お題箱返信 白い目で見てくる犬


こんばんは。靄篠です。

まず、犬に白い目で見られているという認識が僕は好きです。犬の目を見て、犬の考えを感じ取ろうとしなければ、嫌われているとか懐かれていないとかは書けても、白い目で見られているとは書けないからです。犬が白い目で見てくるということを思う世界観が僕は好きで、そして、白い目で見るができる犬が好きです。犬があなたを舐めているかは、犬しかわかりません。でも、舐められている気がするんですね。犬の表情が好きです。

僕は犬が大好きで、ありがたいことにわりと初対面でも撫でさせてくれる犬が多くて、嬉しいなぁと思っています。

一方で、なぜか威嚇されたり噛まれたりすることもあります。散歩コースで会う犬でも、手で触れようとすると激しく回転したり距離を離したりする犬がいました。そういうとき、内心は悲しくなりますが、僕は「オッ、なんじゃ!笑」という感じでふざけるようにしています。すると犬は「は?」という感じで見てきます。飼い主の方も僕を見ています。

犬に警戒されているという事実を、できるだけそのままにはせずに、すれ違いたいと思っています。

ここで僕が言いたかったのは、この世界にはたくさんの犬がいて、彼らは全て違うということです。仲良くなれる犬、仲良くなりやすい犬もいれば、仲良くなれない犬、仲良くなりにくい犬もいます。それはただ犬のせいではなく、相性や信頼の課題です。

多分、犬には犬なりの理由があって噛みます。だから僕が犬に警戒されるとき、それは僕にとっては「なぜか」であっても、犬にとっては、正当なことです。犬も、普段見ない人が来て驚いたり、興奮したりして噛むときがあります。反応を試したくて噛むような犬もいます。とはいえ人を噛むのは、しつけたいところです。それ自体は飼い主さんに相談したらいいかなと思います。

噛むことが人を舐めているからなのかは、犬に聞かないとわからないことです。犬があなたとの関係性を噛むことで意味づけようとしているなら、それが犬にとってどういう思いなのか、想像することしか僕たちにはできません。

噛むことで優位に立ちたい、または自分のほうが強いことを示したいのか、あるいはあなたとの関わり方がわからなくて、暴力を選んでしまうのか。これらは人間でもあることです。すぐにお腹を出してくれる犬もいれば、全然触らせてくれない犬もいます。

人と人に相性があるように、犬と人にも相性があります。犬と犬にもあります。基本的に懐きやすい犬でも懐かない人がいたり、普段全然懐かない犬がなぜか懐く人というのがいたりします。仲良くなりたいという人の気持ちがあり、仲良くなりたいという犬の気持ちがあり。飼い主だからというよりは、人間関係と同じように、個と個の相性と信頼だと思います。長い時間一緒にいて、ずっと犬のことが好きで遊んできたから、結果、犬もその人が好きだから、そこに信頼関係があるから仲がいいのであって、単に飼い主だから仲がいいわけではないと思っています。

犬は人の気持ちを、人以上に読み取る生き物だと思っています。犬に対してLOVEだけで向かい合う時、わりと犬はヘラヘラしてくれます。もちろんそのLOVEとは全てを許すことではなく、よくないことをしたときにそれがよくないことと伝えることも含んでいます。

対して目の前の犬に少し恐怖を感じている時、犬は同様に僕を警戒します。「あれ、こいつあまり僕を好きじゃなさそうだぞ!?」となると、犬はシュタと距離をとり、こっちを見上げて確認してきます。それに対するアンサーを出さずに不用意に手を伸ばすと、ガルガルになります。そういうイメージがあります。もちろん、全ての犬がそうではないと思います。あなたの前にいる犬がなぜあなたを白い目で見ているのかは、わかりません。今はあなたに興味がないのかもしれないし、舐めているのかもしれないし、もしかすると少しビビっているのかもしれません。それは変わらないかもしれないけれど、永遠に続くとも限りません。犬も人も、時間を生きているからです。

僕がいえることは、人間関係について言う時と同じで、まさに今、関係が上手くいかないことを大きく感じすぎないでくださいということです。生まれてから死ぬまでずっと仲がいいことなんて、人間関係で言えばほとんどあり得ないことです。

犬に対する人の心境の変化があり、人に対する犬の心境の変化があり、いつか、仲良くなれる日が来たらいいなと思います。それまでの間、噛まれたら伏せをさせて、落ち着けてあげて、しつけをしたり、自分の中にある犬への疑いを少しずつ許したり、もっと犬の視界に自分を映したり、色々な関わり方があると思います。

僕が小さい頃、祖母の家にいた犬は、何度か僕の胡座の中で寝たことがありました。もちろん祖母や一緒に住んでいた叔父夫婦に一番懐いていたし、僕は年に一度も行かなかったのでたまに忘れられたりしていましたが、少なくとも僕は、彼が好きでした。今でもその温かかったのを覚えています。

彼の中で、僕は多分飼い主の側じゃなかったし、たまに来る人間でしかありませんでした。どう思われていたかよくわからないまま、彼は先にいってしまいました。最後の数年、僕は全然帰省せず、ほとんど彼に会えないままでした。だから彼はまた僕を忘れていたかもしれないけれども、彼の思い出の中で「なんかたまに来る、わりと寝やすい奴がいた気がするな」と、そう感じてくれていたらいいなと思っています。犬の一生の中で、犬の幸せな記憶の側に居られたら幸せだと思います。

一期一会のこと、犬の記憶にどう残るかということ、犬をどう記憶に残すかということ。生きているということ。犬とあなたが幸せだったらいいなぁと思います。

お題箱ありがとうございました。またよろしくお願いします。応援しています。

2021.07.21 靄篠

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?