モザンビークでNPOを設立しようとしているのだけど計画が暗礁に乗り上げている話

 私たちの会社Palcoはモザンビークで民間企業、営利団体として発達障害児の支援をやっているのですが、モザンビークでは、恐らく他の途上国でも同様の傾向があるのでしょうが、非営利団体の存在感が非常に強く、非営利団体の活動領域と営利団体のそれとは明確に区分けされていません。
 
 私たちの最初の活動はChamanculoという首都マプトの比較的貧しい地域で寺子屋的に地域の子どもたちに勉強を教えることでした。評判はよかったのですが保護者は誰もお金を払おうとはしませんでした。そもそもかなり貧しい地域だったというのもあるのですが、在来のNGOがどこかから何かの支援を受けたときに勉強を教えたりするプロジェクトをしているというのが一つ大きな原因だったのだろうなと思っています。子どもに勉強を教えることに対して対価を払うという意識がないということだったのだろうなと。なぜなら無料で似たようなことをやってくれるところがあるから。
 
 そのような経験を経て今の発達障害児支援をやっているわけですが、この分野にもすでに先達がいます。そうした先達の運営主体はNPOの場合が多いです。そしてそうした団体とまともに競争をしてもまあ勝てないです。寄付と免税措置を受けて授業料を安価に設定して運営されています。仮に最高にラグジュアリーな体制を整えて超富裕層限定のサービスなどを構築できれば客層が被らないかもしれませんが、そういうことが出来るパワーはまだないです。「今後私たちが活動を発展させていくには寄付と税控除の措置を受けることができる体制を整えることが必要になるんだろうな」とはこの活動を始めた当初から感じていました。
 
 ある時、日本人の駐在員の方とお話をしていたときのことです。その方はお子さんに発達障害があり、日本で私たちがモザンビークでやっているようなサービスを受けていて、そのサービスが月額4千円ほどだったということを教えてくださいました。日本の方が諸々のコストは高いはずなので金額も当然高くなってしかるべきなのですが、行政の補助があって結果は4千円。私たちがモザンビークの人たちから頂いている標準的な月謝は月に約1万円です。この事実を知って、何か根本的に方向を間違えているのではないかなと思うようになりました。100%受益者負担で今の活動を運営するのは無理があるなと。
 
 それ以降、ちょいちょいモザンビークでのNPOの種類や設立方法、設立後の課題など調べ始めました。調べて分かった最初の懸念が、NPOを設立すると月々の会計士への支払いが今の10倍以上になるということでした。大体月に5万円ぐらいになると言われています。今の会計士代金が友人価格で安すぎるというのもあります。しばらくうーんと言っていたのですが、まあなんとかなるかと思いなおしました。もっと探せばよりよい選択肢もあるだろうし。弁護士にNPOの設立を相談したのが去年の10月ごろでした。モザンビークではNPOの形態として主に組合と財団があるのですが私たちは財団を選択しました。
 
 だいたい申請から設立まで6か月ぐらいだということを聞いていたのでそういうつもりでした。弁護士は、これも友人の紹介なのですが、割とリーズナブルな価格で、ただしリーズナブルな価格なりのパフォーマンスを示しつつも、それでもプロセスが進んで1月には弁護士から「3月には全ての手続きが終わります」とまで言われていました。
 
 2月の最終週に急に弁護士から話したいと連絡を受けてどうしたのかと話を聞いてみると、「去年からNPOの設立が非常に難しくなっています。政府はNPOがテロ組織用の資金流入ルートになることを恐れているそうです。去年、申請が許可された事例はたった3件です。全ての条件が満たされても当局の心証によって申請が通るかどうかが決まります。あなたの件もどうなるか分かりません。少なくとも3月にプロセスが終わることはないです。多分財団の設立は無理とは言いませんが難しいので諦めたほうがよいです」という内容でした。去年の10月から動いているのでもっと早く分かってもよいのでは、とは思うのですが。ちなみにこの弁護士はその打ち合わせ以来、電話をしてもWhatsuppを送っても反応がないので結構イライラしています。
 
NPOを設立してそのNPOを事業主体にして幼稚園を運営しようと思っていたので予定が狂ってしまいました。スケジュールに関する変更はありそうですが目指すところは変わりませんので可能性を探っていきます。まずは弁護士ともう一回話をして正攻法でNPOの設立プロセスを前に進めるというのが最初かなと思います。そのためにも弁護士には電話に出てもらいたいところです (彼はFBの更新はしているので死んだわけではなさそうです。むしろ元気そうです)。

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