冬の光景に馴染んだツグミ。
あまり注目することも無くなったが、たまにシロハラが混じっていることがあるから気を抜けない。
普段緑色に見えるコガモの顔。
鳥の羽根の色は色素で染められているのではなく「構造色」と呼ばれ、見る角度や光によって見え方を変える。
写真を撮っていて面白いと感じるところだ。
9時になり、西なぎさへ渡る橋が開門した。
橋を渡り、海に浮かぶ島へ渡る。
海に囲まれた砂浜。
鳥がいないか、波打ち際を歩いて回る。
岩場を歩いていると、目の前に小鳥が留まった。
こんな海の真ん中までオオジュリンが飛んでくるのかな。
確かにアシ原からは近いけど。
ややメタボ気味だ。
波打ち際をあまり見かけない鳥がトコトコ歩いている。
イソシギでないシギかしら、と胸が躍る。
タヒバリはヒバリという名が入っているが、ヒバリ科でなくセキレイ科。
ヒバリに似ている鳥で普段田んぼにいるから「タヒバリ」と名付けられたとか。
海辺にいることもあるんだね。
海風の広場と名付けられた砂浜を歩いていると、波打ち際でキンクロハジロの群れが羽を休めている。
遠くからそっとカメラを構える。
寝ているように見えて、ジロリと黄色い目でにらまれたら怖いわ。
何もしないよ、ごめんごめん、とその場を離れる。
橋へ戻ろうと、西なぎさ南側の海岸へ向かう。
砂浜と岩場だけの島に四足動物なんているわけないと思っていたから、タヌキの登場にギョッとし私の頭がフリーズする。
タヌキって人を襲うんだっけとか、眼を合わせちゃいけないんだっけとか、誰かが着ぐるみ着てる?とか頭をよぎる。
この方は橋を歩いて渡ってきたのか、泳いできたのか。
タヌキはじっと動かず、こっちを見ている。
怖がらないところを見ると、人慣れしているようだ。
あとで調べると、公園に住んでいるらしい。
もう、びっくりさせないでよ。
早朝から歩き回り、少し疲れたな。
日が昇った鳥類園をもう一回りしてから帰ろうと、上の池へ戻る。
何度も同じ公園に通っていると、それぞれの鳥たちが住むエリアが何となく分かってくる。
帰る前にあの子に会いたいなと、海岸沿いの松林を歩いてみる。
あなたも恋の季節を迎えているのかな。
また会いに来るね、と心の中で声をかける。
これからさらに季節が進むと、会える野鳥たちの顔ぶれも変わる。
気温が上がるにつれて、冬ほど野鳥たちに出会えなくなるのが少し寂しいが、今日も彼らに会えて大満足。
仕事続きで疲れていた心もリフレッシュもできた。
明日からまた、頑張ろう。