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私のアラジン

ディズニーの映画はどれも好きだけれど、ずば抜けて好きなのはアラジンだ。
この歳になって恥ずかしげもなく惚気けよう。私は、夫をアラジンのようだと思っている。夫に出会い、会話したときに、A Whole New Worldの歌詞そのままだと感じたのだ。今もその想いは変わっていない。

それまでの私にとっては、夫はとんでもない人だった。
軽々しく他人に声をかけ友だちになり(良い言い方をすれば、人脈作りがうまい)、思い立ったらすぐ行動、深く考えているのかいないのか短期間で次々に職を変え(一応、本人なりに一貫したポリシーはある)、トラブルが起きても精神的にはノーダメージ(反省がないとも言える)。こんなに活動的で、こんなにセロトニン受容体の多いタイプの人間を私は初めて見た。
その日から、私の世界は変わった。

一緒にいるだけで日々新しい人に出会う。今までであったことがないようなあらゆる業種の人に。話をすれば、世の中にこんなに知らないことがあったのか、と驚かされるほど新しい情報に出会う。
人は誰しも違う人生を生きている、なんてことは当たり前だが、それにしてもこれまで出会ったことがないくらい広い世界に生きているのが、夫だった。
今になって思えば、そういう人たちは他にもいるのだろうが、私にとってはその広い世界を初めて見せてくれたのが夫だったのだ。

夫に出会わなければ、田舎に住んでみようとも、会社を辞めようとも思わなかっただろう。都会暮らしも会社員も否定するつもりはないが、それだけしか知らない世界線に生きていたら私は今頃どうなっていたのだろうと恐ろしく感じるくらい、彼は私の人生を変えてくれた。魔法の絨毯で宮殿を飛び出したジャスミンに、恐れ多くも自分を重ねてしまう。

どんなに腹が立っても、嫌気が差しても、彼なしでは私は広い世界を泳ぎ切ることが出来ないだろう。でも、大海を知ってしまった蛙は井の中ではもう暮らせないのだ。喧嘩して離婚の二文字が頭によぎるたび、その予感が私を踏みとどまらせる。急に例えが和風になったが気にしないでほしい。

それと、夫と出会ってからやっと、恋愛ソングの意味がわかるようになり、少女漫画に共感できるようになった。三十を過ぎて今更少女漫画にはまっているのはそのせいだ。悲しいかな、私は夫と出会うまで恋をしたことさえなかったらしい。

私のパートナーは、そんなひとです。

#私のパートナー


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