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富士を蝕む

富士山が好きなんだ、僕は。

昔から富士山を見てるしあまりいい思い出ではないけど登ったこともある。

でも、今の富士山は好きになれない。富士山事態を好きになれないというよりは、富士山を取り巻く周りの環境が嫌いだ。

2013年、富士山は世界文化遺産に認定された。普通に申請して普通に認定されたのなら喜ばしい事だ。富士山の文化、芸術が世界に遺すべきものだと認められたという結果だけ見れば喜ばしい事だ。

しかし、実際はそうではない。富士山は元々文化遺産ではなく自然遺産として申請されていた。その申請が却下されたから今度は文化遺産として申請したら認められたというわけだ。

自然遺産としての申請を却下された理由は、平たく言うと「珍しくないから」と「ゴミ山だから」というものだ。富士山周辺の開発が進み、登山客は増え、ゴミが放置される。そんなゴミだらけの土地を世界に誇る自然遺産だなんて到底認められない。そういった理由で却下されたのだ。

富士山は世界に認められた文化的価値を持った遺産である前に、世界に認められた日本一高いゴミ山なのだ。

そんなことお構いなしに「文化遺産だから観光客が集まる」という理由で富士山観光を推進している人たちの気が知れない。

「あなた方が申請した土地はゴミだらけだから自然遺産としては認められませんよ」

と言われたなら、ゴミを片付けてから再度申請しようという思考になるのが普通ではないのだろうか。しかし、出した答えは、

「ゴミの片づけなんて後回しにして、とりあえず文化遺産としてもう一度申請してみよう」

なんとも愚かな答えだ。そんなに躍起になって富士山を世界遺産に登録したがる理由は何だろう。

「富士山が好きで、富士山を世界に認めて欲しいから」という理由であって欲しいけど、富士山を全く大事にしていない現状を見るとそういう理由ではなさそうだ。

「富士山が世界遺産になれば観光客が殺到してお金になるから」という理由が濃厚だと思ってしまう。本当のところはどう思ってるか分からないけど、客観的見ると僕はそう思う。静岡県や山梨県は随分儲かっているだろうな。

富士山の周りで観光業をやってる奴らが真っ先に富士山を綺麗にするべきなのに、観光客をどんどん呼び込んでどんどん開発して、率先して富士山を汚している。

一応、入山料を取ったり、ポイ捨てや弾丸登山を注意するという運動を対策としているようだけど、そんなものほとんど意味が無いことに誰も気が付かないのかな。

「ゴミ捨てちゃいけませんよ~」「山は危ないから気を付けてね~」なんていう呼びかけは、小学生相手になら通用するかもしれない。でも、実際に注意する相手はちゃんと成人している人間だ。時には言葉が通用せず、常識も従うべき法も全く違う相手かもしれない。

大人になっても平気でゴミを捨てるような相手に対してただの口頭での注意って、それが本当に対策だと思っているのなら一度考え直した方が良い。

しかも、そういった対策を健気にやっている人たちはボランティアの場合もあるようだ。観光客を増やして儲かってはいるのに環境への対策にお金を使わないなんて、人間の汚い欲を凝縮したような行為だ。

今はただゴミが増えているだけで、汚くなっているだけかもしれないけれどいつ深刻な被害をもたらすか分からない。富士山の貴重な動植物の数が減り、絶滅する種も出てくるだろう。そして、絶滅しそうになったら急に「県全体で絶滅を防ぐ取り組みを始めます」とか言うんだろうな。自分たちが絶滅を推し進めたくせに、自分たちで戻せなくなった途端、『対策してますよ』というポーズを取る。卑怯で卑劣な人間だ。

近年は地球温暖化によって富士山の気温も上がっているらしい。富士山の永久凍土がどんどん溶けてるし、森林限界に影響がでる可能性もある。地球温暖化に関しては富士山周辺の人間の責任ではないけれど、世界中で人間の知らない生物が人間の知らないところで絶滅しているのが現状。富士山とその周辺にいる生物が突然絶滅してもなんら不思議ではない。

そういえば、最近リニア新幹線の工事が進まず開業を延期したらしい。どうやら静岡県とJRとの話が上手くいかず、静岡県内での工事が進まないようで。

工事で出た土の処理や水資源への影響が懸念されて、静岡県側は工事を認めていないそう。リニアのトンネル工事によって水資源が減少すると、南アルプスの生物多様性に影響を与える可能性あるという点も指摘されているらしい。

この静岡県の主張、「本当か?」と思ってしまう。富士山の自然を一切守らずに開発と観光事業を進めまくってるのに、リニアの時だけ「生物多様性がー環境がー」と喚くなんて、一貫性が無くて何ともおかしな話だ。

「また何かしらのお金が目的なんじゃないの?」と邪推をしてしまう。そう思われても仕方がないように見えるから邪推じゃなくただの推測かもしれないけれど。

ここまで、文句を言ったけれど、ではどうすれば良くなるのか。

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